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2022.03.10 放送分
DX|IT企業のDXバブル
第71回アートリーアカデミア
THEME
DX|IT企業のDXバブル
ここ数年、DX化の波に合わせて、社内検討も不十分なままシステムの導入やコンサル会社と契約をしてしまい、迷走している企業も少なくないようです。一方、コロナ禍で非対面・非接触のニーズが高まることで、オンライン上でのサービス競争が激化し、企業から多額の発注を受けているIT企業にDXバブルが到来しているようです。効果的なDXを行うために必要なこととは何か?アートリーアカデミアでソリューションを見出します。
TOPICS
ニュースの話題
- 佐藤
- 今夜も始まりました。アートリーアカデミア。
- 井戸
- 本日のテーマはこちらです。「DX|IT企業のDXバブル。コロナが生んだDXバブル。迷走する企業のデジタル改革。ここ数年 DX化の波に合わせて、社内検討も不十分なままシステムの導入やコンサル会社と契約をしたことで迷走している企業も少なくないようです。一方コロナ禍の結果、非対面・非接触のニーズが高まったことを受けたオンラインサービスの競争激化により、多額の発注を受けたIT企業には「DXバブル」が到来しているようです。
- 佐藤
- 「DXシリーズ」もこれで4回目ということで、「IT企業のDXバブル」というわけですけれども。まずはニュースについて(徹郎さん、補足等をお願いします)。
- 蒲生
- 「DX化で迷走している企業も少なくない」わけですが。確かに、迷走を招いた責任は企業側にもあります。しかし、DX推進パートナー企業側も「明確なビジョンを見据えられていないのではないか?」が 大きなポイントの1つとされています。一方、「DXバブル」に沸いている企業もあります。特に、DX化の流れを受けて、IT企業にはたくさんの受注が舞い込み、高収入を強みに人材も引く手数多になっています。
- 佐藤
- ところで、(原)先生。「(DX化に)迷走している企業の例」にはどこが挙げられるのでしょうか?
- 原
- 確か、「セブンアンドアイ(ホールディングス)がDXを導入させようとして大コケした」なんて話もありましたよね。
- 佐藤
- 何で(セブンアンドアイはDX導入で)コケたんですか?
- 原
- もともとセブンアンドアイは『野村総研』というコンサル会社をメインで使っていまして。そこから「米谷さん」という方を引き抜いて、「DX本部長」みたいなポジションに据えたんです。そうしたら彼は、古巣から『アクセンチュア』や『プライスウォーターハウスクーパース』などの大手のコンサル会社に乗り換えてDXを進めました。ところが社内は「親会社も含めて全然連携が取れていなかった」んです。そうした「意思疎通できてないところがあった」にも関わらず、DXを進めるためのコンサル会社の社員を「出向」として迎え入れていたわけです。その結果、「出向社員が見積もりをどんどん出していく」有様になってしまって。総額で言っても「かなりの額」を投じたはずですが、「結局DXは失敗した」というのが真相です。
- 佐藤
- その失敗とは何だったんですか?
- 原
- 会社の親子間での連携が上手く取れなかったんです。やりたいことは「会社全体でDX取り組むこと」でしたが。
- 佐藤
- (それは)「末端まで」(ということ)?
- 原
- そうです。ところが、会社や部門ごとの段階で意思疎通ができなかったんです。それが起こったものだから、創業者一族からダメ出しが来て。仕方がないので、「全部取っ払いました」という経緯ですね。だから、(DX導入で)迷走してしまっている企業では「同じような状況に陥っているのかな?」とも思うんですよね。
- 佐藤
- だけど、「セブンアンドアイのケース」で言えば、まず着手するべきは、「マイクロDXを進めること」だったんだろうね。……勝手に「マイクロDX」なんて用語を作っているけれど。とは言え、セブンアンドアイクラスになれば、結局は「マイクロDXを進めること」が最優先事項だろうね。おそらく「賢明な方たちなら把握できている」だろうとは思うけど。要するに、(マイクロDXは)「時系列」として重要なわけだよ。どのみち「末端まで行き届かせる」には「時間はかかるもの」なので。
- 原
- 詰まるところ、「DXは時間をかけて取り組まなければならない」わけですね?
