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  • 【オープンイノベーション】中小企業が取り入れるには?
【オープンイノベーション】中小企業が取り入れるには?

2022.10.20 放送分

【オープンイノベーション】中小企業が取り入れるには?

第103回アートリーアカデミア

THEME

【オープンイノベーション】中小企業が取り入れるには?

今回のテーマは「オープンイノベーション」。オープンイノベーションは「開かれた革新」の意で、技術を求める組織が技術力を持つ組織が手を組むことで、新しい価値や技術を生み出していくことを言う。日本での浸透率は半数にわずかに届かないほどで、市民権を得つつある概念であるが、この先より一般的になっていくには、どのようにしていけば良いのだろうか?「中小企業がオープンイノベーションを取り入れるには?」を論点にトークは進んでいく。

TOPICS

フリップ解説

佐藤
今夜も始まりましたアートリーアカデミア。
井戸
本日のテーマは、「中小企業がオープンイノベーションを取り入れるには?」。早速フリップを見ていきましょう。
井戸
「オープンイノベーションとは」という参考資料です。「オープンイノベーション」とは、「技術を求める組織と技術を持つ組織が出会い、新しい価値を創造するための手段」を言います。
蒲生
「オープンイノベーション」という概念は、2000年代初頭に世界で広がり始め、日本では2006年頃から浸透し始めました。そのきっかけは、「今の企業のノウハウでは、グローバル化への対応が難しいよね」と気付き始めたことにあります。その結果、「自分たちの情報を外部に開示して、様々なパートナーと組むこと重要である」とされるようになったわけですね。だから近年では「オープンイノベーションは当たり前に取り組むもの」という認識になってきているわけです。
佐藤
なるほど。何だか、オープンイノベーションそのものが「IT的」だよね。何と言うか「APIを公開してWebサービスに繋げていく感覚に近い」と言うか……。
原
近い。
久田
確かに。
蒲生
そうですね。
佐藤
要するに、「最近になってオープンイノベーションが再注目されている」わけだよね?
蒲生
そうですね。最近になって、「ステークホルダーエンゲージメント」なんて言葉が取り上げられるようになりましたよね。だから、オープンイノベーションに取り組むことは、「ステークホルダーたちと協力していく」上でも「少なからず親和性が高い」わけです。
佐藤
そういうことなんだね。ところで、フリップ中央の「組織」の円から周辺に向かって伸びている「ノウハウ」や「アイディア」、「特許」に「技術」といった両側矢印の意味は?
蒲生
簡単に言うと、「業界違いの他社なり、自治体なり、公的機関なりとそれらを交換することで、イノベーションを起こそうよ」ということです。
佐藤
要は「これまでブラックボックスにしていたところを開示させていく」みたいな話なのね?
蒲生
ご明察。これまでは「各企業が自社のノウハウなどをブラックボックスにしていた分、自社にない機知を得るためには他社の人材を「ヘッドハンティングすること」が主だったんです。だけど、(オープンイノベーションが普及してきたことにより、)「あえて他社の人材を引き抜かなくても、『契約パートナー関係』を結べればそれで問題ないのでは?」という考え方に変わってきたわけです。
佐藤
そういうわけね。
蒲生
続けて、「企業の事例紹介のフリップ」をご覧ください。
井戸
「オープンイノベーションの事例」というフリップですね。「森永製菓株式会社」は、「自社と起業家やベンチャー企業などとお互いのリソース不足を相互補完してイノベ ーションを起こす」目的で、『Morinaga Accelerator』という取り組みを開始しています。具体的には「Webサービスや画像加工の技術をベンチャー企業と提携することで開発する」という新事業を発足させています。また「ソニー株式会社」は、「社内でのスタートアップ事業運営を支える」プログラム『Sony Startup Acceleration Program』を開催し、これまでに「34件の事業アイディ ア育成」と、「14件の事業創出」をしています。
佐藤
これらに関して(原)先生はどうお感じですか?
原
今回は「大企業の事例ばかり」ですが、実際は「中小企業にも広がっている」わけですからね。そもそも、「オープンイノベーション」自体、「自社だけでは創出できない」わけですから。だから、他の企業などと手を組むことで、「あれをやりたい、これを作りたい」という企業の願望成就が「次々と成立している」と言えるように思います。
佐藤
ということは、実際に何か「感じるような経験でもあった」んですか?
原
それこそですが、例えば「企業間のマッチング サービス」が「すごく発展してきている」ような気がして……。
佐藤
それはどういうこと?
原
要はある企業が「(うちには)こういう技術がありますが、活用する気はありませんか?」と提示すると、興味のある企業が「うちのこれと業務提携できませんか?」みたいな話を持ちかけるケースが「少なからず出てきている」そうです。だから、そうした話を耳にする上では、私は「中小企業においてもオープンイノベーションは普及しつつある」と感じます。
