
2022.12.01 放送分
【ゾンビ企業】健全な事業をするには?
第108回アートリーアカデミア
THEME
【ゾンビ企業】健全な事業をするには?
今回のテーマは「ゾンビ企業」。「本来であれば、経営破綻(はたん)しているはずなのに、国や金融機関からの融資などによって倒産を免れている企業」を指して言う。コロナ禍をきっかけに世界的に増加傾向にあり、日本においては2021年度時点で、建設業を中心に、16万社ものゾンビ企業が溢れている状況で、ゾンビ企業と日本の経済の関係などについて解説を加えてながら、アートリーアカデミアでは、どのような答えを見つけたのかをご覧ください。
TOPICS
フリップ解説
- 佐藤
- 今夜も始まりました。アートリーアカデミア。
- 井戸
- 本日のテーマは、「ゾンビ企業を脱却して健全な事業をするには?」。早速フリップを見ていきましょう。「ゾンビ企業」とは、「経営破綻しているにも関わらず、金融機関や政府機関の支援を受けることで存続している企業」のことを言います。
- 蒲生
- 説明するまでもないでしょうが、「ゾンビ」とは「蘇った死体」ですよね。だから「ゾンビ企業」とは、「経営状況は死んでいる」ものの、「なぜか潰れずに生き延びている企業」を喩えた言葉になります。なお昨今のコロナ禍において各国の中央銀行を中心に、様々な融資が行われている中で、「健全な経営活動ができていないことで、この状況に陥っている企業が世界中にたくさんある」ことが分かってきていまして。ちなみに、「国内のゾンビ企業数」は次のフリップにまとめてあります。
- 井戸
- 「日本のゾンビ企業数」のデータをまとめたフリップになります。左のグラフは「ゾンビ企業数の推移」で、横軸が「年度」、縦軸が「企業数」となっています。一方、右の資料は、「借金の利払いが本業の利益を超えている会社が、2021年度だけでも16万社あるよ」という事実を示すもので、「ゾンビ企業化している企業の業種割合」が 円グラフで表されています。
- 佐藤
- 「利払いが利益を超す」……。だけど「赤字を計上している」のであれば、「利益が出ない」分、仮に「キャッシュ(現金)を持っていた」としても「利払いが増える」だけでは?
- 原
- そうですね……。
- 佐藤
- それだけでは「ゾンビ(企業)」とは「言えない」よね?
- 原
- 確かに、「常識的に考え」れば、「利益と同額の借金」であれば、「会社は維持される」わけですよ。だけど、「利益よりも借金の利益払いのほうが多くなる」わけだから……。
- 佐藤
- それなら「どこで輪切りにするか」だよね?
- 原
- だから、一般的な「キャッシュフローを見て」という話とは違うんですよ。
- 佐藤
- そうだよね?
- 原
- 「資金繰りの話とは違う」ので……。
- 佐藤
- だから、「どの時点での16 万社なのか」だよね? 例えば「年度」で見るのか……。とは言え、「年度で切った」としても、「仮にキャッシュを持っている」とすれば、「おそらくゾンビではなくなる」だろうし……。
- 原
- そうだろうと思います。
- 佐藤
- だよね? 単に「一時の状況」だけ見れば「ゾビっている」のかもしれないけれど……。「『復活不可能』なまでに壊滅的打撃を受けている」のか、あるいは「この先10年くらい利益を出し続けなれば立ち直れない」ことを指しての「ゾンビ」なのか……。
- 原
- 確かに、「条件によって算定方は変わる」でしょうね。
- 佐藤
- だけど、簡略化されてはいるものの、どちらのデータも「ゾンビ企業認定されている会社が、約16万社もいるよ」ということを表しているんだよね?
- 蒲生
- そうですね。
- 佐藤
- そうだよね。そもそも「計算方法次第」では、うち(株式会社アートリー)も「ゾンビになる」可能性があるわけだよね?
- 久田
- 確かに。どう考えても「タイミング次第」ですよね。
- 原
- おっしゃる通りですね。
- 久田
- ところでこの「ゾンビ化している企業」というのは、「利益オーバーになっている利払いを返せていない」んですか?
- 佐藤
- 「返せてもいない」ならそれはもはや「倒産」だよね?
- 久田
- ということは「返せはしている」の……?
- 佐藤
- 単に「(返済を)待ってもらえんかった」みたいな……。
- 原
- 状況としては「元金すら返せていない」ですね。
- 井戸
- あー。
- 佐藤
- なるほど。
- 原
- そもそも「元金を返せていない」ので、「利払い」なんてとてもとても……、という解釈になります。要するに「過剰債務なのに営業を継続している」……。言わば「繰越利益剰余金がそもそもマイナスのままの会社の話」なんですよ。
- 佐藤
- そういうことなんだ。
- 佐藤
- ところで、仮に「『コロナ禍における救済措置などが一切なかった』ことにより、『ゾンビ企業が全滅した」とした場合、日本経済は「どうなっていた」のだろうね?