- 佐藤
- どう考えても、「とりあえずDX化できました。じゃあ、ドーンと行ってみよう!」ではないよね。
- 原
- それは違うと思います。
- 佐藤
- ところで七菜子はどう思った? (今回のテーマが)「IT企業のDXバブル」だけれども。うちも「SIer」として「システム開発などを受注している」わけだけれど。(システム開発チームの)主軸として何か感じるところはありましたか?
- 久田
- 今や皆さん本当にDXに注目されていて。だけど、「『DX』という名前に踊らされている」ような感じもして。実際、ツールなども「『とりあえずDXを付けて』売られている」みたいなところもありますよね。それで「DXをしよう!」と考えるのは、「甘い」とまでは言いませんけど、「売り手も買い手も(「DX」という)言葉に踊らされている」みたいな感じを受けます。言わば「『DX祭り』みたいになっている」と言いますか。結局(DXを導入させることによって)、「何がやりたいのか」や「どのような未来に向かいたいのか」をあまりよく考えないまま、「(言葉に)踊らされてとりあえずやっている」というような印象は受けますね。
- 佐藤
- 要するに「手段が目的になってしまっている状況」も多々見受けられるということだよね?
- 久田
- そういう感じですね。システムにしても「作ることが目的になってしまって」いたり……。
- 佐藤
- そうは言っても、うち(アートリー)も細やかとは言え、「DXバブルの恩恵」には……。
- 久田
- 預かってます! ありがとうございます!
- 佐藤
- ところで、「迷走する企業」もあれば、「バブルの恩恵を受けている企業もある」わけだけど。それにしても「バブル」という表現はどうなんですかね? 「バブル」と聞くと、(80年代後半から90年初めのバブル経済のように)「弾けることが前提」のようにも受け取れるけれど。
- 原
- 現状が「言葉だけが先行している状態」だからでしょうね。要は猫も杓子も「DX」「DX」と言っているので、どこもかしこも「やらなければならない」と思い込んでいるわけです。事実、「国が(DX化を)推奨している」ぐらいですからね。だから、「結果としてそういうこと(DX狂想曲)になりやすい」んでしょうけど。
- 佐藤
- 要は「行政が旗を振っている」わけですか?
- 原
- そうです。だけど、旗振ってる行政も「自分たちだけで(DX化を)成し遂げられるのか?」と尋ねられた場合、おそらくは「疑問符が付く」でしょうけど。
- 佐藤
- そういえば、「DX庁」みたいな役所がなかったっけ? ……「デジタル庁」か。
- 井戸
- ありますね。
- 佐藤
- そこ(デジタル庁)が頑張っているのだろうけど、実際には「並走している感じ」だよね。
- 原
- むしろ 、「そこ(デジタル庁による旗振りを受けて)から整えていく」ような感じですよね。
- 蒲生
- そもそも「DX推奨パートナーですら、DXしたことない」わけですよ。要は(DXの重要性が叫ばれるようになったことは)「最近の話」ですから。言ってしまえば、「受注側もDXしたことない」わけで「あまり経験がない」わけです。だから、実際には(クライアントと)「同じ立ち位置でやっている」有り様なわけでして。だから、(DXの推進を)リードできなかったり、ビジョンが見えていなかったりということもあるようです。
- 原
- 特にコンサル会社は「スキーム売りになりやすい」ので。「スキームが当てはまってるかどうかを確認しないままスタートさせてしまうことが多いのかな?」と思うんです。基本的に(DXの推進は)「理想論」になりがちだから。
- 佐藤
- 要は、前提が「相手を変えさせること」だから、「カスタムさせていく」と言うか「パッケージングさせやすい」のかもしれないね。詰まるところ、「型にはめることが大義名分になりやすい」と言いますか。
- 原
- だけど、「そこ(理想的にDX化された状態)に会社を追い付かせる」には、「社内を変えていくことと同じぐらいの熱量が必要」なので。
- 佐藤
- だから、そういう意味ではそれこそDXの最初回で出た「DX人材を育てよう」みたいな感じのソリューション(※2020年11月5日放送の 第1回【加速するDX化】の「人のDX化も進めていく!」のこと)があったけれど。今、まさしく「DX人材が〜」とも言われてきていますから。結局、「そこか!」みたいな話ですけれど。一旦、課題に入っていきましょう。
TOPICS
フリップ解説
- 井戸
- 「DX|IT企業のDXバブル。課題:信頼できるDX推進企業を選ぶには?」
- 佐藤
- 「信頼できるDX推進企業を選ぶには?」ですけれど。「フリップがある」とのことなので、見てみましょう。
- 井戸
- 「DX推進のパートナー選びのポイント」としては、1.コンサルタントの技術/スキル、2.サービス料金の妥当性、3.デジタル化戦略の立案能力、4.基幹系システムの企画・構築力、5.総合力、6.システムの運用・保守力、7.グローバル対応力、8.知名度があり、これらを「非常に重視する」「やや重視する 」「どちらとも言えない」「あまり重視しない」「重視しない」の5段階で評価してもらった表になります。
- 佐藤
- 例えば「もしもRYUちゃんがダンススクールの会社を経営していた」として。「会社の経営をより効率化させるためにDXの推進が必要になった」場合、どれを重要視してパートナー選びをしますか?
