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今回、導入インタビューを実施いたしました、
「RIDGE ONLINE SCHOOL」の詳細を知りたい方は、
以下のリンクよりご覧いただけます。
URL:https://artory.co.jp/works/374
株式会社RIDGE SPECIAL EDUCATION WORKS インタビュー
不登校や通学困難な子どもたちを対象に、オンラインとメタバースを組み合わせた学習支援を行う「RIDGE ONLINE SCHOOL」。2025年9月、同スクールはアートリーの2Dメタバースを導入し、子どもたちの“休み時間”となる交流空間をデジタル上に創り出した。今回、導入の背景や生徒の変化、保護者から届いた感動的なメッセージまで、代表の小嶋様の言葉も代弁していただき、運営者である山本様に詳しくお話を伺いました。本記事では、そのインタビュー内容をご紹介します。
アートリー
まず、不登校や通学困難な子を対象に、オンラインスクールを始めた経緯を教えてください。
山本様
最初のきっかけは、代表の小嶋が保護者向けの「オンラインでの発達相談」を始めたことでした。小嶋は特別支援教育が専門で、小学校・中学校あわせて18年ほど教員として勤めてきたのですが、その中で保護者さんからの「不登校」に関する相談がかなり多かったんですね。
そのなかには「小学校ではうまくいっていたのに、中学校に上がったとたん、受け入れのギャップで通えなくなってしまった」とか、「生活リズムが乱れてしまった」といったケースも多くて。そういったお子さんのために、小嶋が「じゃあ僕がオンラインで個別に教えますよ」と授業をするようになったのが、オンラインスクールの原点です。
それを続けていくなかで、「こういう子のためのオンラインスクールそのものがあればいいのに。でも今はないよね」という話になり、「それなら自分たちで作ろう」となった、という流れです。
私自身も、不登校だった息子を育てた経験を持つひとりの保護者ですし、自分自身も学校現場や人間関係でずいぶん悩んだ時期があって…。
小嶋とは家族ぐるみの付き合いなので、そういう背景もよく知ってくれていて、「今、オンラインスクールを立ち上げようと思っているんだけど、一緒にやってみないか」と声をかけてもらい、今年の4月から本格的に始まったという形です。
アートリー
数あるオンラインツールの中で、なぜ“メタバース”という選択肢に行き着いたのでしょうか?
山本様
これは、小嶋の教員時代の経験が大きいです。自閉スペクトラムの子どもたちのなかには、リアルで面と向かって対面すると、なかなかコミュニケーションがうまくいかない。でも、オンラインという「クラウドを一枚かませた状態」だと、すごく上手にやりとりできる子が結構いるんですね。「不登校の子どもたちのなかにも、同じような特性を持っている子がいる。であれば、メタバースのようなツールはいい選択肢になるはずだ」という確信は、すでにありました。
私自身も、コロナ禍で中学校のオンライン授業を整備したときに同じことを強く実感しました。小規模校にいたのですが、別の中学校でうまくいかなくて転校してきた子や、登校しぶりがある子も何人かいて、みんなに端末を持たせて教室に分かれてオンラインで討論の練習をしたんです。
そうしたら、ふだんはあまり学校に来られない子が、オンラインだとものすごくよくしゃべる。「一枚フィルターが入ることで、こんなにも話しやすくなるんだ」ということが本当に印象に残っていて。その話を研究会やセミナーで小嶋と共有したときも、「まさに同じ経験をしている」と盛り上がりまして。お互いに「これは不登校の子どもたちにとって、きっといいツールになる」という共通認識を持ったうえで、オンラインスクールとメタバース活用を考えるようになりました。
もちろん、相談はリアルで直接お話しするのが理想だと思っています。ただ、それではどうしてもハードルが高い。だからこそ、その中間地点としてメタバースがちょうどいいと考えました。
アートリー
アートリーをパートナーとして選んでいただいた理由を教えていただけますか?
山本様
まず、費用・納期・デザインの自由度など実務的なポイントが明確だったこと。そして何より、スタッフの方々の“寄り添う姿勢”でした。
ただ作るだけではなく、“何を実装するか” “この目的なら何が必要か”を一緒に考えてくださった。アートリーさんとの打ち合わせの中で生まれた、“休み時間のイメージ”というキーワードは、今回のメタバースの核心になりました。これは本当に大きかったです。
アートリー
“ラグジュアリーな屋内空間”という特徴的なデザインは、どんな意図があったのでしょう?