- 原
- おそらく、「助成金やコロナ融資が全く適用されない社会状況にあった」とした場合は、ゾンビ企業は「間違いなく全て潰れている」でしょうね。
- 佐藤
- 実際の経済への影響はどれくらい出ていたと思う?
- 原
- おそらく「筆舌に尽くし難いくらいの阿鼻叫喚」でしょう。例えばこのフリップ(「日本のゾンビ企業データ」)この円グラフには「建設業」や「製造業」のようにいくつもの業種がありますよね?
- 井戸
- えぇ、確かに。「建設」、「製造」、「卸売」、「サービス」、「小売」……。
- 原
- だから、仮に、「現状ゾンビ化してしまっている16万社が全て潰れた」ところで、「不景気になるか?」と訊かれたとしても、答えは「ならない」んですよ。とは言え、「様々な業種にドミノ倒し的に波及していく」分、「目を覆いたくなるような経済的大惨事にはなる」でしょうから……。
- 井戸
- あー。
- 佐藤
- そうなると(「ゾンビ企業化してまで生き残る」か「いっそのこと潔く潰れてしまう」かの)「どちらが良い」のだろうね?
- 原
- 「どっちもどっち」だよね。
- 井戸
- 「どっちもどっち」だなんて……。
- 原
- ただし、「生存率が高い」のは、「少なくとも現状」だからね。ちなみに、左のグラフで「一時期ゾンビ企業数が増えている」よね? あの頃はいわゆる「リーマン ショック〜東日本大震災にかけての時期」なんだよ。
- 佐藤
- なるほど。
- 原
- そう。だからその後の「アベノミクスだ何だ」などの経済政策の効果もあって、「一時期はそこそこ減った」のだけど……。結局、コロナ禍を受けてこの先はまた増えていく……。
- 久田
- 「また増える」んですか?
- 原
- 実は「現在コロナ融資を受けている企業」には、「無利子補給」と呼ばれる「3年間は利息を返さなくても問題ない期間」が設けられているんです。とは言え、「コロナ禍になったのが約2年半前」なので。しかも「ほぼ同時期にコロナ融資も制度化されている」ので……。
- 井戸
- そういうことか!
- 原
- だから、あと半年後ぐらいには「返せないところが続出する」可能性は……。
- 久田
- それは「利息が発生するようになるから」ですか?
- 原
- そうですね。おまけに半年後からは、「返済も開始される」ので……。
- 久田
- 実は「返済そのものも始まっていなかった」のか……。
- 原
- そうです。
- 佐藤
- ということは、(現状「ゾンビ化しかけている」企業が)「リアルゾンビ(企業)の仲間入りになる」わけ?
- 原
- そうです。半年後以降には「リアルゾンビ(企業)が大量発生する」かもしれないんです!
- 久田
- (半笑いで)リアルゾンビ……。
- 井戸
- あー 。要するに「予備軍が多い」のか。
- 原
- そうです。予備軍が「掃いて捨てるほどいる」ので……。
- 佐藤
- ということは、この先の経済は「荒れる」わけ?
- 原
- そうです。
- 佐藤
- 言い換えれば「競合は減る」よね?
- 原
- 確かに、「前向きに捉えれば、そういう解釈はできる」けども。
- 佐藤
- 「生き残れる側としては」ね。
- 井戸
- 確かに。
- 原
- だから、ゾンビにならずに生き残れれば、「さらなる顧客獲得も可能」でしょうし……。
- 佐藤
- 加えて「人材も放出される」わけだから……。
- 久田
- あーそうか。
- 原
- 要するに、「人材採用をしたいなら半年後くらいから始め」れば、「大量採用も可能」だと思う。
- 一同
- へー。
- 佐藤
- ということは、「コロナ融資を受けてゾンビ化している企業」は、「思った以上に多い」わけだね?
- 原
- ご明察。
- 佐藤
- なるほど。
- 蒲生
- もちろん、「未だ収束し得ないコロナ禍 尾を引いている」のですが、「円安」及び「原油価格や原材料品の高騰」もあって、「今までゾンビ化せずに済んでいたはずの企業が、ゾンビ(企業)デビューしてしまう」という深刻な話もあります。
- 久田
- ゾンビ(企業)デビュー……。
- RYUICHIRO
- 嫌なデビューだ……。
- 一同
- (笑)
- 佐藤
- 要するに「ゾンビループが発生し続けている」わけか?
