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  • 課題
    • 皇室献上の格式を持つ意匠を、どうデジタルで拡張するか
  • 解決策
    • 白い着物を光で「化かす」——山口美術織物の意匠をモーショングラフィックス化
    • 屏風が着物を引き立てる——額装として機能させる演出設計
    • 「化けた姿」と「本物」のセット構成——寺宝館の体験設計
    • 設計・実装内容
  • 成果
    • NHK生放送で紹介された、絢爛耽美な演出
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山口美術織物の意匠を、光で拡張する——伝統とデジタルアートを融合した着物プロジェクションマッピング

着物プロジェクションマッピングの事例

縁日参りプロジェクト実行委員会 |
団体・組合

この事例から得られるインスピレーション
  • 伝統の物語は、現代の技法に「翻訳」することで体験に変わる
  • 本物の価値は、上書きせず引き立てることで輝きが増す
  • 企画から現場までを貫く一貫性が、コンセプトの純度を守る

施策サマリー

企画構成 / サイト制作 / プロジェクションマッピング / プロモーションムービー / 記録撮影

皇室献上の格式を持つ意匠を、どうデジタルで拡張するか

京都の染と織のメーカー、山口美術織物。皇室献上の実績を持ち、伊勢神宮内宮・外宮への几帳・卓飾・白生地を奉納、重要文化財の衣装復元まで手掛ける格式の高いメーカーです。ドラマ「大奥」シリーズや十一代目市川海老蔵の舞台衣装など、映像・舞台の世界でも数々の名作を支えてきました。

この山口美術織物の意匠を、プロジェクションマッピングによってデジタルアートとして拡張する——ARTORYがプロデュースしたのは、伝統工芸の格式を損なうことなく、現代の技法で新しい体験価値へと翻訳する挑戦でした。静的な衣装展示に留まらず、意匠そのものが動き、変化し、来場客の前で「化ける」体験へと昇華させる。その演出の奥行きを構築することが、ARTORYの果たした役割です。

舞台となったのは、日本三大稲荷のひとつ豊川稲荷(豊川閣妙厳寺)で2021年11月5日〜12月5日に開催された「豊川稲荷×着物詣(キモノモウデ)〜七燈伽藍〜」。かつて国の重要文化財などが展示されていた豊川稲荷「寺宝館」を会場とし、着物を主題とした5つの体験コンテンツで構成されたイベントです。ARTORYは、この中の寺宝館エントランス演出「迎」の着物マッピングを企画から制作・設営まで一貫してプロデュースしました。

制作期間はわずか約10日間。企画立案から映像制作、現地でのプロジェクションマッピング設営までを、この短期間で完遂する実行体制を構築しています。

解決策SOLUTION

  • 山口美術織物の意匠をモーショングラフィックス化し、白い着物を光で「化かす」演出
  • 白い着物と背後の屏風の2面への立体投影による、額装のような一体構成
  • 「稲穂・孔雀・登り鯉・乱れ菊」など和柄と豊川稲荷のストーリーを融合した世界観の構築

白い着物を光で「化かす」——山口美術織物の意匠をモーショングラフィックス化

白い着物をデジタルで「化かす」——これが構成の出発点です。映像素材のモチーフには、山口美術織物が扱う伝統的な和柄——「稲穂」「孔雀」「登り鯉」「乱れ菊」などを選定し、モーショングラフィックスとして再構築しました。

「稲穂」は豊川稲荷の「稲荷」にも掛かる意匠であり、場所性と作品性を同時に立ち上げる選定です。白い着物の柄が光とともに移ろい、別の柄へと変化していく。花が咲き、散り、また新しい柄が現れる。無地だった衣装が、まるで生きているかのように表情を変える——稲荷信仰における狐の「化ける力」を、着物の変化として視覚化しました。

静止した衣装展示では得られない「変化の瞬間」を体験として組み立てたこと。これが演出に奥行きを与え、来場客の滞在時間と記憶への残り方を大きく変えています。白い着物という「余白」を投影対象に据えることで、山口美術織物の意匠が持つ絢爛さを最大限に際立たせ、本物の価値を上書きするのではなく、余白に映すことで輝きを増す関係性を実現しています。

屏風が着物を引き立てる——額装として機能させる演出設計

この構成の核は、屏風を「額」として機能させる演出設計にあります。白い着物単体では、投影された意匠は着物の輪郭で閉じてしまう。背後に屏風を据えることで、着物を囲む世界観そのものが立ち上がり、意匠が映える「額」が生まれます。

屏風は、単なる背景ではありません。着物に投影された柄が変化する瞬間、トランジションの光や色彩が屏風へと広がり、画面全体を覆う。着物という「主役」の演出を、屏風という「額」が受け止めて増幅する構造です。着物だけでは閉じてしまう演出のエネルギーが、屏風まで広がることで額いっぱいにダイナミックに展開される——この構図が、静的な衣装展示では得られない演出の広がりを生み出しています。

着物と屏風それぞれの形状に合わせて映像を組み立て、着物の襞の凹凸、屏風の折れ、それぞれに対応した投影を構築。額装のように一体化した構成の中で、来場客がどの角度から見ても、着物と屏風の映像が溶け合って見える設計としました。寺宝館の玄関をくぐった瞬間、異世界に迷い込んだような没入体験を創り出しています。

