目次
1.SEVENTH HEAVENの歴史
2.ダンサーの起用
3.撮影現場の選定
4.挑戦的なメイク
5.5パターンの衣装
6.カメラマン2名の機材
7.ひとつひとつのシーンのこだわり
8.撮影当日を振り返って
9.編集で学びを得た課題
ARTORY ENTERTAINMENT 映像制作レポート
2019年12月22日(日)にJOSUKE(佐藤丈亮/株式会社アートリー代表取締役)より、5th シングル『SEVENTH HEAVEN』を配信リリース。本作品は「夢の中で」、「花化粧」の編曲を担当した菅原一樹(anre*f)のもと、ダブステップをヒントに、攻撃的かつキャッチーなエレクトロサウンドに仕上げました。本作品はこれまでとは違い、甘い歌声の中に激しい熱情をもつ、JOSUKEの野心的な姿を表現。アートリーとしては3回目のMV制作です。制作秘話を含めた、一連のクリエイティブストーリーを振り返ります。
1.SEVENTH HEAVENの歴史
2.ダンサーの起用
3.撮影現場の選定
4.挑戦的なメイク
5.5パターンの衣装
6.カメラマン2名の機材
7.ひとつひとつのシーンのこだわり
8.撮影当日を振り返って
9.編集で学びを得た課題
『SEVENTH HEAVEN』という楽曲は、約10年前にアートリーの佐藤、古市、蒲生を中心に活動していたバンド「SINSEMILLA」にまで遡ります。激しいハードロック調のイントロが特徴で、ライブのオープニング曲として、たくさんのファンに愛されました。今回は従来の『SEVENTH HEAVEN』 が抱く激しい熱情を“人の奥底に眠る野心”と解き、その世界観を映像として表現することに挑戦。
ライブで盛り上がる曲調を引き継ぎつつも、大人のマスキュリンスタイルを演出しました。これまでと違う領域に、アートリーのクリエイティブがどこまで攻め込めるか、新たなチャレンジの幕開けです。
バンド時代の『SEVENTH HEAVEN』は、その激しい曲調からメンバー全員でステージの前方でお客さんを煽るのが通例でした。その残像を残した今、ソロになったJOSUKEがどのように表現できるか。今までとは違うイメージに、企画段階で難航。長い話し合いの結果、バックダンサーを起用し、激しさを繰り広げるストーリーを採用しました。 そしてJOSUKEとのつながりから、イメージに合うダンサーを選び、振り付けが加わった新しい『SEVENTH HEAVEN』が誕生したのです。
JOSUKEは社業の傍、撮影2ヶ月前から自主練と身体づくりに取り組み、スタジオでダンスメンバーと動きを合わせ、本番に挑みました。
本作品のテーマは「悪魔が天界にくさびを打ち込みにいく、下剋上」。その世界観を表現できるスタジオ探しに、社内で話し合うこと数日。「退廃的な雰囲気」をヒントに行き着いたのが、岐阜にある「廃工場」をコンセプトとした撮影スタジオでした。
撮影1ヶ月前にクリエイティブチームで下見に行き、250坪以上ある広いスタジオで、一つ一つの構想を再現できるか検証。企画会議から2週間後ようやくイメージにあった場所にたどり着いたのです。
今回のMVは、これまで以上に新しい挑戦になりました。
まずは世界観を表現するために取り入れたのが、特殊メイクです。ダンサーの顔を真っ黒に塗りつぶす、大胆かつ不気味なメイク。人間らしさをボカし、 JOSUKEの後ろで付き従う強烈な存在を演出します。
JOSUKEには、ノーマルメイクと金箔を使ったゴールドメイクの2パターンを用意。ゴールドメイクでは、JOSUKEの官能的な一面を作り出します。メイクアップアーティストの齋藤薫の施しで、さまざまな顔が生まれ、現場の雰囲気が盛り上っていきました。
衣装は今までで一番多く、撮影シーンに合わせて、合計5パターンを用意。
アパレル業界に長く勤めていたアシスタントディレクターの山下亜弓が、シーンに合った衣装を選定しました。クリエイティブディレクター岡本愛美との打ち合わせで浮かび上がった、曲調×ダンサーの調和と、暗闇の中の存在感という難題。さまざまな角度からイメージを合わせ、衣装を厳選していきます。
5パターンの中でひときわ輝きを放ったのは、前回の蜉蝣MVで反響を集めたストリート着物・ 浴衣ブランドを展開する「VEDUTA」のPanther 。曲中盤のエッヂの効いたラップシーンを際立たせ、 絶妙な空気感をマッチさせました。
撮影機材は、前作のMV撮影でも使用した「LUMIX DC-GH5S」と「DJI RONIN-S」を2台ずつ用意。過去作品の「花化粧」、「蜉蝣」でも同じ機材を使用し、なめらかで美しい映像を捉えることができました。カメラマンもこの機材に対して、今までの経験を生かして撮影に挑みます。今回は躍動感をあふれるシーンを映し出すべく、新しく撮影用のカートを用意し、激しい動きの中、アーティストの表情を映し出すことができました。
ひとつひとつシーンの世界観を演出するため、細かい工夫をしています。
羽を降らすシーンでは、ハサミで少し穴を開けた網に羽を入れ、高い位置から振ることで、適度な量の羽が舞い落ちるようにしました。 理想のライティングを実現するためには、PARライトをレンタル。撮影時は24色の明るさを電子操作し、シーンの高低差を表現しています。スモークも、スタジオにある分に加えさらに3、4台を準備。 雨を降らすシーンでは、ケルヒャーで作った高さ5mからの雨とレーザービームを加えて、ラスサビのボルテージを上げていきます。
当日はJOSUKEをはじめ、ダンサー4名、カメラマン3名、クリエイティブディレクター1 名、アシスタントディレクター1名、スタイリスト1名の総勢11名が集結。
スケジュールはスムーズに進みましたが、当日には予想できなかったトラブルなども起きて全てが順調ではありませんでしたが、これも今後に向けた素晴らしい経験です。
16時間に渡る撮影を終え、最後まで元気だったのはJOSUKE。本人は撮影を振り返り「もっとダンスを練習していきたい」と次回作に意気込みながら、スタジオを後にしました。
編集は「黒とのつき合い方」になりました。
世界観を押し出すために黒の部分を強くすると、衣装のシワやJOSUKEの髪色がつぶれてしまい、凹凸のない映像に。逆に弱めると背景が明るくなってノイズが出てしまったのです。その領域をより細かく編集できるように、撮影段階で調整が必要であると学びました。
編集期間の2週間を経て完成した作品は、YouTube上の「JOSUKEofficial」チャンネルでご覧いただけます。JOSUKEがおすすめするシーンは、Aメロのデュオトーンエフェクト。赤と紫の光彩とゴールドメイクで創り上げたシーンは必見です。
そのほか数々のシーンもクリエイティブチームが、こだわりを込めて挑戦した自信作になります。アートリーがプロデュースからカット割り、カラーコレクションまで行なった渾身の映像を、ぜひご覧ください。