- 原
- そうですね。だからおそらくこの先「不況に陥った」とした場合、「通常であれば2〜3年もあれば景気が回復される」のだけど、(「あらゆる業界のゾンビ企業が続け様に潰れまくる」という)「経済的な大ダメージを食らう」分、「不況そのものが5年ぐらい続く」恐れがあるんだよね……。
- 佐藤
- 「名前がキャッチー」な割に「思った以上に結構深刻な状況」なんですね?
- 原
- そうです。
TOPICS
テーマ討論
- 佐藤
- そろそろ課題に戻りましょうか。
- 井戸
- 課題「ゾンビ企業を脱却して健全な事業をするには?」
- 佐藤
- 「簡単な話ではない」とは思いますが、原先生は「いかがお考え」ですか?
- 原
- 確かに「簡単な話ではない」ですが……。ところで、「ゾンビ企業の社長あるある」みたいな発言があるのですが、説明してもよろしいでしょうか? 私が仕事柄話を聞く「ゾンビ化してしまった企業の社長がしばしば言うこと」としては、「世の中のせい」や「景気が悪いせい」みたいな言い訳じみた内容が多いの。
- 井戸
- ほー。
- 佐藤
- 要するに日本の企業経営は「目を瞑っていてもできてしまう」ところがあるから……。
- 原
- そうね。
- 井戸
- あー。
- RYUICHIRO
- へー。
- 佐藤
- 要は「倒産すること自体が結構珍しい」と言いますか……。
- 原
- そう。
- RYUICHIRO
- なぜですか?
- 佐藤
- なぜだろう? 「職人肌な人が多い」のかな? 要は「自身もプレイヤーであるから」と言いますか……。
- 原
- そうね。
- 佐藤
- 規模を小さくすれば「延命もできる」し……。
- 井戸
- あー。要は「倒れるまで行かない」のか。
- 佐藤
- 要は「規模を圧縮して」みたいな。それに「続けるか止めるか」を判断するのは「自分」だから。例えば「欧米」では、企業には「オーナー」がいて、「社長」がいて……。だけど日本は「株主社長」と言いますか……。要するに「日本は親方気質」なのだろうね。
- 原
- おっしゃる通り。
- 佐藤
- 言わば「株主が社長をやっている」というべきか……。
- 原
- そうですね。日本の場合は「プレイヤー兼経営者兼オーナー」ですからね。
- 佐藤
- だよね。だからその分「やれてしまう」のかもしれないよね。実際、「欧米」であれば、「会社社長とオーナー(経営者)は別人」であることも一般的だから、仮に社長が押し進めようとしても、オーナーが「無理だね」と言えば、「資金投入もストップさせられて強制終了」みたいな感じだから……。
- 原
- そういうこと。それから、さらにもう1つ挙げるとすれば、日本では、「本人が破産する」場合と「取引先が破産させる」場合で、「破産にかかる費用が全然違う」んです。
- 佐藤
- そうなんだ!
- 一同
- へー。
- 原
- 例えば仮に「金融機関がある企業を破産させる」にしても、「かえってお金がかかってしまう」んです……。だから「それならこの人が破産するまで待とう」みたいな戦略になるので、それもまた「ゾンビ企業が増える」理由なんです。
- 佐藤
- そうなんだ。へー。
- 原
- しかも「リーマンショック」や「バブル崩壊」などの影響もあって、金融機関では「貸し剝がし禁止」が常識なんです。
- 佐藤
- そうなんだ。
- 原
- それも結果として、「ゾンビ企業を増やす原因にもなっている」のですが……。
- 佐藤
- へー。
- 井戸
- ところで、「貸し剝がし禁止」とは何ですか?
- 佐藤
- 「貸したら剥がしてはいけない」でしょう?
- 原
- そう。
- 佐藤
- だけど「メガバンク」……。それこそ『なんとか半蔵』……じゃない。何だっけ? 『服部半蔵』ではなくて……。
- 原
- えーと、「倍返しのやつ」ですよね?
- 佐藤
- そう!
- 井戸
- もしかしなくても、『半沢直樹』?
- 佐藤
- それだ!
- 井戸
- (半笑いで)「半蔵」ではないよ……。(※「服部半蔵」では、徳川家康に仕えた伊賀忍者である(苦笑))
- 一同
- (笑)
- 佐藤
- 『半沢直樹』を見ていると、「メガバンクは大銀行であることを盾にして問答無用で剥がして」いるよね?
- 原
- だけど、「ドラマで取り扱われている内容」としては……。ドラマの中ではどうだったかな?
