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カスタマーエクスペリエンス

2021.11.25 放送分

カスタマーエクスペリエンス

第56回アートリーアカデミア

THEME

カスタマーエクスペリエンス

今回のテーマは「カスタマーエクスペリエンス」。「CX」という略表でも知られるが、分かりやすく表現すると、「購買顧客が得られる体験」のことだ。花王社の「オンライン美容相談サービス」を入り口に、出演者それぞれが「自信のCX」を踏まえながら、「CX競争を勝ち抜くには?」を話し合っていく。アートリーアカデミアでは、どのような答えを見つけたのかをご覧ください。

TOPICS

ニュースの話題

佐藤
今夜も始まりました。アートリーアカデミア。
井戸
本日のテーマはこちらです。「カスタマーエクスペリエンス。花王 デジタルでも一人一人と向き合う接客。今年(2021年)9月、花王のブランドest(エスト)は、オンラインで美容相談ができるサービス『エストオンラインカウンター』をスタートさせました。「公式LINEから美容に関するさまざまな相談を受け付ける」とのことで、カスタマーエクスペリエンス(CX)の向上に取り組んでいくようです。「カスタマーエクスペリエンス(CX)」とは、顧客接点ごとに適切なコミュニケーションを行い、自社商品を利用する前後の体験を向上させていくプロセスのことです。「オフライン・オンラインの双方で良質な設計をすること」が、「事業成長の鍵になる」と言われています」
佐藤
「カスタマーエクスペリエンス」ですけれども、徹郎さん。こちらのニュースに補足があれば(お願いします)。
蒲生
「顧客が取引を開始するところから終了するまでに得られるメリットや体験、価値」を「カスタマーエクスペリエンス:CX」と言います。今回の話は、花王の『est』というサイトで、「一人一人の質問への対応がLINEでできて、返事もLINEで返せる」と言った具合の「『パーソナライズな接客』を取り入れることになったよ」という内容です。店頭などでの「オフラインでの接客」に加えて、これから増えていくだろう「オンラインでの接客」も合わせた「2種類のCXを向上していくこと」が、「この先の事業成長の鍵になる」と言われています。
佐藤
これ(カスタマーエクスペリエンス:CX)は、「UX(ユーザーエクスペリエンス:顧客体験)」とは「また違うもの」なんですか?
蒲生
「UX(ユーザーエクスペリエンス:顧客体験)」は、「実際に体験をしてもらう人=購入者」としてリンクするのですが。「カスタマーエクスペリエンス(CX)」は、「購入者と実際に使うユーザーが異なっている場合」の話でして。だから日本語に訳すとすると「顧客体験価値」というような意味合いです。
佐藤
ということは、「ユーザーエクスペリエンスは購買体験と結び付かない場合もある」ということ?
蒲生
そうです。「利用体験」に留まる場合もありえます。
佐藤
(原)先生はどうですか?
原
「どんな大きさの会社でも」なんでしょうけれど、「顧客に対するパーソナル化を手がけなければならない」ということだと思います。「物販」だろうが、「サービス業」だろうが 、「顧客一人一人のLTVを伸ばすために必要なこと」だというアプローチなんでしょうね。加えてそれ(CX)を「顧客獲得のため」ではなく、「囲い込み戦略のためのもの」として打ち出しているところは、「そういう意味だろうな」という認識ではいますけれども。
佐藤
ニュースについてはどう思われますか?
原
ニーズとしては、「 手軽にできること」が挙げられるかと思います。「質問」というものは、消費者からすれば、「一歩間違えるとクレームのように捉えられるかもしれない」という考え方にもなるかと思うんです。だけど、「『自分のことを知りたい』というところにもリンクする」とも思うので。そこ(自分を知りたいという気持ちに答えようとすること)に遡及効果もあるし、「購買意欲を生ませることにも繋がるんだろうな」とは思います。
佐藤
(右サイドのお3方は)ニュースを受けてどうですか?
井戸
3人(佐藤社長、蒲生さん、原先生)が 一斉に見るから……。
佐藤
ということで、萌ちゃん。どうですか?
井戸
まず、「LINEで質問できること」が、「手軽さの面で一歩先を行くのかな?」と思っていて。今までは、「電話やメールでなければお客さんと連絡は取りようがなかった」わけですけれど。(連絡手段として、)LINEが主流になって。(顧客とのやり取りを)LINEに切り替えた途端、返信率が素晴らしく向上したんです。そうした実体験があるので、「 LINEで質問しやすいこと」もそうですけど、「カスタマーエクスペリエンス」と言うか「購入する側」としては「いかに手軽で素早く返事がもらえるか」は 「すごく重要視される要素」なので。だから、『花王 est』ニュースは、「LINEを使ったところが大きいのかな?」とは思っています。
佐藤
RYUちゃんはニュースを受けて何かある?
RYUICHIRO
僕が見た中で、似ていたものは、『ダイソン』のホームページですね。『ダイソン』のホームページは開けると、「今、対応してくれる方」の写真などが出てくるんです。すぐにチャットを飛ばせるようになっているというか。「今、対応してくれる方」は開くと毎回出てきます。「質問送るとすぐ返してくれる」というようなサービスを見つけた時に、「既に(『花王 est』と)似ているもの取り入れているところがあるんだ!」と思いました。
佐藤
それ(『ダイソン』のホームページのサービス)もLINEで受けられるの?
RYUICHIRO
LINEじゃなくて、最初からホームページにそういうウインドウがあるんです。ホームページがあって。その中に、丸窓みたいな「対応してくれる方」の写真があって。「そこ(「対応してくれる方」の写真の丸窓)を押すと、すぐに問い合わせができるみたいな感じでチャットが即座に開く」ような……。
佐藤
それはいわゆる「チャットボット」だね。「あらかじめチャットツールが入っている」みたいなホームページも最近あるよね。
井戸
チャットサポートのあるホームページは最近多いですよね。
RYUICHIRO
それ(『ダイソン』のホームページの「チャットボット」)は(花王の『エストオンラインカウンター』)に「少し似ている」と思ったし、「訊きたいことをすぐに訊けるところ」がありがたいです。電話の場合は全然繋がらない時が多いから。あれ(コールセンターへの問い合わせ)は本当に……。
井戸
待たされますものね。
佐藤
「もう一人ぐらい」聞いておこうかな(笑)。
井戸
そのフレーズ、初めて聞きました。
久田
だけど、「チャットですぐ訊けて、返してもらえること」は、「体験としては本当にありがたい」ですよね。例えば、「今、この美容液を買おうかどうしようか」と思っている時に、「チャットを送るとすぐに返信されること」自体「ありがたい」ですし。RYUちゃんが言うように 「顔が見えている」と言うか。「誰とコミュニケーションを取っているのか」も「体験としては大きい」ですよね。チャット送る時は、「(顔写真があるけれど、)やっぱりこの人もボットなのかな」と思いながら問い合わせる時も少なからずあって。だからか、「ボットの割には正確な回答するな〜」と思ったら、「人だった」みたいな時もあります。
井戸
確かに最近は「(人間の顔写真を載せているけれど正体は)ボット(というオチ)もありえます」ものね。
久田
「顔の見える人とコミュニケーション取っている」ことは、「チャットツールの新しい使い方」だと思います。