佐藤
なるほどね。渡邉さんはいかがですか?
渡邉
そうですね。『VEDUTA』の場合、僕は「縫製工場や和裁士さんの会社も公表して」いますし、それに(『VEDUTA』の)デザイン面では、「(着物に)ファスナーが付いていること」に関しても「特許申請などは何もしていないので。だから、「マネしたければそれで結構」と言いますか、僕としては最終的に「和服の再普及」に繋がれば「それが本望」なので。要するに、「和服職人の仕事が増えればそれで良い」と言いますか。だから、和服製作に関する情報も「オープンにしている」わけで。それから、やはり「大企業」の例で言えば、例えば『アダストリア』というアパレルの会社がありまして。代表的なブランドで言うと、女性服の『ローリーズファーム』などを運営しているところなのですが。ちなみにそこ(『アダストリア』)は、飲食店ブランドも多数運営していて、実際に名古屋市東区の「徳川園」の中のレストラン(『ガーデンレストラン徳川園』)もその系列ですが。若干話が逸れたので、元に戻すと、『アダストリア』は「ARの技術を得意とする会社(プレティア・テクノロジーズ株式会社)と昨年(2021年)から「オープンイノベーションのプロジェクト(ファッション領域におけるDX)」に取り組み始めたんです。それから、『ZOZOTOWN』も、「アメリカや中国などの超大国ばかりがデータを独占しているのはどうなのか?」と、自社でこれまで蓄積してきた「サイズ感」や「売れ筋のデザイン」などのビッグデータを「誰でも見られるようにした」ということもあって。だから、「自社の情報を公開する」などの取り組みしているところは、「やはり増えて」いますよね。だけど、そうしたことが「新しいイノベーションを生み出す」わけですよね。
佐藤
これらに関する補足はありますか?
蒲生
森永の事例では、「ITベンチャーと組む」ことで、「『おやつプリント』というWebサービスを立ち上げた」わけです。要は「お菓子メーカーの森永」に他社が「ロゴなどを入れたノベルティを Webサービスを通じて発注できる」というサービスになります。それで、「その際に行う画像加工などの技術を(森永は)ベンチャー(企業)から「提供を受けた」わけです。それで、「この新事業を立ち上げた」わけですが……。
佐藤
へー。そうなんだ。
蒲生
はい。
佐藤
それで「ソニー」は?
蒲生
「ソニー」の場合は、スタートアップ企業に、「当社にはこういう課題あるのだけれど、何かご助力願えませんか?」みたいな具合で開示して。それで「スタートアップ企業からアイディアを得る」という形式になっています。その結果、実際に「34件の事業アイディアの育成」と「14件の事業化に漕ぎ着けた」ということになります。
佐藤
何か「オープンイノベーション」とは、「通常であれば非公開にしておくべきものを公開にする」みたいなイメージなのかな?
蒲生
そうですね。今回は「大企業の事例ばかり」ですが、実際に「オープンイノベーションに取り組んでいる割合」としては「中小企業のほうが多い」です。
佐藤
そうなんだ。
久田
へー。
蒲生
中小企業は「他社からアイディアをもらう」ことで、「世界に誇れる技術を獲得」したり、「世界と戦えるサービスに成長できるチャンスを得られる」などのメリットがあるんです。何せ、「中小企業には様々な限界がある」ものですから……。
井戸
ああ、「売り上げ」であったり……。
蒲生
「他社の力を借りれる」という意味合いから、中小企業を中心に「オープンイノベーションに積極的な風潮が生まれている」というのが相場でしょうね。
佐藤
それで「成果が出ている」のであれば、「非常に現代的で良い」よね。
原
そうですね。
佐藤
おそらく背景としては「GAFAやBATHの台頭」だろうね。とは言え、巨大IT企業の台頭は、「もはや決定的に覆せない」し、資本主義市場のめまぐるしい時代の激動の中にある限り、「自社のノウハウなどをブラックボックス化させて取り残される」か、いっそのこと「積極的に公開」することで……。もちろん、「パートナーの選定は必要」にはなるだろうけれど、「企業間でチームを組んでいく」みたいな……。おそらく「少し前の言い方」では、「(事業)アライアンス」が近い感じなのかもしれない。
原
おそらくそんなところだろうね。
佐藤
言うなれば、「売り上げをどうやって折半するか?」みたいな話だろうとは思うけれど。もちろん、「それも必要」だろうけれど。とは言えむしろ「オープンイノベーション」と言う言葉があることで、どこか「意識しやすい状況にはなっている」わけだから。だから「非常に良いことである」とは思うけどね。
原
そうですね。実際、オープンイノベーションは「自動車産業などでどんどん進んで」いますからね。分かりやすい例を挙げるなら、「ソニーが本田技研とジョイントベンチャー(ソニー・ホンダモビリティ株式会社)を作って、「新たなものや技術を作っていこう」みたいな……。
佐藤
なるほどね。
原
……という具合に「積極的に進んでいる」からね。だから、「この先様々な業界で(オープンイノベーションが)進んでいっていく」ことは、もはや「大前提」でしょうね。