- 井戸
- 確かに「剥がして」いますよね。
- 原
- ちなみにあの手のドラマで「よくある展開」としては、過去に「貸し剥がしが原因で自殺した人物がいて……」みたいな話の流れがあって、「『今ではそういうことはできないんだよ』というような解説がされる」ので……。
- 佐藤
- ということは、「基本的には剥がせない」のか。
- 原
- そういうこと。
- 佐藤
- そうなのか。
- 原
- 正しく言えば、「現状においては『貸し剝がし禁止が常識』」ですが、「貸した融資自体は基本的に剥がせる」んです。とは言え、それ(貸し剝がし)をしてしまうと、金融庁から「お宅の銀行は何をしているんですか?」とツッコまれるんです。
- 佐藤
- 渡邉さんはここまでの話を聞いていていかがですか?
- 渡邉
- やはり今はいわゆる「ハイブランド」と『ユニクロ』や『シーイン(SHEIN)』という中国のローの……。
- 井戸
- ああ。「ファストファッション」の。
- 渡邉
- 要はかつて「中間層」と呼ばれたところを狙ってたアパレルブランドは、おおよそ「百貨店などの3〜5階をメインの売り場としている」のですが、今やこのゾーン自体が「ガラガラ」なんですよ。それがいかにも「ゾンビだなー」と思えて。むしろ「百貨店のアパレルテナントがまとめてゾンビ」のように思います。
- 佐藤
- 「百貨店のアパレル売り場がガラガラ」とはどういうこと? 単純に「人がいない」ということ?
- 渡邉
- そうですね。
- 佐藤
- それは「ゾンビ」だ。
- 渡邉
- そうは言っても「百貨店に常設店舗を構えられるブランドは最大手」なので。要は「今までの貯えを切り崩して生き延びている」のか、それとも「『レナウン(※『ダーバン』などの元運営会社。経営不振により2010年に中国の大手繊維会社の連結子会社となり、2020年11月に破産手続きを開始した)』のように息絶えるのか」という違いが「すごく不思議」なのですが。だけど、アパレル業界でも「ゾンビ企業」は少なからず……。
- 佐藤
- それを踏まえて、「ゾンビ企業を脱却して健全な事業をする」には、「どうすべき」だと思いますか?
- 渡邉
- やはり「今までにないサービス」と言いますか、「真似できないような優位性のあるものを持つこと」が肝心だと思います。さらに「無理矢理にでも規模を拡大する」のではなく、「一思いに小規模から始める」でも問題はないでしょうね。欲を言えば、「日本国内の市場にこだわる」のではなく「海外にも目を向けていく」必要はあるでしょうし……。とは言え、「現状ゾンビに陥っている」のでは、「既に手遅れ」かもしれませんよね。
- 佐藤
- そうは言っても「既にゾビっている」のであれば、「なおのこと再構築されるべき」だよね。
- 渡邉
- そうですね。「リセットする」ことは肝心です。さらに言えば、リセットした上で、「自分たちだけの強みを再認識しなければ難しい」でしょうね。
- 佐藤
- そうだろうね。
- 渡邉
- アパレル業界に関して言えば、「1990年代」では、「11兆円」だったかな? 要は製造された服の「100%が消費されてた」のですが、今や「製造分の50%しか消費されない」んです。要するに残りの半量が「売れ残りなどの在庫になっている」わけです。
- 一同
- へー。
- 渡邉
- 要は「小売のあり方がこの20〜30年で、変わってしまった」こともありますが。だけど見方を変えれば、「現在のアパレル業界は製品を作り過ぎ」とも言えるので……。
- 佐藤
- それなら「事業規模を圧縮する」のも一興だよね?
- 原
- 確かに。
- 佐藤
- とは言え、「そこに人材が伴われる」場合は……。「雇用を切る」や「物件を手放さなければなならない」などの「諸問題が出る」から。おそらく「苦渋の決断を迫られそう」ですよね。だけど、「事業規模を圧縮させる」ことで「生き残れる場合もある」と言うか、「事業を健全化させられる場合もある」よね?
- 原
- そうだろうとは思います。
- 佐藤
- そこは「後押しできれば良い」わけだから、「『圧縮補助金』みたいなものを作れば良い」わけだよね? 「事業圧縮補助金」……。要は「事業を圧縮させて何%減達成できたら補助金をあげる」みたいな……。
- 原
- それなら、「圧縮しない」という選択肢も必要だよね。例えば、「既に圧縮した事業に資金を投入して元に戻す」みたいな……。
- 佐藤
- ムリよ!
- 一同
- (笑)
- 佐藤
- それができてたら「借り入れで賄えている」よね?
- 原
- そうだね。
- 井戸
- 確かに、「ゾンビにはならな」かった……。
- 久田
- ムリやん!