TOPICS

テーマ討論

佐藤
そろそろ課題を見ていきましょうか。
井戸
「カスタマーエクスペリエンス 課題:CX競争を勝ち抜くには?」
佐藤
「CX競争を勝ち抜くには?」ですが、企業視点で見た場合、どうでしょうか?
原
「データの確保の仕方」と言うか、「既存顧客に対するデータの取り方を各社がすごく大切にしている」ということなんだろうと思うんです。一時期、何かと「ビッグデータ」と言われたのは、「購買意欲をかき立たせるために」と言うか、「顧客獲得のため」だったわけですよね。だけど、 この先の世の中では、「一般的なモノやサービスが溢れる中で、どれだけ自分のところに長くいてもらえるか」と言いますか。要するに、「滞在時間」が重要になるのだろうと思います。詰まるところ、「お客さんのことを知れば知るほど……」ということです。それから、もう一つ挙げたいのは、 一時期 、メーカーでは「クレーム対策って何?」という講習に力を入れていた んですけれども。それ(メーカーのクレーム対策講習)では、「こういうクレームがありますよ」や「あれはいちゃもんだよね」という事例に対して、「こういう製品を作りましょう」だったところが、今度は「『この人に対してこういう製品を作りましょう。こういうサービスをしましょう』に考え方が変わっていっている」んですよ。だから、これ(CX)に対応できないところは、「問答無用で置いていかれる」んですよ。
佐藤
「CX:顧客体験価値」という意味では、最近は「サービスのパーソナライズ化」がすごく進んでるよね。あとは 「パーソナライズ化」までは行かなくても、「企業」の「問い合わせ チャットの活用」もそうだよね。ところで、俺がびっくりしたのは、去年、このスタジオ造っていた時の話になるんだけど。スタジオ開設に向けて準備を進める中で、機材などをいろいろと手分けして発注するわけなんだけど。その時に「誤発注」というか、ちょっとしたミスをして「違うものを発注してしまった」の。それ(誤発注をやらかしたこと)に気付いたのは夜中くらいだったんだけど、「すぐ対応する必要」があったんです。それで明け方4時くらいだったけれど、Amazonに問い合わせたの。そうしたら、質問に答えることになって。それで全部の問いに答え終わったら、「今から電話しますので」みたいな感じになって。だけど、「チャットではない」んだよ。明け方4時に北海道の番号から電話がかかってきて、「どうしました?」みたいな感じで対応してもらえて。「マジで!? 」みたいな話なんだけど。だから、「こうしてください、ああしてください」みたいなことを伝えられたわけだけど。「すごい時代なんだなぁ」と言うか、「Amazonは顧客対応にすごく金をかけているんだな」みたいなことは思った。
蒲生
「Amazonは最強」ですよ。
佐藤
「Amazonは最強」なんだ。
蒲生
Amazonの理念が、「世界一お客様に寄り添う企業」なので、CXに対してすごく力入れているんです。Amazonは「人によって購入額が違う」わけですよね? だから、そうした購入履歴によっては、「同じような商品を購入している人同士」であっても、「細部の違い」もあるわけですし。
蒲生
ちなみに、Amazonとスタバは「CXのトップ」や「リーディングカンパニー」と言われています。
佐藤
スタバも多いんだ。ちなみにスタバはどういうところに力を入れているんですか?
蒲生
スタバの場合は、まず街によって流す音楽を変えたり……。
井戸
店内での、ですね?
蒲生
細部は分からないですけれど、「極上のコーヒーを出して、心地良い音楽が流れる過ごしやすい空間を提供すること」を大切にしているそうです。おそらく、「店舗の立地」や「その地域の年収」などで変えているのかと思います。あとは、店員さんの接客も「お客さん合わせている」のだろうと思われます。
佐藤
だから、「そういうところ」なんだろうね。「コーヒー屋さんがコーヒーを売ること」は、「当たり前」だけど、それ(コーヒーを売ること)に加えて、「コーヒーを飲んでいる時間」も「価値として提供している」と言うか……。
蒲生
ちなみに、今のスタバの事例は、「スターバックス体験」という言い方で提唱されています。
佐藤
本当に商品の面でも、「パーソナライズ」はすごく増えてきていて。それこそ、『ルイ・ヴィトン』などはそうだし、俺の使っている香水だと『ゲラン』もそうだけど。実際、「香水のパーソナライズ」も最近はすごく増えてきているよね。もちろん、「東京でしか買えません」や「どこぞの店舗しか買えません」みたいな仕様はあるんだけど。