TOPICS

テーマ討論

佐藤
そろそろ「本日のテーマ(課題)」に入りましょうか。「中小企業がオープンイノベーションを取り入れるには?」ですが。とは言え、「オープンイノベーションを行うこと」に「リスクなどはあるもの」なんですかね?
原
おそらく「知的財産権はどうしても絡んでくる」ように思います。だから少なくとも「知的財産の所有をどうするか?」は、契約として「最初に取り決めておくべきこと」だろうとは思います。それから、「オープンイノベーションを進めていく上での課題」としては、「どこの会社も人材が欲しい」わけですから。だから「優秀な人材が他社へ流れやすくなる」という状況も容易に考えられるでしょう。ですからこれらが「どこの会社も遭遇するだろう危機感である」とは言えそうかなと……。
佐藤
なるほどね。ということは、「どうやって線引きをするか?」が「要になる」だろうね。例えば「協力会社として他社のオープンイノベーションに手を貸す」のか、はたまた「自分が『起こす側に回る』のか?」みたいに。だからおそらく現代という時代においては、「ここまでは出せるけど、これ以上は出さないよ!」みたいな「線引きのセンスがすごく問われる時代」なのかもしれない。
蒲生
おっしゃる通り。例えば「オープンイノベーションを起こすための協力関係にあるA社とB社」という2社があったとして。仮にA社が「全体の20%しか出していない」のに、B社に対して「お宅は保有しているノウハウなどの40%を提供しろ!」と迫った場合、要は「アンバランス」と言いますか……。(B社からすれば、)「うちのほうが出さされすぎじゃね!?」となるわけですよね? だから……。
佐藤
確かに。言い換えると「そこ(各社のノウハウなどの提供量)のバランスが上手く取れてさえいれ」ば、すごく「加速できる」かもしれないよね。
原
実はもう1つ「オープンイノベーションの利点」を挙げるとするなら……。実際、皆さんもご存知かとは思いますが、各社に「企業風土」と呼ばれる「その会社の社風」と言うか「雰囲気のようなもの」があるわけですよね? 実はオープンイノベーションは「企業風土を変えるきっかけになる」んですよ。なぜなら、一般的な勤め人は「他社の企業文化は知らない」ものなので……。
久田
確かに。
佐藤
言われてみれば。
原
だから、「あちらの会社は、こんな価値観なんだ」や「こんな考え方でも仕事はできるのか」みたいな「新しい考え方も学べる」ので……。
蒲生
「ポジティブな捉え方ができるところ」であれば、「それも成り立つ」かもしれませんが。だけど、「相手方の労働環境のほうが良いじゃないか。それに比べてうちは……」みたいな僻みに繋がる可能性もあるでしょうね。
原
確かに「あり得る」だろうね。だから、(オープンイノベーションの協力相手を)「どのように捉えるか」みたいなリスクもあるのだろうけど、「何もしない」よりは「改善させよう」という方向には「振れやすくなる」わけですよね? つまり、「そもそもオープンイノベーションをしない会社」は、「自社だけで成り立てば良い」としか考えないわけですよね。だから、「(自社が)成長しよう衰退しようがその責任は(自社で)全て背負い切れる」と考えているわけですが。だけど、見方を変えれば結局は「自社の市場を広げられないこと」に繋がることを改めて自覚できる場にもなるはずなんですよ。
佐藤
なるほどね。それこそ例えばうち(アートリー)も1枚噛ませてもらっている『YORU MO-DE』の場合も……。あれも(俺の個人的な見解では)「結構なオープンイノベーション」のようには思っていて。要は「金銭面だけで価値を見出そうとすると取引が成立しない」と言いますか……。例えば去年(2021年)『着物詣』を開催した時で言えば、(メインイベントの1つとして行った)「着物マッピング」の場合は、「普通に発注して請求しても良かった」けれど、「いや、これは協賛者として制作面の請求はしなくても構わないかな?」みたいなことは思ったんだよね。実際、うち(アートリー)としても「チャレンジの側面はあった」し、「お金を請求して行う」よりも「自腹でやる」ことで、「アートリーでは、プロジェクションマッピングも承れますよ」という「揺るぎない実績を作る」と言いますか。もちろん運営側同士の「暗黙の了解」みたいなものがあったからこそできたわけだけど……。言ってしまえば、向こうとしては……。「向こう」と言うか、「YORU MO-DE側」……、より正確には「縁日参りプロジェクト側」か。とにかくそこは「うち(アートリー)がやってくれている」みたいな認識ではあるだろうけど……。とは言え、「(YORU MO-DE絡みのことは、)どのみちアートリーに発注することだから、それならそれで良いよね」みたいな ことにはなるわけだから……。どうやって言えば「語弊なく伝わる」かな? 要はうち(アートリー)は「技術を提供」して、向こう(縁日参りプロジェクト側)は、「場所を提供」しているわけだけれど……。だけどそこには「ビジネスなのに目に見えるお金のやりとりがない……。もちろん、「他の場面ではある」わけだけれども。そうは言っても、「そこ(着物マッピング)だけを切り取ると(金銭のやり取りが)ない」わけで。とは言え、こうしたことは今後、様々な事業などにも繋がってくるわけだから。だからオープンイノベーションに関しては、答えは「割と出ている」ような気はするけどな……。