この「額装としての屏風」はSNSでの拡散力にも直結しました。動く意匠、変化する着物、屏風まで広がる光の演出——静的な展示写真とは異なる「撮りたくなる」瞬間を意図的に組み立てたことで、来場客自身が発信者となり、イベントの話題化に貢献する構造を生み出しています。

「化けた姿」と「本物」のセット構成——寺宝館の体験設計

「迎」のエントランス演出は、寺宝館内の「雅」セクションとセットで体験が完成する構成です。「雅」セクションでは、大奥シリーズ等で浅野ゆう子氏らが実際に着用した山口美術織物の舞台衣装そのものが展示されていました。

来場客は、エントランス「迎」で白い着物が山口美術織物の意匠へと「化ける」瞬間に立ち会い、その先の「雅」で本物の時代衣装と対面する。「化けた姿」と「本物」の両方を一つの動線で体験する構成が、伝統工芸とデジタルアートの関係性を空間として成立させています。

デジタルアートの導入は、展示そのものの格を下げることなく、むしろ本物の衣装への視線を引き寄せる装置として機能しました。「迎」での驚きが期待値を押し上げ、「雅」で本物と出会う瞬間の感動を増幅する。単独の展示では得られない、体験の連続性と深度をARTORYが設計しています。

会場体験の設計と並行して、イベント来場動機を創出するプロモーションムービーも制作しました。撮影機材にはシネマカメラ「Canon EOS C300 Mark III」を採用し、女優・浅野ゆう子氏を迎えて撮影。一眼レフでは到達しにくい領域のグレーディング(色調加工)によって、映画水準の映像品質を実現しました。30秒という短尺の中で映画的な視聴体験を成立させ、SNS広告として拡散することで、会場外から多くのリーチを獲得。寺宝館での体験を、その手前の「観る体験」から設計する構造です。

なぜこのアプローチか
なぜ「化ける」を演出の核にしたか 稲荷信仰の物語を意匠の変化として視覚化するため
なぜ屏風を背後に据えたか 屏風を「額」として機能させ、世界観を広げるため
なぜ演出が必要だったか 着物展示に、現代の来場客を動かす訴求力を持たせるため

設計・実装内容

プロジェクションマッピング企画・制作(着物×屏風の2面投影) / モーショングラフィックス制作 / プロモーションムービー撮影・編集 / ブランディングサイト制作 / チケット購入システム開発 / オープニングセレモニー記録撮影

NHK生放送で紹介された、絢爛耽美な演出

2021年11月22日、NHK総合テレビの生放送で、この着物プロジェクションマッピングが取り上げられました。「着物デジタルアート」として全国に紹介され、伝統工芸とデジタルアートの融合という切り口がメディアの注目を集めたことは、演出そのものが持つ話題性の証左となっています。

来場客は、寺宝館エントランスで2メートルを超える白い着物の前に立ち、着物が光とともに絢爛たる柄へと移ろう様を体験しました。山口美術織物の意匠が投影され、白い着物が別の柄へ、別の色へと変化していく。無地だったはずの着物が、まるで生きているかのように表情を変える——「狐が演出に化ける」という稲荷の物語が、目の前で視覚化される体験です。

オープニングには、女優の浅野ゆう子氏をアンバサダーとして迎えました。イベント全体としてもSNSで多数の話題が生まれ、山口美術織物の社長ご夫妻が動画を見て来場を決めるなど、デジタルアートが伝統工芸の新しい発信の形として機能した事例となっています。

「雅」セクションに展示された本物の時代衣装と、「迎」で「化けた姿」を見せるデジタルアート。この二層構成によって、来場客は一つの会期で伝統工芸の「静」と「動」の両面を体験できる設計が実現しました。プロジェクションマッピングは単なる演出の飾りではなく、静的な展示に奥行きと話題性を与え、来場動機と記憶への定着を押し上げる役割を担ったのです。

企画から映像制作、現地設営までARTORYが一貫してプロデュースしたからこそ、「七燈伽藍」のコンセプトが映像から空間演出まで一貫して表現されています。プロジェクションマッピングという技術を、伝統工芸の新しい体験価値に翻訳したプロデュース事例です。

ARTORYだからできたこと
  • 約10日間という超短納期での企画〜設営完遂
  • 皇室献上の格式を持つ意匠を、上書きせず引き立てるデジタル翻訳
  • 静的な展示を、動く鑑賞体験へ引き上げる演出設計

同じ課題をお持ちの方へ

「伝統工芸や文化財の価値を、現代の視点で再発信したい」「静的な展示を体験コンテンツに昇華させたい」「メディアやSNSで話題化する演出を短期間で実現したい」——文化施設・メーカー・自治体のご担当者で、同じような課題をお持ちではないでしょうか。

ARTORYは、場所の物語と素材の価値を起点にした企画構成、モーショングラフィックスから立体物への投影設計、プロモーション映像、ブランディングサイト構築までを一気通貫でプロデュースします。伝統の格式を損なわず、むしろ現代の技法で引き立てる演出を、ご一緒に実現します。

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