井戸
それは、「調香してくれる」ということですか?
佐藤
そう。「調香してくれる」のよ。
久田
今や「パーソナライズサプリ」や……。
井戸
「(パーソナライズ)シャンプー」もありますよね。
久田
そうした世の中の動向を見ていると、「みんなパーソナライズされていくじゃん!」という感じが ありますよね。
佐藤
そうだよね。だから、結局は「オーダーメイド」なんだよね。そもそも、「オーダースーツ」が「パーソナライズ」の発端だよね。だから、「CX 」とは限らないだろうけど、「CX可能な領域」は、すぐに「競合優位性になる」んだろうね。
原
「あぐらがかけなくなってくる」と言いますか。「大きな資本力で何とかする」や「物量でやっていける時代ではなくなったこと」に、「大手が気付いている」ということなんだろうけれど。だから、「対応できないこと」は、「あの会社でなくても良いよね」と「簡単に跳ね除けられてしまうという判断にすぐ結びついてしまう」と言うか。だから、「会社に対する信用度合いはどこで見てるのか?」が「 『顧客対応がしっかりしているか、していないかで判断されている』という見方になってしまっている」んだろうね。「(消費者側が)買わせていただきます」ではなく、「買う側も売る側も対等だけど 、サービスはしっかりしてよね」ということなんだろうね。
佐藤
元来、「取引」というものは……。「お金の取引」は 特に「BtoB」では考えさせられることが多かったから。実際の購入体験でもそうだろうと思うけれど、結局は「信頼を買っている」わけだから。「ラーメン屋に行くのは、ラーメンを食いに行くだけじゃないんだ」みたいなことは昔から言うよね。確かに「食いに行くこと」は「目的」なんだけど。だけど、「その店を選ぶ理由」としては、「そこのラーメンを食べたい」と言うか、「その店に行けば間違いなく自分が望むラーメンを食べられる」という「信頼に基づいてお金を払う」わけだから。だから、自分が期待するものは、「それ(自分が期待するもの)に対しての価値提供の話」になってくるわけだものね。
原
だから、より一層、「それぞれの個性に合わせて」という考え方になるわけですよ。例えば今までは服で言うと、「S/M/L/LL/3Lぐらいだった」ところが、「『それぞれの方に合わせたものを提供しましょう』という話に変わってきた」と言いますか。例えば、「身長175cmの人が2人いたとしても、手の長さや首周りの太さは違う」という話ですよね。だから、スーツのみならず、「自分たちが普段着ている下着でさえパーソナライズされていく」となれば、「さまざまなものが個々人に合わせたものになっていく」わけですよね。
原
一時期…….。ご存じですかね? スニーカーを自分の好みのものに……。
佐藤
あるね!
原
ありますよね。あれも「パーソナライズ」と同じですよね。「量販店で買わない」と言うか……。
佐藤
確か、Nike By You(ナイキ バイ ユー)でしょう? 俺もやったけど、足のサイズが合わなかったから 、母親にあげたけど(笑)。
井戸
お母さんにあげたのは、何でですか?
佐藤
「パーソナライズに失敗した」から。
久田
「パーソナライズの一番恐ろしいところ」は、「期待値がものすごく高まるから。それ(パーソナライズされたものに対して抱いていた期待値)が、一瞬でも『あれ? 自分が求めていたものと違う』と思われた瞬間に、信頼が全部失われること」ですね。だから、「どれだけ顧客を理解し続けられるか」が本当に大事で。そうですね……。
佐藤
でも、本当にその通りだと思うよ。
井戸
そう思う。
RYUICHIRO
間違いない。
井戸
さっき言っていたサプリなどは、本当にその通りだと思っていて。例えば、「1月前までは合っていたけれど」というようなことは少なからずあって。今は男性もそうでしょうけれど、季節などで体調は変わるし。だけど、「スギ花粉の季節でもアレルギー対策に重点を置く必要はなかったり」みたいなこともあったりして。だから、「そこ(個人に関する情報)をどれだけ情報収集して、どれだけ寄り添えるか?」と言うと、「一筋縄で行けるような話ではない」でしょうね。
久田
それで思ったのが、最近は「どのアプリを立ち上げるにしても」聞かれますよね。
井戸
「個人情報をトラッキングしますよ」みたいな質問ですよね。
久田
あれ(個人情報のトラッキングの可否)を最初は「あり得ないくらい拒否していた」んです。だけど、この先パーソナライズされたサービスを受けようと思うと、これ(個人情報のトラッキングの可否)を「許可していかない限り、パーソナライズは受けられない」ということに気付いて。「ユーザー側も自分の情報を積極的に開示していかなければならないんだ」ということは、すごく思うようになりました。