久田
何と言いますか、今までの話を相手の 聞いていて思ったこととしては、(双方が納得できるオープンイノベーションとは、)「『互いのメリット』や『何が起こればハッピーになれるのか』を全て開示させた上で、全員が腹を割って話すこと」と言いますか……。
佐藤
確かに、その見方は一理あるだろうね。
久田
例えば、「このプロジェクトを行っていく上で、自分にはこういうメリットがある」ということは分かっているわけですよね。だけど、第3者の視点が入ることで、「この場合には、自分たちが気づいていなかった新たなメリットがある」みたいなことも見えてくるわけですよね。だから何と言えば良いのか分からないですけれども、要するに「プロジェクト自体の」……。
佐藤
「厚みが増してくると言いますか」かな?
久田
それです! 要は(プロジェクト自体の厚みが)「増してくる」と言うか、「価値が増えていく」ように思います。
佐藤
そうだね。どうしても「お金だけでやり取りをする」となると、それこそ「不都合な時がある」と言いますか……。例えば、「渡邉さんと一諸にやっている延暦寺の件(※『伝燈LIVE』のこと)でも……。……時期的にはもはや「やっていた」なのか……? ……とにかくあれ(延暦寺の件)も「そう」なんだけど、「お金だけでは絶対に成立しない価値があった」からね。例えば(ナベちゃんが)「クライアント」であった場合、結局は「予算の中でしかやれない」わけだから。それに、仮にその場合は、「本来この企画(『伝燈LIVE』)で生まれ得た多くの価値も生まれ得なかった」わけだから。だから「『発注すること』と『オープンイノベーションをすること』には、明確な違いがある」わけだよ。常識的に考えれば、要は「技術提供を受ける」わけだから、(受ける側は)「技術に対してお金を払っている」わけだよね。だから、「本来であれば『売らないもの』を売る」だけでも、「ある種のオープンイノベーションになる」と言うか……。
佐藤
ところで、「オープンイノベーションを進めていく上でのリスク」には何があるの? 要は「中小企業が気を付けるべきところ」と言うか……。要するに「機密情報を筒抜けにさせてはいけない」わけだから……。
原
そこで大事になるのが、「意図や目的の明確化」なんですよ。先ほどの話で私は、「オープンイノベーションの何が目的になるのか? と問われたら、それは『未知なる価値を生むことだ』」みたいなことを言ったかと思います。そこで重要になることとしては、「意図や目的を明確化させること」なんですよ。例えばオープンイノベーションを行う目的が「今までに足りていない技術やノウハウを得ること」であれば、「そこで得たオープンイノベーションを基に自社の製品をどのように世間に広げ、知らしめることで、マーケットにどのような影響を与えるか」までを明確にさせておくことが「最重要課題」のように思います。だけど、中小企業では、「オープンイノベーションをして、良いものを生み出してやろう!」みたいな認識で止まってしまっているように感じられます。だけどもはや「それでは成り立たない」んですよ。なぜなら、最終的なゴールは「オープンイノベーションをして何かを生み出して、さらにそれを活用させて何らかの変革を起こしていくこと」ですから……。
佐藤
そうだね。
原
要は「中途半端なところで止めておしまい」ではないわけです。
佐藤
要するに「どこがゴールかの線引きを間違えない」ことは、「リスクに含まれる」のかな? それこそ(デジタル組織の時の)「要件定義の話」(※2022年10月6日放送の第101回『デジタル組織』の課題検討の最終盤で一同は「要件定義」に関する話で大いに盛り上がっている。詳しくはこちらを参照。)ではないけれど、例えば「ここまでは全力でサポートさせていただきますよ」みたいな流れだったとしても、「ここからは先は人が動くので……」みたいな場合は「あらかじめお金を払っていただきます!」みたいなオープン イノベーションにしておくことも「あり」かもしれないよね。だから、「研修しに行くこと」も「ある種のオープンイノベーション」には違いないよね?
蒲生
そうですね。
佐藤
要は「技術を与える」わけだから……。
蒲生
実際、「病院や研究所による共同研究」なども「オープンイノベーションの1種」には分類されますね。
佐藤
そう考えると、(オープンイノベーションをする目的としては、)「基本的にはお金のやり取りではない」感じはするよね。
原
「目的に対しては」ね。
蒲生
そうですね。
佐藤
一般的に「お金の絡む話」になってしまうと、何と言うか、「ある種のビジネス」と言うか「商売」になってしまうんだよね。確かに「オープンイノベーションで技術を誰にでも公開していく」ことは「APIを公開している」ではないけれど、「技術を売っていることと同義」だものね。言わば「コラボレーションはしている」にしても「マッシュアップしている感じにはならない」よね。
