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事例紹介
MEDIA
株式会社アートリー(自社プロジェクト) |
IT・ソフトウェア|デジタルクリエイティブ
施策サマリー
番組コンセプト開発 / 番組企画・構成 / スタジオ設計 / 美術デザイン / 衣装 / キャスティング / 収録・配信 / テロップ・タイトル制作 / YouTube運用 / 社員出演
YouTubeに企業番組がまだほとんどなく、個人のYouTuberが中心だった時代。ARTORYは、将来は企業やテレビが自ら番組を持ち、継続的に発信する時代が来ると考えました。
そこで、「スタジオで企業が番組をつくる」という構想を説明資料で終わらせず、ARTORY自身が企画、出演、収録、編集、公開を継続するオウンドメディアを立ち上げました。自社の思想を伝えるメディアであると同時に、企業番組を実際に運営できることを示すショーケースでした。
ARTORYが運営する「ARTORY ACADEMIA」は、社会や生活の身近なテーマについて対話しながら、解決の糸口を見つけていくソリューションバラエティとして設計しました。基本の出演者は統一し、テーマに応じて必要な回のみ外部ゲストを招く方式です。
「新しい生活様式」「5Gサービス」「ゲームのSNS化」など、専門性がありながら生活者にも関係するテーマを選定。問題と解決までの思考プロセスをバラエティ化することで、堅い企業情報ではなく、楽しみながら理解できるコンテンツへ変換しました。
代表がMCを務めた背景には、若い頃のラジオパーソナリティ経験があります。話題を引き出し、対話の流れをつくる進行力を、台本を作らない番組構成の人的アセットとして活かしました。同時に、会社の問題意識と姿勢を、代表本人の言葉で伝えられる番組にしています。
毎回異なる専門家を探すのではなく、基本的な出演者は統一し、テーマに応じてゲストを入れ替える番組設計としました。これにより、毎回のキャスティング、出演交渉、番組趣旨の説明、進行確認にかかる工数を抑えています。
同じ出演者が対話を積み重ねることで、互いの間や役割も育ち、台本に頼らないフリートークが成立しやすくなりました。必要な回では税理士やクリエイティブディレクターなどを招き、定番出演者の視点と外部の専門知を組み合わせました。
出演者の固定は、制作コストの削減だけでなく、視聴者に人物や関係性を継続して知ってもらう番組ブランディングとしても機能しました。
基本出演者にはARTORYのスタッフも起用しました。普段は制作や技術を担うメンバーが番組内で意見を交わすことで、役職や実績の紹介だけでは見えない人物像、価値観、課題への向き合い方を発信しています。
番組への出演は、社員自身が会社の思想を言語化するワークショップとしても機能しました。企業ブランディングだけでなく、採用候補者へ職場の雰囲気を届け、組織内で価値観を共有するインナーブランディングにも応用できる設計です。
セットの美術デザイン、衣装、テロップ、番組タイトルなどのビジュアルも自社で制作し、出演者・空間・映像を一つのブランド体験として統一しました。
企業が特集番組を1本つくるだけなら、毎回オーダーメイドでも成立します。しかし、定期発信を目的に番組を始めるなら、最初に解決すべきは毎回のテーマではなく、制作を止めないサプライチェーンです。
本番組では、台本を作らず、定型のコーナーとフリップを話の骨格にして、その中でフリートークを展開しました。収録後は、決められたプロジェクト形式への収納、デノイズ、カット編集、音声編集、映像と音声の統合、共通クリエイティブの適用へと流れます。
データ構造、共通素材、編集プリセットを先に整備したことで、週1回の制作工数を抑えながら、変えるべき演出や企画は少しずつ進化させられる体制をつくりました。
ただし、このサプライチェーンはどの企業にも同じ形を当てはめるものではありません。ARTORYでは、代表の進行経験、社員の出演、自社スタジオ、撮影機材、既存のデザイン・編集プリセットを活用しました。企業ごとに人材、設備、過去素材、専門知識などのアセットを棚卸しし、何を内製し、何を外部で補うかを決めることが、その企業に合った制作サプライチェーンの出発点です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| なぜ自社番組なのか | 自社を実証フィールドにすることで、企画・制作・運用の知見を蓄積しながらサービスの可能性を示せるため |
| なぜバラエティ形式か | 専門的な課題解決のプロセスを、視聴者が楽しく理解できるコンテンツに変えるため |
| なぜ社員も出演するのか | 制作実績だけでは見えない人物像や価値観を伝え、企業ブランドに人の魅力を加えるため |
| なぜ出演者を基本固定するのか | キャスティング・交渉・事前説明の工数を抑え、対話の関係性と視聴者の親近感を積み上げるため |
| なぜ代表がMCなのか | ラジオパーソナリティ経験と会社の思想を人的アセットとして活かし、外部MCの手配コストを抑えながら自然な進行を実現するため |
| なぜアセットを先に棚卸しするのか | 企業ごとに異なる人材・設備・素材・専門知識を生かし、新規に用意するものと外部で補うものを最小化するため |
オウンドメディア戦略 / 番組コンセプト開発 / 番組企画・構成 / テーマ選定 / 固定出演者設計 / 一部ゲストキャスティング / MC・社員出演 / スタジオ設計 / セット美術 / 衣装 / 収録・配信 / カメラ・照明 / テロップ・タイトル制作 / 映像編集 / YouTube展開 / 番組運用 / アセット棚卸し / MC・ファシリテーション
本番組は週1回のペースで約4年間、約200本を制作しました。その過程で得たのは、番組企画のアイデアだけではありません。企業が定期的に発信するために、どこを定型化し、どこに創造性を残すのか。実運用から制作サプライチェーンを確立しました。
番組はショーケースとして機能し、ライブコマース、文化イベント、教育・行政分野の報告番組、番組とオンラインイベントを組み合わせた企画など、複数の相談へつながりました。番組で扱ったエシカル、ESG、SDGsといったテーマから、同じ思想を持つWebページやコンテンツをつくりたいという相談も生まれています。
現在は、週1回の制作サイクルでは難しかった大幅なフォーマット更新と、制作体制の再構築に向けた充電期間です。終了ではなく、新しい人材、出会い、アイデアが揃う機を待ち、次の番組像を構想しています。