井戸
確かに、(個人情報を)開示するとなると、「開示する先への信頼も必要になり」ますよね。
佐藤
だから、そこ(開示する先への信頼)を含めての「CX競争」じゃないの?
井戸
要は「データをもらえるか」みたいな…。
久田
まずは「信頼を得る必要がある」わけですね。
佐藤
実際、そうじゃない? よく分からないけれど、「怪しいフィッシングメールみたいなやつ」が来る時あるよね?
井戸
ありますね。
佐藤
「あなたの銀行は乗っ取られました。すぐに番号を変更してください」みたいな意味の分からない日本語の綴られたメールが来る時あるよね。少し見れば怪しいことは分かるのに、クリックする人がいるから、あの手の手合いはなくならないんだろうけど、結局はそういうことだよね。「信頼性がないから、誰もクリックしない」わけだから。
井戸
「信頼性されなければ、スタートラインにも立てない」ということですね?
佐藤
だから極端な話、本当にUFJがフィッシングメールを送ったとして。はっきり言って「無意味」なんだけど。だけど、「仮にやったとした」ら、「間違いなく全部大成功する」わけだよね?
井戸
そうですね。UFJ1には「信頼があり」ますからね。
佐藤
「信頼がある」わけだから。例えば一度そういうことをした場合、以降はUFJだろうが何だろうが絶対にやらなくなるよね。今は「究極値で言った」けれど、そういうことだよね? だから、結局「勝ち抜くには?」というところも「信頼性の有無」になるよね。。
井戸
確かに、そうですよね。今回の話題で言うと『花王』という「大手だった」から、「LINEでの個人情報などの開示にも皆さんの抵抗がなかった」と言いますか。だけど、これ(LINEを利用したカスタマーサービスを始めたの)が、「全然知らないメーカーだった」場合、「『やりたい!』と思うカスタマーも少ない」でしょうし。
原
「新しく立ち上げて、顧客を獲得していこう」という会社にとっては、「どこの会社よりもお客さんに寄り添えるスタンスを最初から取らなければならない」という 「ハードルの高さ」も出るよね。「大手がそれ(どこよりもお客さんに寄り添えるスタンス)でやっているのに、『うちはやりません!』とは言えない」と思うから。
佐藤
だから、今の時代に「戦略なきビジネス」というものは成り立つんですかね?
原
絶対に成り立たないよ。
佐藤
そう考えると、例えば「CXで勝てない」と言うか「データで勝てない」となったら、次は「ローカルで戦うしかない」という話になるよね。「ローカルのCX」に移っていくわけだから 。ということは、こうした(勝てるものを探し出す)ことを考えている時点で「戦略」だよね。
原
だから昔は、例えば飲食店の場合、「前を人がいっぱい通るから、こんだけ入ります」みたいに言いましたよね? あの頃は、「お店は出せばもうかる」みたいなイメージだったんです。ところが、現在は「お店を出す」にしても「コンセプトを明確にしなければならない」し 、中身も確実に見せておかなければならない。要は、「接客はこういう人がやります」のようなところまで詳らかにしておく必要があって。しかも、「できれば予約のサイトも持っています」までないと、「新規顧客は入らない」よね。「新しくできたから」という理由だけでは、「もはや人は来ない」ということなんですよ。
佐藤
言い方が良くないかもしれないけれど、詰まるところ「アホでは商売ができなくなってきている」ということだよね。そうなると「一生勉強あるのみ」だよね。
井戸
「戦略が立てられないといけない」と言いますか、ね。
佐藤
とは言え、「必ずしも」ではないんだろうけど、「昔よりは難しくなってきている」とは思う。
原
マーケティングにおける「漠然としていたところ」だった「何をするべきなのか」を、「しっかりと明確化した」と言うか、「具体的にしたうえでの出店である」わけですよ。言い換えると、「マーケティングにお金をかけるべきだという認識を持つようになる」と言いますか。だから、「会社の内外にマーケティングチームを持つことの重要性」が、「どの職種でも求められるようになる」わけですよ。
佐藤
本当に「その通り」であると言うか。でも、何もかも一緒だよね。恋愛にしてもそうだろうし、交友関係や友人関係にしてもそうだろうね。全ては「体験の提供」と言うか。例えば、「嫌な思いをしたら、寄り付かなくなる」わけだし。だから、「すべては信頼の基に」だよね。