原
ちなみに、中小企業で多いのは、「勘違い」なんですよ。例えば「技術提供をしている側」は「うちは技術提供してるもんね!」で、相手方は「だけどうちはお宅の技術を上手く活用させる方法を知っているもんね!」みたいな「些細なマウントの取り合い」のような話は「実際によく起きる」ことであって。だけどその結果、「そこで揉め始めると先に進まないのだけど?」みたいな展開にも度々陥りますね……。
佐藤
そうだよね。結局双方が「ある程度同じ視座から話ができていなければ成立し得ない話」なんだろうね。
井戸
そうでしょうね。
佐藤
例えば「片方の視座が低い」と、少し前の徹郎さんの「20%だとか40%の話」ではないけれど、「俺たちはこんなにやっているのに……」みたいになってしまうよね。
井戸
そうですね。
原
だから先ほど申し上げたように、「初めのうちに意図や目的を明確にさせておくこと」……、要は「要件定義をしておくこと」が「すごく大事になってくる」わけです。要するに「そこ(意図や目的の明確化という要件定義)ができない中小企業」では、「大体揉め事に繋がることしか起こらない」と言いますか……。
佐藤
要は「お互いの絵をきちんと見せ合おう」ということだね?
原
おっしゃる通り。
佐藤
何だかここまでの話を踏まえると「お金ってすげえ便利だな」と感じた……。要は(お金さえあれば、)「ややこしいことを全てすっ飛ばした」上で、「価値だけ」を……。
原
そうだね。
佐藤
要は「金さえあれば価値を交換できる」わけだから。だから、「値札さえ付けて」あれば……。
原
あまりにも露骨だけど、「そういうこと」だよね。
佐藤
だから、「お金の利便性を再認識した」よ。
原
そうでしょうね。
佐藤
貨幣価値さえ定まっていれば、「ややこしいリスクもない」し。
原
そうだね。
佐藤
渡邉さんは「オープンイノベーション」についてはどうお考えですか?
渡邉
もはや「丸裸」ですよね。実際、「僕のブランド(『VEDUTA』)」に関しては、先ほど言ったように、そもそもの目的が「『自ブランドで着物市場を独占しよう』ではない」ので。僕にできないところに関しては、「京都の老舗呉服屋さんに目を向けてもらうためのアイキャッチになれば良い」くらいの気持ちでやっていますし……。
佐藤
ちなみに、「普段取引している会社や職人さん」には「オープンイノベーションを取り入れたり意識しているところはある」んですか?
渡邉
そうですね。「和服の縫製工場」も結構大っ広げですし、書道家の方も「外国人向けに書をオンラインで教えたりもしている」ので。だから、(僕の周りには)「結構寛容な人が多い」ように思いますね。
佐藤
へー。
渡邉
むしろ「閉じ籠もろう」という人であれば、「僕とは関わらない」でしょうね。
あー。
井戸
そういうことか。
渡邉
要するに「同じ志を持つもの同士」と言うか「自身の保身ではなく、チーム一丸となって輪を広げていくために共に頑張ろう」という人でなければ「共鳴し得ない」ですよね。
佐藤
ところで『Google』や『Facebook』は、「結構積極的」だよね?
蒲生
そうですね。
佐藤
例えば『Google』の場合では、「電話がかかって」きて。「広告の使い方やマーケティングの極意的などをご教示します」みたいな……。
蒲生
そんなようなものがありますよね。
佐藤
「コンサルティング」みたいなことをしてくれるけど、あれは「全て無料」だものね。
蒲生
そうですね。
佐藤
あれも確かに「最初はありがたかった」けれど、今となっ ては、「分かりきっていることが多い」から。だからかかってきたとしても「存じているので結構です!」みたいな感じになりがちなのだけれど。そうは言っても最初の時は「衝撃しかなかった」ものね。「天下のGoogle様から電話がかかってきて、しかも「広告業のノウハウを教えてくれる」わけだからね。そもそも「Google自体がそうしたサービスをしている」ことすら知らない人からすれば「それだけで十分に価値がある」よね。
蒲生
『Google Japan(Googleの日本法人)』に関して言うと、(『Google Japan』社には、)「デジタルの力で日本人の 生活を豊かにしていく(正しくは「テクノロジーを通じて社会の課題解決を目指し、日本の皆様の生活をより良くしていく」)」という「大きな理念」がありまして ……。ところで、先ほど「渡邉さんがおっしゃっていた」ので、「着物」を題材に取らせていただきましょうかね。先ほどのお話を踏まえると、渡辺さんは「アパレル」という業界に対して、「和服をもっと広めていきたい」という大義の元に、「『VEDUTA』を経営されている」わけですよね。だけど、「A社」、「B社」、「C社」みたいな競合各社が、「お互いの収益を上げるため」だけに活動していては、間違いなく「アンバランスにしかならない」ので。だから、例えば「A社単体では実現できない」もの ……。例えば「SDGsに対する取り組み」みたいなものを、「B社やC社と手を組む」ことで、「お互いの社会に対する存在価値を上げていく」と言いますか、「パーパスを掲げてやっていく」ことが「オープンイノベーションのきれいな形」であることは間違いないでしょう。
