KNOWLEDGES Nov 4th, 2019

デザインでは感性と理論を使い分ける 加藤友子(株式会社アートリー)インタビュー

OUTLINE/ 概要

高いシェアを誇りながらも、一方で出稿数に限界を迎えつつあるウェブ広告。こうした状況の中、ウェブ広告に次いで今後どういった広告媒体が増えていくのか。最近注目されつつある「ネットワークとリアルの融合」という観点から広告の今後を考えていきます。

デザインとは「感性」と「理論」の使い分け

加藤:デザインとは「感性」と「理論」を使い分けることだと言われますが、その通りだと思います。「感性」と「理論」を別の言葉で表現するなら「センス」と「ロジック」ですね。デザインに限らず何か物事を行うにあたっては「感性」と「理論」の両方が必要になると思います。
この「センス」というのはつまり、何かを「選択」することです。何を選んで自分の中にインストールするのか、何と何を組み合わせるのか、ということが全て「センス」なのです。街の中にある雑多な情報に、感受性、センスを反応させて情報を選択しながら自分の中に取り込んでいくというわけです。
そして、その情報をロジカルに整理することが理論、ロジックの部分です。なぜこういうバランスで作られているのか。なぜこの構造で作られているのか。など、作られた根拠があるわけです。つまり「理論」とは、万物がどのように成り立っているのか、その「解」のようなものだと考えていただければと思います。

加藤友子
感性と理論について、楽しそうに話す加藤友子

理論とは「解」

加藤:理論というのは教科書に載っている「方程式」のように、すでに決まっている法則です。デザインと言っても、デザインを見て反応するのは生物としての生身の人間で、生物としての人間の反応には一定の法則が存在します。この法則に従って「理論」が見いだされてきたのです。すなわち理論は「解」であるとも言えます。デザインに関する理論としては、例えば「黄金比」も理論です。黄金比は「最も安定して美しく感じられる比率」として有名ですね。そういった「理論」を否定することは、物理法則から外れることにもなり得るわけです。
ですから、デザイナーは「感性」と「理論」の両方について熟知しておくことが大切です。「感性でデザインしている」つもりでも、実際には無意識のうちに今まで自分の中にインストールしてきた「知識」「理論」を組み合わせているのが常です。

すでに「理論」になっていることを、自分で一から探し出す必要はないので、先人の積み上げた「理論」をきちんと学んでおくことはデザイン上達への近道になると思います。その学んだ理論を、自分が使える知識として自分の頭の「引き出し」に入れておくという感じですね。もちろん理論を学ばずあえて遠回りをすることで新たな何かが生み出されることは絶対にない、とまでは言い切れませんが、やはり無駄な時間は使いたくないですから。

感性による選択を理論で構築する

加藤:感性による選択で念頭に置きたいのは、取り組んでいるプロジェクトやアクティビティーに対して最も適切なものを選ぶということです。例えばインパクトを与えたい、驚かせたいというのが目的なら、それに合わせた感性を使って選択すればいいですし、特に驚かせる必要はなく自然に引き込まれて納得してもらえるものを作りたい場合は、そういう感性を使って切り取っていけばいいのです。感性で何かを選んだ後は、要所要所で必要な理論を使って創り上げていくわけです。ですから、デザインには「感性」と「理論」が両方とも必要です。理論をたくさん学んだ上で、感性でいろいろなものに気づき、いろいろなパターンを認識していく、そうやって「感性」と「理論」を使いこなしていくうちに、自然と優れたデザインを創り出せるようになると思います。

まとめ

優れたデザインを創り出すためには、現実の世界に存在する雑多な情報から必要なものを選択します。そして自分の中に取り込む「感性」を磨き、同時に目的を達成するために有効な、構図や配色などの「理論」を確実に実践していくことが必須です。自分が「感性」と「理論」のどちらかに偏りがちだと感じられる場合は、苦手な側面を意識し補う努力をすることで、新たな境地が開けるかもしれません。

加藤友子
加藤友子 加藤 友子 / TOMOKO KATO

株式会社アートリーのデザイン / マークアップ / ライティングを担当。
求人誌制作会社、印刷会社のweb制作部を経て2017年アートリーに入社。「わかりやすく・見やすくする」を信条にデザインやライティング業務を心がけている。

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