原
なので、「信頼や信用のされ方」は、「ある・なし」ではなく、「積み重ねであること」を「会社が実感させていく」ということなんだ?
佐藤
だから、次は「どうやって信頼を獲得していくか?」が問題になるわけですよね。どう? 「信頼を重ねる瞬間」と言うか、「信頼度がどんどん上がっていく経験」は何かありますか?
原
それこそ気付かないところで……。
佐藤
「コンテンツ」や「アーティスト」でも構わないし、「企業」でも良いよ。あるいは「上司」や「部下」でもありだけど。
井戸
今回は「大手」でしたけれど。『Breath.M(ブレスミー)』もそうでしたけれど、「立ち上がりたてのまだ何の知名度も信頼もない状態」を考えた場合に。昔、自分が接客業をしていた時分に心がけていたことですけれど、「相手のことを覚えていること」をすごくアピールしてた時期があったんです。例えば、「名前で呼んであげた」り、「 あの時はこういう話をしてましたよね?」みたいに接したり。後は、コーヒーを出すにしても、「いつもミルクを入れてましたよね?」と一言添えてみるだったり。本当に、「一言あるだけで、信頼してもらうための上昇率がすごく高い」と言いますか。本当に極小の企業からすると、「相手を覚えていてあげること」は、「リピーターを作るうえで、間違いなく大切だろうな」と思います。
佐藤
どう? 「コンテンツなどを消費する時」と言うか「アーティストなどを体験する時」と言うか。
RYUICHIRO
何だろう?
井戸
「コンテンツを消費する時」……。
佐藤
例えば、「好きなアーティストをより好きになった」であったり、「好きなコンテンツが出た」や「新しいコンテンツをもらえるだけですごくエンゲージが高まること」があると思うけど……。
井戸
毎回「好きなタイプのダンス」みたいな(漠然としたことを訊かれても)ね……。
佐藤
徹郎さんはどう?
蒲生
「コンテンツ」で言えば、映画などもそうですけど、 今は「舞台裏を別アカウントで公開している」ことも少なくないですよね。
井戸
「メイキング」ですね!
蒲生
ああしたものを見ると、「ちゃんと作っているんだな」と思いますよね。
佐藤
「裏側」だよね。「裏側」と言うか「ストーリー」であったり、「誕生背景」だよね。
RYUICHIRO
「背景」と言えば、確かにそうですよね。
佐藤
変わる?
RYUICHIRO
変わります。
久田
だけど、それ(背景を知ることで抱く感情は)「信頼」とは少しズレるかも。「親近感のほうが近い」と言うか……。
井戸
「愛着」と言いますか。
佐藤
「勉強になった」という観点では、いろいろな要素があるだろうね。だから、「SNSアカウントの運用方法」などとは似てくるのかもしれないよね。「結局は一緒」なんだけど(笑)。「窓口」がダイレクトに「ユーザー/カスタマーに接している」から。「勉強になりました」に限らず、「尊敬」もあれば、「感動した」や「 安心感」のように、「信頼の形」もおそらくいろいろとあると思うから。
RYUICHIRO
「一つだけ」と言うか「真っすぐに」と言うべきか。「代表的なものがボンとあると分かりやすい」と言いますか。いろいろとやっていると、「結局、何なんだろう?」という不安感はあるから。何か一つでも「突出しているもの」や「メインのもの」が、「シンプルにボンっとあると安心できる」と言うべきか……。
佐藤
要するに、それは「ローソンだったら『からあげクン』」みたいなこと?
RYUICHIRO
そんなような感じです。
佐藤
例えば「入るべきコンビニを選ばざるを得ない状況になった」としたら。俺はおそらく全社横並びだったとしても、「『からあげクン』が食べたい時」は、「ローソンに行く」だろうし。だけどおそらく「ミニストップに行く確率が高い」と思う。いろいろとあるよね。名前がよく分からないけれど。ホットスナックに近い……。
RYUICHIRO
何かありましたよね……。
井戸
ポテトなどでもミニストップのものは違いがありますよね。
原
『Xフライドポテト』ね。
佐藤
あれ(『Xフライドポテト』)もそうでしょう? 「ミニストップは注文が入ってから作る」から。だから「CXに力を入れている」わけでしょう? 「考え方としては昔からできている」よね。
久田
ミーハーかもしれないですけど、「レビュー」というか「周りの声」は、「そのまま信頼に繫がる」かも。
井戸
「口コミを共有する」ということか。
佐藤
「人のCXに基づいて」ね。それもありだろうね。一度(みんなの声も)見てみましょうか。