佐藤
なるほど、そういうことか。今や「自然とやっている」ように見せかけることが肝心なのか。実は『アートリーアカデミア』も今年(2022年)の9月から『フラックススタジオ』に「動画編集を任せたりしている」わけだけれど。とは言え、「音声がイマイチだな」や「カラーグレーディングが甘いかな?」みたいなところを先方まで出向いて、「カラーグレーディングはこういうふうにやってね」や「音声はこの機材を使うとよく聞こえるから」みたいなことをアドバイスしているのだけれど。ちなみに、この間も「ヘッドホンを2本もプレゼントした」のだけれど。だから、(今日の収録を利用して)「(あれから)どうよ?」なんて聞いてみたら、「モロトが感激してます」みたいなことを言われて……。
原
へー。
佐藤
だから、「(これまでの機材では)聞こえなかった音まで聞こえるでしょう?」なんて言って。とは言え、「『フラックス』の宣伝ではない」からね? ……事実、「お金は払っている」けれど、いわゆる「仲良し価格」だけれど……。そうは言っても、「動画に関して技術提供する」上では、「『フラックススタジオ』はうち(アートリー)にとって『競合にはなる』」けれど。だけど、実際には「関係ない」んだよね。要は「うち(アートリー)の仕事のクォリティを上げるためにできる限りの技術提供をしている」わけだから。ところで、これも「オープンイノベーションになる」んだよね?
蒲生
その通りです。
佐藤
結果的に「良いものがもたらされる」のであれば、「全て良し」だよね。だけど俺が考えていて思ったのは……。……珍しく「番組中ではない」のだけれど、「オープンイノベーションで物を成していくことと、ビジネスで物を成していくことの違い」とは……。……蒲生徹郎とも話していたのですが……。要は「価値を出す順番」のように思っていて……。
原
もう少し掘り下げましょう!
佐藤
要は一般な「仕事」では「発注した側ではなく発注された側が価値を出す」わけだから。要は「要求した方」と言うか「手を挙げてアクションを先に起こした方が物を得られる」わけだから。その結果、「得られたものをお金を払って買う」わけだよね。言わば「これが欲しいから買う」や「これをやってもらったからお金を払う」みたいな感覚だけれども。だけど、オープンイノベーションの場合は、「逆」のように思っていて。要するに「先に提供する」と言いますか……。
久田
そういうことか!
佐藤
「返報性の法則」ではないけれど、「先に価値を提供してあげる」ことで、相手も「やってもらったからそれに対して淡々とお金を払う」ではなく、「次の利益を期待して、お布施を払う」と言いますか。要は「相手方から見れ」ば、「『やってもらったからには、こちらとしてもやってあげなきゃ!』みたいな心理になっている」と言いますか……。だから「人にはまず与えよ」みたいな感じで、「中小企業がビジネスにオープンイノベーションを取り入れるきっかけになれば」と思って……。……ところで、「俺の言いたかったこと」は、「分かって」くれた?
原
分かるよ?
佐藤
常識的に考えれば、「発注が来なければ、(発注)そのものを出さない」が「基本的なビジネススタンス」だよね?
井戸
確かに。
原
だけど、「ネタ元あげるから考えてみてよ?」と持ちかけることで……。
佐藤
「ネタ元あげるから」でも良いけれど……。例えば仮に「パン屋さんがある」として。一般的な営業の手法としては「試食などで提供すること」が挙げられるだろうけど。そうではなくて、「このパンをプロモーションしたいので、地域の小中学校の給食に1年間提供します」みたいなことをしたとして……。そこには「強制的」だとしても「取引が発生する」わけだよね?
久田
既に(「パン」という「もの」を)「もらってしまっている」わけですからね。
佐藤
そうだね。「もらえるもの」であれば「まだ良い」だろうけど……。要は「やってもらっている」という認識になるから。いささか「ビジネスの話」にはなってしまうけれど、「関係性ができていく」ことで、例えば、「『今度、追加で遠足に行く時のパンもお願いしようか』みたいになっていく」と言うか、「お宅に提供してもらっているパンがおいしいので、他の学校にも良さを伝えておくわ」みたいな感じで「知らぬ間に宣伝してもらえる」ようになるであったり、「子どもたちはこういうもの食べたいと思っているので、今度こういうパンを開発してもらえませんか?」みたいに頼まれるようになるかもしれないよね。そうした「開発者と顧客のやり取り」が行われることで、「アイディアが出され」たり、「ニーズを掴める」みたいな機会を得られるようになるわけだよね。とは言えそれは、「発注を受けてレビューをもらう」という「プロセスが先にできているから」なんだけど。それから相手方としては「返報として何を返すか」だろうけど。だから「レビューを返してくれる」みたいな「強制的なオープンイノベーションを作っていけるビジネスすること」も必要だろうね。散々しゃべって要点が見失われそうだから、改めて要点だけを出すと、「とにかく先に渡していくこと」だよね。そうは言っても、「どこに対してもやってはいけない」のだけど。なぜなら、安易にポンポンやってしまっては「ビジネスが成立しなくなる」から。だからどこかで「マネタイズはしなければならない」だろうね。とは言え、何かしらの線引きをして、「月に何社かは条件に合うところと商談をやりましょう」みたいにしていくことで、「オープンイノベーションを始めるためのきっかけになっていく」ような気はするよね?
