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INSIDE ARTORYARTORY INTERVIEW 08

販売促進のカギを握るイノベーターと
アーリーアダプターとは

蒲生 徹郎(株式会社アートリー)
インタビュー

株式会社アートリー 蒲生 徹郎


マーケティング分野でよく話される、イノベーターやアーリーアダプターという用語について、これはどのような存在なのでしょうか。そして、マーケターは両者に対しどのようにアプローチしたらいいのでしょうか。今回はマーケターが理解すべきターゲットに関して紹介します。



まず4種類のターゲットを把握する


蒲生:イノベーターとアーリーアダプターを理解するには、マーケティングのトレンドの話からする必要があります。最近のマーケティングでは、「何歳から何歳の人」というターゲット像を想像するよりも、「ターゲットがどのような生活を送っているか」に焦点を当てて発信することが重要になってきました。もうひとつ重要なのは、感度が高いゾーンと低いゾーンが存在する、という考え方です。

日本には、みんながやっているからやる、という消費者が多く、それをマジョリティと呼びます。例えばある企業が新しくブランドを立ち上げて商品を販促するとします。そのとき間違えがちなのが、とにかくたくさんの人に拡散しようとすることです。マジョリティは、大多数の人がやっていないと動かないので、マジョリティが動くほどの情報拡散を行うには多額の販促費が必要となります。少額の予算では効果が出にくいでしょう。ではどうしたらいいのかというと、それぞれのターゲット層に届くマーケティングを展開するのです。顧客は大きく分けて4つに分類できます。



株式会社アートリー 蒲生 徹郎


蒲生:第1分類は、新しいものが大好きで、新しいことに挑戦したい人たちです。こういったターゲット層のことを、マーケティングではイノベーターと呼んでいます。イノベーターは、誰の評価がなくても自分の感性だけで進んでいきますので、「これいい!買う!」といった消費行動を取ります。しかしイノベーターは全体の約2.5%しか存在しません。

第2分類は、「これ、ちょっとはやりだしてるかも」とあせる人です。はやらないものを選んでしまう「人柱」にはなりたくないけど、ほかの人よりは早く流行をつかみたいというキャッチが早い、このような人たちをアーリーアダプターといいます。イノベーターたちがやり始めて、彼らの評価をみてから買うのが、アーリーアダプターたちの消費行動です。アーリーアダプターは全体の約13.5%です。

第3分類が、全体の約64%を占めるマジョリティと呼ばれる人たちです。マジョリティはさらに、アーリーマジョリティとレイトマジョリティに分かれます。アーリーマジョリティは、「みんながやっているからやろう」という人たちです。レイトマジョリティは、ブームが過ぎ去ったあとに反応しだす人たちです。

そして第4分類が、はやりにまったく影響されず自分のスタイルを貫いている人たちです。彼らをラガードといいます。



イノベーターに「刺さる」キャッチコピーを考える


蒲生:企業は、自社の情報を届けるターゲット層がイノベーターなのか、アーリーアダプターなのかを意識する必要があります。

イノベーターは、新しいものや面白いものにすぐ反応するので、自社ブランドを新たに立ち上げるときは、イノベーターに刺さりやすいようなキャッチコピーやセールスコピーを考えるといいでしょう。そしてマジョリティに関しては、もうマーケティングする必要はない、と割り切ってしまうのも手です。イノベーターやアーリーアダプターたちに浸透しだしたら、勝手に口コミで広がっていく、と考えるわけです。今はSNSがありますから、アメリカで昨日はやり始めたものが、翌日東京でもはやり始める、という可能性も大いにあります。



株式会社アートリー 蒲生 徹郎


蒲生:大切なのは閾値(しきいち)を超えることです。アーリーアダプターの閾値(しきいち)を超えると、マジョリティが反応しだすからです。いきなりマジョリティに訴求するよりは、まず、イノベーターやアーリーアダプターが反応するようなプロモーションを仕掛けることが大切です。

また、イノベーターたちは、アパレルでも、食べ物でも、スポーツでも、映画でもイノベーターかというと、そうではありません。映画に関してはイノベーターだけど、ファッションに関してはレイトマジョリティ、という人もいます。最適なターゲットを見極め情報発信する必要があります。



ターゲットによって発信するメッセージを変えていく


蒲生:弊社でもSNSで広告を運用しています。最初のうちは「いいね!」やシェアが少なくても、根強く続けているといきなり爆発することがあります。成長率がぐいっと上がるタイミング。これがアーリーアダプターからマジョリティに転移した瞬間、もしくは、イノベーターからアーリーアダプターに転移した瞬間なのです。繰り返しになるのですが、だからこそ閾値を超えることを意識しなければならず、根気強く数カ月は様子をみて、浸透するのにどれくらい時間がかかるだろうかと考えながら設計していくことが非常に重要だと思います。

マーケティングは、発信したらすぐに反応が得られるものではありません。現代社会のライフスタイルでは、1日で得られる情報が多すぎるので、ユーザーは反応するのに時間がかかるのです。まず自分に合った情報を見つけるまでに、そしてそれを理解するのにも時間がかかりますから。ゴルフが好きな人でも、映画も好きだったり、ファッションにも興味があったりします。毎日ゴルフのことしか考えていない、という人はそういません。ユーザーの財布はひとつです。他業種の競合も考えつつ、根強く、我慢強くマーケティングすることが大切なのです。

マーケティングは長期間継続するので、最初から最後まで同じメッセージである必要はありません。最初はイノベーターが反応しやすいメッセージを送り、次はアーリーアダプターを意識した内容に、そして徐々にマジョリティに対するメッセージへと切り替えていくとよいでしょう。例えば住宅メーカーの場合、マジョリティ向けには「暮らしを豊かにする家です」というメッセージでいいと思います。しかしイノベーターたちは「豊かな暮らし」と聞いても反応しませんから、「ヒノキの香りと一緒に暮らす」といったコンセプトや、「コンクリート打ちっ放しの家でスタイリッシュに暮らす」といったメッセージにするなどして、ニッチな感じに尖(とが)らせていくといいでしょう。



株式会社アートリー 蒲生 徹郎

企業は、顧客をイノベーターやアーリーアダプターなどにジャンル分けして、それぞれに対し発信するメッセージの内容を変えていかなければなりません。 ターゲットの特徴を把握し、効果的なアプローチをするためにも、ぜひターゲットと発信する情報の見直しをしてみてください。

蒲生 徹郎

蒲生 徹郎TETURO GAMO

台湾在住期間にアートリーと日台間ビジネスを立ち上げる。帰国後、アートリーに入社し、コンサルティング、ディレクション、マーケティング、ライティングを担当する。

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