TOPICS

みんなの声

井戸
そうですね。みんなの声を聞いてみましょう。『携帯会社のCX 向上させて欲しい!』
佐藤
本当、「退会だけでもすごく手間のかかるオプション」みたいなのがあった時に思うよね。後は メルマガでもそうか。「 オプトアウト(離脱)」と言うか……。
井戸
配信停止?
佐藤
配信停止させる時に。ワンクリックで済んで、「ありがとうございました」で終わるところと……。
井戸
「アンケートに遷移させられて」ね。
佐藤
「遷移させられた先にアンケート項目が山盛り用意されていて、1〜10まで答えないと退会させない」みたいな。酷いところは、「メールに退会用のリンクすらない」みたいなことも……。
井戸
ありますね。
佐藤
それ(退会までの導線が分かりやすいか否か)で、印象はもう全然……。
井戸
変わりますよね。
佐藤
CXも全然違うよね。もはや今の世の中は、「マイナス」と言うか「ネガティブなイメージ」を作っちゃダメなんだよ。
原
ごめんなさい。「携帯会社」が主語になってるからついでなんだけど。実はこの間、「引き落としができない」という一件がありまして……。
井戸
「引き落としができない」というのは「ケータイの(料金)」ですか?
原
「携帯電話の利用料が引き落とせないから、使えません」というような表示が出て。対応してくれる窓口に電話したんだけど、すぐに繋がらなくて。「おそらくカスタマーセンターにはたくさん問い合わせが来るのかもしれないけど、俺も忙しいわ!」思いながらどうにか問い合わせようとしたんだけど、結局、(カスタマーセンターの営業)時間内に繋がらなくて。
佐藤
うち(アートリー)でもそうだけど、そういう事情は少なからずあるもんだよ。とは言え、携帯会社は大企業だから違う理由なのかもしれないけれど。それ(営業時間内であってもカスタマーセンターに電話が繋がらないこと)が「その会社の戦略」なのかどうかまでは知らないけど。でも、今の話を聞いていて思ったことは、「できる会社であればCXを追求すれば良い」のかもしれないけれど、 「カスタマー全員に対して最高のCXを提供できるか」と言うと、おそらく「難しくなる」よね。
井戸
確かに「難しい」と思います。
佐藤
要は、まずは「社員教育を徹底して」みたいなところから始めないといけないよね。そもそも「人が足りているから速攻で話ができる」という話ではないわけで。だから、「人が足りていない場合」なら、なおさらだよね。要するに、今度は「会社が社員に対する社員X」みたいなことをやらないといけないよ。「EX:employee experience(従業員体験)」から変えていかなければ、「良いCXを提供できない」わけだから。そうなると、「企業全体としての強さ」という話になるだろうから、それもなかなか……。
井戸
「全ての会社に求めること」は「難しい」でしょうね。
佐藤
だから、「中途半端な時期にある会社の場合」は、一番難しいよね。中途半端なサイズでも、「ワンオンワン」であれば…….。
井戸
可能でしょうけれど。
佐藤
最初から、「1人が100人を相手にする状況」ではないから、起こり得ないよね。だけど、「創業何年目」みたいな「中途半端な時期」になるとどうしても……。
井戸
「一時期」とは言え、「確実に」ありますからね。
佐藤
だから、そこ(企業が成長途上にある段階)で、「(顧客に対しての面まで)考えられるか考えられないか」だよね。「こちらの事情もあるし……」みたいな感じで言ってくるような会社の場合は、「さすがに先がない」よね。仮に、「今はできないけど、何とかしなければならない」と「目的意識を持って考えられるか否か」だよね。
原
そこだと思う。
佐藤
それ(目的意識の有無)も含めて、「競争」のはずだから。
原
例えば、中小企業では「その(目的意識を持たせる)過程を生ませる必要がある」と思います。だけど、「それ(目的意識を持たせる過程)をお客さんに対してどのように説明するか」が異なっているんだと思うんです。
佐藤
「対応の仕方も」ね。
原
確かに、私も「対応の仕方なのかな?」とは思います。単純に「やる/やらないだけの問題でもない」とも思うので。