蒲生
良いと思います。
原
あと「あり得る」とすれば、「今までのメイン商品に変わる代替品ができた」として。これまでの常識であれば、「メイン商品の代替品ができれば、それまで売れていたメイン商品であっても売れなくなるから廃番」が当たり前でしたが、オープンイノベーションさせることで、「かつてのメイン商品を活かした2次製品や3次製品を売っていくこと」も「あり」だよね?
佐藤
それはどういうこと?
原
(オープンイノベーションをさせることで、)「廉価版や旧版ではない別のものを生み出せる」と言いますか、「選択肢に出せるようになるだろうなぁ」と思いまして……。
佐藤
そうだね。
原
だから、「商いの方法は絶対的なものではない」わけですよ。
佐藤
そうだと思う。実際、オープンイノベーションがさらに積極的に行われるようになれば、「新しい概念もどんどん醸成されていく」ように思うし、「積極的なオープンイノベーションがされる」ことで、「新しい発想も得られやすくなる」だろうね。だから、「知らんところとは仕事はできん!」みたいに心を閉ざすのではなくて、「新しい価値をもらうために、自社が持つ技術やノウハウを提供しよう!」みたいな心構えができるようにしていければ、何もせずとも自然と「オープンイノベーション化していくケースなども出てくる」ようには思うけどね。だから、ある種の「狙い」として持っていても良いだろうね。だけど、それは「すごい」よね? (オープンイノベーションを進める)「きっかけにもなる話」だものね。
原
なるでしょうね。だから、「オープンイノベーション化が進んでいく」のであれば、それに伴って「マーケットの利用状況も変わってくる」はずなので。つまり「そこに合わせて様々なものを変化させていく」わけですから。その中で、「古いものに対する価値をどうやって見出していくか」も……。
佐藤
 「価値の見出し方の変化の対象」は「古いものだけ」とは限らないように思いますけれども?
原
 「おっしゃる通り」ではありますけれど。例えば、「新たなものを出した」としても、「それをどうやって世に広めていくか?」は、人間が5人いれば、「5者5様になる」わけですよね? だからむしろ、商品やサービスに対する「愛を出しやすくなる」ように思うんです。
佐藤
おそらくは「そう」だろうね。渡邉さんが言っていた「(和服に)チャックを付けるアイディア」に、「著作権」と言うか「意匠権を取らない」ことは……。要はそれ(チャック付き和服の意匠権)を取得してしまうと、「余所は(チャック付き和服の製造が)できなくなる」わけだから、かえって「マーケットの成長が滞る懸念がある」というわけで……。だけど、それ(チャック付き和服の製造)を解放することで、「それ(チャック付き和服)が広がるかどうか」は「また別の話」だろうけど……。そう言えば、こんな話もあったよね? 確か、「あえて特許などを取得しないことで市場を狭めないことで、「参入業者を増やす結果、市場が勝手に大きくなっていく」みたいな理論。だから、そこで要になってくるのは、「先行者利益」だろうね。だからそのために必要になってくるのが「ブランディング」であって……。つまり、それも「オープンイノベーションの1種」なのかもしれないね。
渡邉
「進化させられる自信があるからできる」んですよ。単に「それだけで終わる」のであれば、「むしろ伏せておくべき」でしょうね。例えば僕のブランド(『VEDUTA』)の場合は、「ファスナーをどこにどんな具合で付けるか」などの「次のイノベーションを脳内で既に描いている」ので。いつかも言った(おそらく2021年1月28日放送の第13回『人気コンテンツの海賊版商品』での発言と思われる。詳しくはこちら。)かと思いますが、僕に言わせれば、「マネするならマネするで良いけど、俺そのもっと先行ってるからよろしく!」みたいな感じなんですよ。さらに言えば、「広がった市場の中で『より尖っているファッションアイテムを求めている人を取れる自信がある」から「やれる」わけで。
佐藤
なるほどね。言い換えれば「作り方をあえて教えていく」ことも、「ある種のオープンイノベーションになる」のかもしれないね。
渡邉
そうですね。
佐藤
もちろん「相手によるところもある」だろうし、そこが「線引きのセンス」という話になるのだろうけど。……そろそろ時間だから、「ソリューションを出して」いきましょうかね。