- 原
- だけど、「リスケ」と言って……。……「借りたお金を満額で返さないこと」を「リスケジュール」と言うのだけれど。「これ(リスケ)をしている会社はもはやこれ以上融資を受けられない」ので……。
- 佐藤
- ということは「(事業を)圧縮する」か「飛ぶ」かの2択だよね?
- 原
- その2択なので。だから……。
- 佐藤
- それなら「ゾンビを健全化させるための方法」としては「圧縮補助金を作る」ことが一番の名案だろうね。要は「(事業規模を)圧縮できたら補助金を出すので、それを元でにもう1度 旅立ちなさい……。「旅立ち」……。「旅」……。
- 井戸
- 要するに「リスタートしろ」みたいなことですか?
- 佐藤
- 「リスタート」……。「旅立ち直し」……。何がしっくりくるだろう?
- 原
- 「再出発」ですか?
- 佐藤
- それだ! 「再出発補助金」みたいな具合でね。
- 原
- うちの事務所(原辰彦税理士事務所)は、「一般的な会計事務所とは異なり、『民事再生の相談』もよく承る」んですよ。ちなみに「民事再生」とは、例えば、「1億円の借金がある会社」……。仮に「A社」があったとして。でA社の言い分としては、「仮に借金額を1割にできれば、事業を継続できるんです」として。だから、裁判所に「借金がある程度の割合で割引されれば潰れずに済むんです」と訴え出る制度のことになります。もちろん、「裁判所が絡む」ので、「弁護士と組む」案件にはなるのですが。それでこれ(民事再生)が適用されると、要は「1億円あった借金のうち1000万円分だけ返せばよくなる」んです。だから、「事業」という意味では「圧縮も必要」とは言えますが。ただ、「無闇に圧縮させる」だけではなく、「圧縮させた上で適正な事業や財務の内容にしていくこと」も含められれば、「そこから復活させられる」も可能性もあるので……。
- 佐藤
- 要は「お金があれば結構大きな動機になる」わけだよね。だから「後押しをする」と言いますか……。そもそも「前向きに取り組もうとしているところ」と言うか、「やれるところは勝手にやっている」はずだよね。だけど、事業内容が大赤字で「パニくった」挙句、「五里霧中」みたいな有り様で、「停滞しているところに喝を入れる」のであれば……。それなら一思いに「お金あげるから、再出発してきたら?」と引導を渡せるようなものが作れれば。そもそも、「ゾンビ(企業)がゾンビ(企業)であるゆえん」自体、「家計が悪化しているに、エンゲル係数がそのままである」みたいな話で……。
- 久田
- 確かに「例えるのであればそのようなところ」でしょうね。
- 佐藤
- だから「意図せずゾンビ化してしまっている」わけだよね?
- 原
- そうです。
- 蒲生
- だから、「民事再生と圧縮補助金のコンボ技」は「良い」と思います。
- 佐藤
- 本当⁉︎
- 一同
- (笑)
- 井戸
- 採用!
- 一同
- (笑)
- 佐藤
- 確かに「事業の存続が瀬戸際でつらい思いをしている」場合、「これを切り捨てなければならない」や「テナントを縮小せざるを得ないのか……」となりがちだろうけど……。仮に「お金がもらえる」のであれば……。
- 原
- 「あり」だろうね。
- 蒲生
- さらに言えば、「社内の稟議も通しやすくなる」でしょうから……。
- 佐藤
- 例えば「退職金に当てる」みたいな……。
- 原
- 実は、「破産したくてもできない会社」は「かなりの数である」んですよ。そもそも「破産するにも法的手続きを経なければならない」ので……。だけど 裁判所に破産申告するには、「借金額に応じた『予納金』というものを支払う必要がある」んですよ。
- 井戸
- 「破産するにもお金がいる」のか……。
- 原
- だから、「『お金がないので破産します』はできない」んですよ。なぜなら、「破産するにもお金が必要」なので。
- 久田
- へー。
- 井戸
- はー。「それはゾンビ(企業)にもなる」わ。
- 原
- そう。それも「結果的にゾンビ(企業)を増やす原因」ではあるんですけどね。
- 井戸
- 要するに「死ぬに死ねないゾンビ(企業)」か……。
- 原
- そういうことですね。
- 佐藤
- 若い世代は「起業」に対して、「倒産する可能性があること自体がリスクだ!」みたいな主張で「恐れている節がある」ようだけれど……。だけど実際には、「本来であれば倒産しているはず」なのに、「倒産したくてもさせてもらえない状況に陥れられている大人が大勢いる」と知ったら、どう思うだろうね?