佐藤
勉強になります。
井戸
次、いきましょう。『保険の営業マンはCXのコンサルできそう。』
佐藤
どうなんですかね?
原
これはその通りだと思います。要は、「 一人一人の人生経験に合わせた」と言うか、「パーソナライズされた形で提案すること」に対しては……。
井戸
「習慣付けられているから」ということですよね?
佐藤
ところで、俺は「保険の営業マン」は「大嫌い」なんだ。ただの「個人的なイメージ」にはなるんだけど、保険の営業マンは、展示会で「逆営業」のためなのか「少しばかりきれいめな格好」をして、よく歩いているの。本当に「パキッとしたスーツ」を着て。だけど、「良いカバンを持っている」にしても、「ボロボロ」なんだよね。おそらく、会社が買わせるんだろうね。だけどそれ(買わせたカバン)の新調は「しない」のか「させないのか」は分からないけれど。
井戸
要は「カバンをアップデートさせること」に対して「価値を見出だせていない」ということですかね?
佐藤
だから、「全員が全員ではないよね」ということを言いたかったんです。要は「人による」と言うか……。
井戸
確かに。「みんなができる」わけではないですよね。
原
だから、「能力のある営業マン」であれば……。
佐藤
「CXを極めていける」よ。
原
という話だと思います。
佐藤
詰まるところ、「看板で判断してはダメだよね」と言いますか。だけど、俺はあの格好(保険の営業マンがスーツだけキレイで、カバンがボロボロで逆営業を狙っている姿)を見ると、「こいつは逆営業だな!」とイライラするんだ。
井戸
次、いきましょう。『おもちゃ屋で例えると、CXは購入する親、UXは遊ぶ子供。』先ほどの…!
佐藤
徹郎さんの話だね。
井戸
最後、いきましょう。『ラーメン二郎は味ではなく、完食するというCXを提供。』
佐藤
ラーメン二郎のCXが「味ではなく完食すること」というのはどういう意味ですか?
蒲生
ところで、「『ラーメン二郎』が何であるか」は知っていますか?
佐藤
それくらい知っているよ。
井戸
「盛り盛りのやつ」ですよね?
佐藤
だけど、「完食することがCX」というのは「どういう意味なのか?」を訊きたいの。「完食できなかった場合は、CXが提供されない」ということなの?
蒲生
「『完食できた時の達成感』のために行く」ということです。
佐藤
そういうことなの? 『ラーメン二郎』は「完食できた時の達成感」を提供しているの?
井戸
「味など」ではなくて?
蒲生
もちろん、「味もおいしい」ですよ。だけど、どちらかと言えば、「体験」としての……。
佐藤
「食べたー!」みたいな感じを? ……だけど、「満腹感」ではないだろうね。結局は「達成感」だろうね。「やり遂げた」と言うか……。
蒲生
実際、「食べ切れずに残してしまう」と「どこか収まりが悪い」と言いますか……。
井戸
「『申し訳ないな』みたいな気持ち」ですよね。
蒲生
「申し訳ないな」という気持ちになります。
佐藤
だから、「提供される価値」は「形とは必ずしも一致しない時がある」ということだよね。
原
要するに、「お客さんが求めているものは何か?」なんだろうね。実際、ラーメン屋にしても、「量ではなくて味が大事」という人もいるわけですから。
佐藤
だから、「本当に考えなければならないもの」は「CXX:カスタマーエクスペリエンス・トランスフォーメーション」なんだろうね。
原
要は「CXのDX化」だよね。
佐藤
だから、さっきのコーヒーの話じゃないけど、形を変えさせる必要があるわけですよ。「スタバはコーヒーを売っているけれど、提供しているものはコーヒーを飲むための時間です」みたいなことだよね。だから、仮に「コーヒーをテイクアウトされるパターン」でも、持ち帰り用の容器が「冷めにくい」や「飲みやすい」のように……。
井戸
「プラスアルファ」されたものであると……。
佐藤
そう。詰まるところ、「いずれにしても、私たちは(コーヒーを飲むための)時間を売っているんです」とアピールできるようにしておく、と言うか。そういう理由から「トランスフォーメーションは必要なのかもしれない」よね。そろそろソリューションを出していきましょう。