TOPICS

ソリューション

井戸
お願いします。
佐藤
本日のソリューションができあがりました。
井戸
お願いいたします。
佐藤
本日のソリューションはこちらです。「give and Share!」
井戸
ギブ アンド……。
佐藤
「give and Share」で。
久田
シェア!
佐藤
「ギブアンドテイク」ではなく、「give and Share」ね。オープンイノベーションを取り入れるには、「ギブアンドテイク」ではなく、今の時代は「『ギブアンドシェア』なのかな?」と思って……。
原
なるほど。
渡邉
確かに、「どこか限られた間だけが利益を得る」よりも、「シェアされた先の広い収穫に希望をかける」ほうが「現代的」ですよね。
佐藤
そうしたところをヒントにね。……正直なことを言うと、「単に英語を書きたかっただけ」ですが(笑)。……そんなこんなはありましたけれども、今回もありがとうございました。
佐藤
ITの業界にいるから思うけど、「オープンイノベーション」という発想自体が「IT的考え方」だよね。
蒲生
確かに「カタカナ語」はパッと聞きだと、どことなくではあっても「IT系の言葉には聞こえて」しまいますよね。
佐藤
そうだよね。だけど、(オープンイノベーションの)「本質」としては、「情報や価値などを提供することで人を集め、その結果生まれる需要を創出する」という発想だものね。
原
おそらく「そう」でしょうね。
佐藤
そうしたことは、「中小企業だからこそやれる」わけだよね?
原
「やれる」と言うか「やりやすい」でしょうね。
佐藤
要するに「機動力がある」みたいなことかな? とは言え、オープンイノベーションを積極的に進めていくことで、日本が「グローバル社会に対して強くなっていけば良い」とは思うけどね。
原
同意です。
佐藤
ありがとうございます。
井戸
来週以降の放送はこちらの通りとなっています。来週も木曜日の夜10時にお会いしましょう。次回もお楽しみに。
佐藤
最後までご視聴ありがとうございました。さよなら。

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