山本様
不登校の子たちは“外に出ることにハードルがある”ので、屋外デザインは合わないと思いました。だから必ず屋内で、と決めていました。そのうえで、子どもたちが『ここなら来てみたい』と思えるように、“木材×石材”を使った落ち着いたデザインにしたんです。
思春期の子たちって、大人への憧れとラフさの両方を持っていますよね。“ちょっと大人っぽいラグジュアリー感”と“アバターで自然に来られる気軽さ”が両立した空間にしたかったんです。
アートリー
先ほど、「休み時間のイメージ」がキーワードになったと伺いました。どのような使い方を想定されたのでしょうか。
山本様
これは、アートリーさんとお話しするなかで一緒に言語化できた、大事なコンセプトです。メタバースの教室と聞くと、「そこで授業をやるのかな」というイメージを持たれるかもしれませんが、RIDGE ONLINE SCHOOLでは、授業そのものはZoomのマンツーマンで完結しています。そこにはあまり困っていなかったんですね。
むしろ足りなかったのは、「子ども同士が雑談をして友達になっていく“休み時間”のような時間」をどうオンラインでつくるか、という部分でした。
そこで、「メタバースは“休み時間の教室”にしよう」という話になったんです。授業の合間に、みんなで集まって「昨日の夜ごはん何だった?」「週末何した?」といった他愛もない話をする場所。
そういう意味で、「休み時間のイメージ」というキーワードをご一緒に見つけられたことは、メタバースのコンセプトづくりのなかで一番大きかったと思います。
アートリー
実際の運用シーンについて教えてください。どのような形でメタバースを活用されていますか。
山本様
午前中のプログラムのなかで、毎日メタバースを使っています。10時からストレッチやマインドフルネスを15分ほど行い、そのあとに必ずメタバースの時間を5分〜長いときで15分ほど取っています。多いときで4〜5人くらい、8人掛けのテーブルに並んで座っていることが多いですね。話題は本当に雑談です。週末の予定や、昨日の夕飯、好きなアニメや漫画の話とか。
Zoomとメタバースを併用していて、Zoomで顔出し・声出しをする子もいれば、顔出しはするけれど声は出さない子、顔も声も出さないけれどメタバースのチャットだけで参加する子もいます。その子その子のニーズに合わせて、いろいろな関わり方ができるようになっているのが、メタバースならではの良さだと感じています。
アートリー
実際に入室した、子どもたちの反応はいかがでしたか?
山本様
体験に来た子はみんな、『うわぁ、すごい!』って言います。本当に全員です。大人の遊び心がちゃんと伝わっているんだと嬉しくなります。また、普段は“顔出し・声出しOK”の元気な小学生の子でも、『チャットで交流したい』と言って、タイピングを練習し始めるんです。ローマ字表を見ながら必死に打つ姿は、本当に微笑ましいですよ。
アートリー
メタバース導入後、生徒さんの反応で印象的だったエピソードがあれば教えてください。
山本様
たくさんあるのですが、いくつか挙げると、元気なタイプの小学生の例が印象的です。その子は顔出し・声出しはできるので、メタバースがなくてもしゃべろうと思えばしゃべれる子なんですが、みんながチャットをしているのを見て「自分もチャットを打ちたい」と言って、ローマ字表を見ながら一生懸命タイピングを練習するようになりました。
カメラの向こうで、視線を上に上げてローマ字表を見ながら打っているのがわかるんですよね。小学生あるあるの光景なんですが、「タイピングが速くなってきた」という変化も出てきています。
もう一つは、メタバースに入るのはまだしんどい子が「共有画面で見るだけ参加」をするケースです。メタバースの画面を私が共有して、その時間は顔も声も出さずに“見るだけ”で過ごすんですが、ある保護者の方から「アニメの話題になったときに、初めてニコッとして画面を見ていました」と報告をいただきました。
その子にとっては、「見るだけ参加」が大きな一歩なんですよね。そこから次の段階として「アバターだけ入ってみる」、さらにその先に「チャットしてみる」というスモールステップをつくっていくことができる。そういう意味でも、メタバースは非常に有効なツールだと感じています。
アートリー
次に、保護者の方からの反応や印象に残っているエピソードはありますか。
山本様
はい、これもとても印象深いエピソードがあります。
夏の期間だけ、メタバースで小学生と中学生の2人がよく交流していた時期がありました。
中学生の子は二学期から別の学校に転校することになり、それまでの数ヶ月だけオンラインスクールに通ってくれていたお子さんです。 その中学生の子がスクールを離れたあとで、小学生側のお母さんから私宛にメッセージをいただきました。
内容は、
「AはBくんと冬休みや夏休みにまた会えると言って、お別れを受け入れがたい様子でした。まだタイピングができないので、『KO』とだけ打って予測変換で『こんにちは』しか表現できませんでしたが、一生懸命Bくんに何か伝えたいようでした。Bくんとお話ができて、とても嬉しかったんだと思います。もし今後OB・OG会などが開催されることがあれば、成長した姿で会えればなあと思いました。」
…というようなもので。
そのメッセージを、夜のクラスで中学生のBくん本人に読み上げたところ、とても照れくさそうにしながらも、本当に嬉しそうな表情をしていました。
こうした出会いや別れも、メタバースを使っていなければ生まれていなかっただろうなと感じますし、オンラインだけれど「ちゃんと友達ができる」「誰かに想ってもらえる」という経験になっていると感じています。
アートリー
メタバース導入によって、スクールのブランディングや社会的な認知という面で変化はありましたか。
山本様
そうですね、「メタバースがきちんと実装されているオンラインスクールである」という点は、保護者の方の信頼につながっていると感じます。
「メタバースはないけれどオンライン授業はやっているスクール」と、「メタバースという子ども同士の交流の場まで用意されているスクール」があれば、おそらく後者を選ばれる保護者の方は多いと思うんです。
代表の小嶋はInstagramを中心に情報発信もしていますし、先日は集英社発行の雑誌『LEE(2025年12月号)』にも掲載していただきました。そこでも「メタバース空間での交流」といった文言を載せていて、「メタバースのあるオンラインスクール」という認知は少しずつ広がってきているのかなと感じています。
まだ数字的な効果を語れる段階ではありませんが、ブランディングの観点では非常に大きな意味を持っていると思います。
アートリー
今後、メタバースをどのように発展させていきたいですか?