- 原
- そうね。おそらく「価値観が変わる」かもしれない。
- 久田
- そうは言っても「さらなる地獄のような状況もあり」ますけどね。
- 原
- 確かに、「会社が倒産する以上に怖いことはたくさんあり」ますが。
- 佐藤
- だから「倒産することはむしろリスクではないよ」とアピールするべきかもね。要は「倒産させてもらえるだけラッキーだよ」と言いますか……。
- 原
- そうね。
- 佐藤
- 「起業したらなかなか倒れさせてもらえないよ?」みたいな切り口で……。
- 久田
- それなら倒産するほうが「断然良い」……。
- 原
- 本当に「そう」だと思います。
- 佐藤
- RYUICHIROさんはどう思いますか?
- RYUICHIRO
- 「コラボ」なんていかがですか?
- 佐藤
- おぉ⁉︎
- RYUICHIRO
- 例えば「ゾンビ(企業)同士の」……。
- 佐藤
- それは「合併」と言うこと?
- 井戸
- 確かに……。
- RYUICHIRO
- 何と言いますか、(ゾンビ企業同士が手を取り合って、いっそのこと)「一思いに協力して」しまえば……。
- 原
- 実は「発想としてはあり」なんです。例えば製造業で「2社のゾンビ企業」……。今度は仮に「B社」と「C社」としましょうか……。があったとして。例えば、B社は「ノウハウや技術はある」ものの、「機械を直したり、買い換えたりするだけの資金がな」く、C社は「量産品を作ってる関係上、多くの機械 を持って」いるけど、生産品が「少量多品種になってきて厳しい」として。この2社はそれぞれ「強みと悩みを抱えてる会社」ですから、「解決策」としては「2社を合併させて再構築させる」ことも一興……。だから、忘れがちではあるのですが「発想が大切」なんですよ。
- 井戸
- あら。
- 原
- なぜなら「今までの方針を崩せない経営者は少なくない」からです。
- 佐藤
- そこが「問題」だよね。
- 原
- そう。
- 佐藤
- 特に旧世代的な発想に囚われている経営者の場合は、「意固地なまでにスタンスを変えようとしない」からね。だけど、「環境に合わせて経営方針を柔軟に変えられる組織」であれば、「ゾンビ化せずに済む」んだけどね。
- 原
- おっしゃる通りではあるのですが、少なからぬ経営層は「うちは何があっても方針は変えないからね!」と「ムダに意地を張っていた」結果、「金銭的余裕の有無を差し置いて退っ引きならない状況に陥ってしまった」ことで、「ゾンビ企業が生まれる根本的な理由」が生成されてしまっているわけです。
- 佐藤
- 要するに、「木造で築年数の古い家を立て直して鉄筋コンクリート造にしよう!」みたいな話をするべきところなのに、「家主(=経営者)が畳の上に座したままどかない」ことで、「周囲はコンクリートでガンガンに固められている」のに、「自分の座っている畳だけがじわじわと腐っていく」みたいな有り様なのかな?
- 原
- だから、「そこ(ゾンビ企業化)から脱却する」には……。
- 佐藤
- 「スタンスを変えるべき」だよね!
- 原
- 「それはそう」ではあるけれども、「意識を変えられない人は少なくない」ので……。
- 佐藤
- だから、重要なのは「きっかけ」だよね? 例えば俺が提案した「補助金」も、「お金がもらえることをきっかけに不採算経営を圧縮させよう」というアイディアだし、RYUちゃんの「ゾンビ企業同士のコラボ」も、「合併することで事業性を改善させられる機会を得られる」のに、「誰かと一緒になるのは嫌だ!」みたいな「わけの分からない意地の張り合いのようなものがある」ことで……。だけど、極論を言えば、「倒産して潰れるか合併して生き延びるかどちらがマシか⁉︎」という「究極の2択」みたいな話になっているわけだよね。そうは言っても、「(ゾンビ企業に関する)ほとんどの問題」は、おそらく「意識改革で解決する」ような気がするんだよね。要は「企業経営意識や現状とのマッチング不成立がそのままにされている」結果、「 摩擦や解決できない問題が残されている」わけだろうから……。
- 渡邉
- 確か『ANA』や『JAL』もそうですよね? 要は「ホスピタリティ(おもてなし力」)のある人材が大勢いる」けれど、(コロナ禍であることから)「空港の利用者数が激減した」ことで、「(従業員)全員分の働き先の確保が難しく」なって……。だから、「働き先があるところに人材派遣をする」ことで、「企業としては生き延びられた」わけで……。
- 佐藤
- そうだよね。『ANA』などは「状況を見据えて方向転換ができた」から、「ゾンビ化せずに済んだ」と言いますか。むしろ「(現状を)チャンスと捉えてどう動くべきか」と考えたわけで……。……差し詰め「手垢の付いた言い回し」をするなら、「頭の回転が柔軟か否か」みたいな話だけれども……。
- 原
- ちなみにこの件について補足しておくと。「『ANA』の場合」は、「コロナ禍さえ終われば、またみんなが旅行に行く社会に戻るよね?」が前提なので。だから、「コロナ禍を理由にした人員整理の過程で優秀な人材がいなくなるのが惜しい」と感じたわけです。だから、現状を「人材育成に使うべきだろう」と考えたわけですよ。
- 渡邉
- そうらしいですよね。
- 井戸
- むしろ「チャンス」なんですか?