TOPICS

ソリューション

井戸
お願いします。
佐藤
本日のソリューションはこちらです。「顧客体験を積み上げよう」。ちなみにこれ(顧客体験を積み上げること)は、「消費者として」です。
井戸
まずは「消費者としてインプットする」ということですか?
佐藤
経営者は「お金がなくても一流を体験しろ」というようなことをよく言うよね。「大切なのはとりあえず一流を知ることだ」と言うか。だから、「積み上げる」よりも「 一流を知ろう」のほうが「適切」かもしれない。
井戸
確かに。「良いものを知っていないと評価はできません」からね。
佐藤
だけど、「悪い顧客体験」もインプットしておく必要があるよ。
井戸
大事ですよね。「反面教師で勉強になる」こともあるし。
佐藤
要するに、「金を使わないと良い営業マンにはなれないよ」という話だよね。
井戸
そこに繋がっていくんですね。「カバンの見た目は大事だよ」ということですね。
佐藤
そうですね。とは言え、「ボロボロのカバン=営業さん」とは限らないけどね。
井戸
ありがとうございます。
佐藤
それでは今日は誰に聞こうかな? 徹郎さん、どうですか? 「カスタマーエクスペリエンス」でしたけれど。
蒲生
私は営業の仕事をしているので、「感慨深いところがあるな」と思いました。私自身としては、「無意識のうちにパーソナライズな対応はしている」と思っているのですけれども、「もう少し具体的かつ戦略的に気を引き締めて考えていかなければならないな」と思わされた、良いきっかけのテーマでした。
佐藤
「CX/UX」と言うけれど、「人の気持ちを考えることが重要なのかな」とは思うよね。
原
「気持ちを売っている」ということだよね。
佐藤
という感じでしょうか。ありがとうございました。
井戸
来週以降の放送はこちらの通りとなっています。次回も木曜日の夜10時にお会いいたしましょう。また 次回もお楽しみに。
佐藤
最後までご視聴ありがとうございました。さようなら。

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