山本様
今は「午前中のプログラム」という限定的な時間でしか使っていないのですが、もっとメタバースを使っていきたいと考えています。
午前中のお子さんは、どちらかというと「生活リズムをつくること」が課題になっているケースが多いので、どうしても私が間に入ってコーディネートする必要があります。一方で、午後は「自分で学習内容を決めて進められるけれど、ときどきサポートが必要」というタイプのお子さんを想定している時間帯です。
そういうお子さんが増えてくれば、
「今日の勉強内容をメタバースで相談する → 自分で勉強する → 夕方またメタバースでわからないところを一緒にやる」
というような使い方も、もっと広がっていくと思います。
将来的には、複数の教室やスタッフを配置できるくらいの規模にして、より多くの不登校・発達特性のある子どもたちに届けていけたらと考えています。全国の子どもたちにとって、「保健室登校」「別室登校」「オンライン」に続くもう一つの選択肢として、「メタバースならつながれる」という場を用意してあげたいですね。
アートリー
最後に、導入を迷うオンラインスクールへのメッセージをお願いいたします。
山本様
一番大事なのは、「誰のためのメタバースなのか」を最初にはっきりさせることだと思います。どの子を対象としているのか、その子たちの特性や性格、今どんなことで困っていて、どんな一歩を踏み出してほしいのか。そこが曖昧なまま「話題だからメタバースを入れてみよう」としてしまうと、目的と手段が逆転してしまいやすいんですよね。
私たちの場合は、「顔出し・音声出しが難しい子が、アバターとチャットなら関われるようになる」「オンラインさえもしんどい子に、もう一段階低いハードルのステップを用意する」という明確な目的がありました。
そのうえで、「不登校の子にとって屋内であることが安心につながる」「中学生がちょっと背伸びして大人の世界に入っていけるようなラグジュアリーな空間がいい」といった形で、対象となる子どもたちの姿から空間設計を考えていきました。
今、目の前で困っているお子さんたちのために、「メタバースならつながれる」という新しい選択肢を一つ増やす。そのためのツールとしてメタバースを使っていく、という視点を持っていただけるといいのかなと思っています。
今回のインタビューを通じて、不登校に関する課題は決して“一家庭の問題”にとどまらず、社会全体で向き合うべきテーマであることを、改めて強く実感しました。そのなかで、子どもたちから「メタバースなら人とつながれる」「誰かと雑談できる場所になっている」といった声が聞けたことは、私たちにとって何より嬉しい成果でした。
メタバース空間は、不登校の子どもたちにとって「リアル」と「オンライン」のちょうど中間に位置する、“ほどよい距離感”を持った場として機能している——そのことが、今回のお話から非常に鮮明になりました。
一方で、入室してすぐに退室してしまうお子さんがいるなど、運用上の課題もあります。
しかし山本様は、そうした行動も「本人が自分で選択できている証」であり、むしろ安心感につながる面もあると前向きに捉えていらっしゃいました。このような現場ならではの“細やかな行動変化”の捉え方は、私たちにとっても大きな示唆となりました。
一口に「不登校児童」といっても、その背景や状態、学校や社会との距離感は一人ひとり異なります。だからこそ、どの段階にいる子どもでも、自分に合ったかたちで参加できるような機能やコミュニケーションのあり方を、メタバース空間のなかに丁寧に組み込んでいく必要があると感じています。
メタバースは、不登校支援において多様な役割を果たし得るツールです。
ただ、子どもたちが求めているもの、保護者の方が安心できるポイント、そして支援に携わる学校・団体・企業が目指すゴールは、それぞれ異なります。だからこそ私たちは、導入前のヒアリングを何より大切にし、一つひとつの現場の状況や想いに寄り添いながら、「その場所に本当にフィットするメタバース空間」を一緒に形にしていきたいと考えています。
アートリーは今後も、今回のような現場からの学びを糧に、不登校児童支援におけるメタバースの可能性をさらに探究しながら、より使いやすく、より安心してご活用いただけるサービスの提供に努めてまいります。
今回、導入インタビューを実施いたしました、
「RIDGE ONLINE SCHOOL」の詳細を知りたい方は、
以下のリンクよりご覧いただけます。
URL:https://artory.co.jp/works/374