- 原
- 要は「逆転の発想として『チャンスである』とみなした」わけですよ。そうは言っても、「『空港維持』などの必要経費は出て行ってしまう」のですが ……。それでも、「人材を大切にしよう」という考え方があったことで、(この先コロナ禍が終息して)「海外を含めた旅行にどんどん行こう!」という社会が戻ってくると仮定した場合、「会社の規模をそのまま維持できる」ので……。
- 佐藤
- なるほど。それなら「それで」良いよね。要は「社員を派遣しよう」みたいな……。
- 井戸
- 「社員を派遣しよう」……。あぁ! 名案ですね。確かに「人は財産」ですからね。
- 原
- 「大事」ですよ。しかも「人材を成長させる機会にもなり」ますからね。例えば「仕事がない」ことが、企業にとって「深刻な問題になった」としても、「従業員たちに存在価値を再認識させられる場を提供できる」わけだからね。
- 佐藤
- ということはむしろ「貸し出し」で良いのか。「テナント」は「貸し出せば」良いし、「社員」も「貸し出せば」良いわけだし……。
- 原
- そうね。
- 佐藤
- さすがに「金」は「なければ貸し出せない」けれど……。
- 原
- さすがに「金は」ね。だけど、「そういう話」なんですよ。例えば、「空きテナント持っている」のであれば、「他の店舗に貸す」だけでも「家賃は浮かせられる」わけで。だから「人材」に対しても同じだろうね。(人材を多く)抱えていれば、「人件費というコストが大」だと思われるけれど、仮に人材の大半を「出向させた」上で、「出向先で得られるものは全て身に付けた上で帰ってきてくださいね」とすれば……。
- 佐藤
- そうか! 「リソースをシェアしよう」……。
- 渡邉
- 確かに「そう」ですよね。
- 佐藤
- 何だか「ソリューションがすごく出る」んだけど⁉︎ (ちなみに、)「どれで」行く?
- 井戸
- 「すごく良い」(流れ)ですね。
- 久田
- どれで行こう……?
- 原
- 「全体を総括したものが良い」と思います。
- 井戸
- すごい……。
- 佐藤
- 「圧縮補助金」で行く(笑)?
- 原
- 「全然違う」じゃない! さすがにそれだけは……。
- 佐藤
- まさかの「俺が最も言っていることと違う」ことを……。
- 一同
- (笑)
- 原
- 今まで「どれだけの熱量を持って」話をしていたの?
- 佐藤
- 何と言いますか……。
- 井戸
- (そうは言っても)「ここ(ソリューション提示用のタブレット)に書く」のは「佐藤社長だから」ね。
- 佐藤
- 「圧縮補助金で〜」なんて……。
- 井戸
- 書くかもしれない!
- 佐藤
- 「人を活かそう」という話をしていたのに、「人を減らす内容を書いていました」……。
- 一同
- (笑)
- 原
- だけど、本当にこの話は「走り出させると止まらない」よね。なぜなら「来年には現実問題として出てくる話」なので……。
- 佐藤
- 要は「意識さえ変えられればどうにでもなる」話だよね? なぜなら「日本固有の社会情勢のせいではない」わけだから……。
- 原
- 「そう言えなくもない」とは思いますが……。
- 佐藤
- ……分かりました。
- 井戸
- お願いします。
- 佐藤
- 「余分に話してもらえた」ので……。
- 渡邉
- (前回の丈亮さんのボヤき(※前回( 2022年11月17日)放送の第107回『事業成長担保権』の終わりがけで、佐藤は「告知の時間が短か過ぎて、ソリューションを煮詰めるヒマがない」と不満を漏らした)を踏まえて、告知の)「尺を長めにした」ので。
- 佐藤
- やはり、「閃いたアイディアを何周回させられるか」が「クオリティ面で重要になる」んだよ。
- 井戸
- 要は「脳味噌の」……。
- 佐藤
- パッと閃いたものをこねくり回して「これだ!」と思える形に仕上げるには、「それなりの時間が必要」だからね。
- 一同
- (笑)
TOPICS
ソリューション
- 佐藤
- 本日のソリューションはこちらです。「事業再生の専門家に相談しよう」
- 原
- ありがとうございます。
- 佐藤
- 今回は「いろいろとアイディアをいただけた」ので……。ところで原先生のお仕事は「事業再生士」でしたっけ? ……あぁ。「税理士」か。
- 原
- 「税理士」です。ですが、それ(事業再生)が「ほぼメインの仕事」ですから……。
- 佐藤
- 実際に「コラボ」や「リソースを出す」など「いろいろなノウハウを持っていらっしゃる」わけだから。だから、今回の結論としては「専門家に相談しよう」ということに尽きるわけで……。
- 原
- ありがとうございます。
- 佐藤
- ありがとうございました。
- 佐藤
- だけどこうやって原先生を見ていると、「牧師的な感じがする」と言いますか、「『ドラクエ』などファンタジーRPGの教会にいて復活させてくれそう」な……。
- 原
- そうですか? だけど「結局は2択」だよね? 聖職者なら、ゾンビは「成仏させる」か「仕留めるか」だから……。
- 佐藤
- (笑)
- 佐藤
- それはそうと、「ゾンビ(企業)が全て清算される」ことは「あり得る」の?
- 原
- 「あり得ます」よ?
- 佐藤
- 「あり得る」のか!
- 久田
- へー。
- 原
- おそらく、「コロナ禍を背景に湧き出たゾンビ企業は清算される」可能性が高いでしょう。
- 佐藤
- だけど、「これまででも『ゾンビ企業はあった』」わけだよね?
- 原
- それは「そう」だけれども、それ(コロナ禍以前から存在していたゾンビ企業)は、「ものづくり」という「日本の基幹産業におけるゾンビ企業」であったため、「潰すわけにはいかない存在だった」わけですよ。
- 佐藤
- あー。
- 原
- だけど、「今回湧いたゾンビ企業」は「サービス系が多い」ので、「最重要かどうか?」を考慮すると……。
- 井戸
- なるほど。
- 原
- だから、そうしたところを踏まえると「清算すべきゾンビも出てくる」ようには思います。
- 佐藤
- ということは「サービス系のゾンビ企業」は「清算すべき」なの?
- 原
- いやいや。「一概には言えない」ですよ?
- 佐藤
- だけど、「製造系のゾンビ企業はそのまま残されていくしかない」わけだよね?
- 原
- おそらく「製造系のゾンビ企業も減ってはくる」ようには思いますけども……。元々、製造業では(原材料などの)「『現地調達』が常識」でしたが、昨今は「円安が進んでいる」ので……。
- 佐藤
- あぁ、そうか。
- 原
- だから、そこ(製造業のゾンビ企業)は「そのまま残る可能性がある」わけですが。特に「現調(現地調達)し続けているところはなおのこと」でしょうね。
- 佐藤
- そういう話ね。
- 原
- だから、「清算される業種としてサービスが多いだろう」とは「一概には言えません」けれど、「可能性は高い」だろうとは思います。
- 佐藤
- ちなみに行政は「どういうスタンス」なの? 要は「ゾンビ(企業を)なくしていく」のか、あるいは「 増やしていく」のか……。
- 原
- 行政は「ゾンビ企業を増やしていくスタンス」ですね。
- 井戸
- 「増やして」いく……。
- 佐藤
- ということは、「増える一方」だよね?
- 原
- そう。だから、(ゾンビ企業自体は)増えてくよ? 特に来年以降は「どんどん増えていく」だろうね。だから遠からず「16万社どころではなくなる」かもしれないよね。
- 佐藤
- ということは、今まで「『一部のゾンビ企業は清算されるかもしれない』という話をしていた」のに、蓋を開けた結果としては「ゾンビ(企業)だらけになる」のね?
- 原
- そう。
- 佐藤
- それなら、「日本経済はどうなる」の? もしかして「日本自体が『ゾンビ国家』になる」の?
- 原
- 日本は「ゾンビ国家にはなりません」。確か岸田総理が「Invest in Kishida(岸田に投資を!)」なんて言っていますけれども。あれ(Invest in Kishida)は「外資を積極的に」……。
- 佐藤
- 要するに「日本企業を海外に売る」みたいなこと?
- 原
- その結果「さらに良い要素になることをアピールしたい」のでしょうけれど……。一応、「経済的な投資をしもらうだけではない」みたいな話ではあるようですが……。とは言え、「話が逸れてきていた」から難だけどね。
- 佐藤
- なるほど。「何のかんのでこうした混み入った話題を『30 分で語り尽くす』ことはなかなか難しい」ですね。ありがとうございました。
- 井戸
- 来週以降の放送はこちらの通りとなっています。次回も木曜日の夜10時にお会いしましょう。来週もお楽しみに。
- 佐藤
- 最後までご視聴ありがとうございました。さようなら。
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