- RYUICHIRO
- 僕なら「上2つ(「コンサルタント・技術のスキル」と「サービス料金の妥当性」)」ですね。料金(の妥当性)はもちろんですけど、自分には「(DXを推進させるための)知識がない」から。「パートナーとして選ぶ」のであれば、技術があってある程度の段取りも組んでもらえれば、「少なからず安心できる」と言いますか。
- 佐藤
- 要するに、「伴走してくれるタイプが良い」わけかな?
- RYUICHIRO
- 僕の現状を踏まえると、「その(伴走型のパートナー企業の)ほうが良いかな?」と思って。とは言え、「ある程度の知識があれ」ば、「違う」のかもしれませんけど。だけど、「知識のない人」からすれば、「(DXについて)知っている人をパートナーに置きたい」だろうとは思います。
- 佐藤
- 逆に「(DXの)知識がある」としたら、どれが重要になりそう?
- RYUICHIRO
- (DXの)知識があるとしたら、「グローバル対応力」辺りだろうと思います。「外に目向けて」ではないけれど、また「新しく広がる」のかな?
- 佐藤
- だけど、良いことを言うよね。確かに、本来であれば、背景にあるのは「グローバル経済に遅れを取っている問題」があるわけで。だから日本企業は「行政含めて練兵している状態」なんだよね? とは言え、(DX化を進めた先の)「主戦場」は「国外」と言うか「全世界」のはずだよね。おそらく(DX化を進めて)「本当にグローバル対応できたところ」は「いずれぶつかる」だろうね。だから最終的には「DXに内製で取り組む」にしても「 パートナーとして関わっていく」にしても結構重要になるかもしれないね。
- 蒲生
- そうだとしても、「第2/第3フェーズの話」になるでしょうね。
- 佐藤
- おそらく「だいぶ先」の話だろうね。ところで、(原)先生はどうですか?
- 原
- 私は「対世界」も重要であるとは思いますが、「デジタル化戦略の立案能力」がベースのような気がします。それを踏まえて「何ができるか」を考えると「基幹系システムの企画と構築力」も必要だろうなとも思います。それで、「やり始めたあとになってから」問われてくるのが「総合力」や「システム力」だろうと思います。「料金の妥当性」は今はまだ分からない状況だろうと思うので、「金額に引っ張られるのもいかがなものかな?」という話ですし。
- 佐藤
- 要するに、「ここ(料金の妥当性)に引っ張られた」場合、「信頼できるDX推進企業を選ぶ上での弊害になる可能性がある」わけですか?
- 原
- そうですね。「料金面の要素は少なからず疑問符が付く」だろうと思います。ましてや「コンサルタント技術/スキル」などは「二の次、三の次」でしょうね。「顧客のことを考える話」とは「少なからずベースが違っていくだろうな」とも思ってしまいますね。
- 佐藤
- だから「3(デジタル化戦略の立案能力)と4(基幹系システムの企画・構築力)」なのか。DX化の実態は現場から見ているとどうなのかな? まずは七菜子から。
- 久田
- 「コンサルタント技術/スキル」は「幅が結構広そうだな」とは思っていて。DXを推進していく中では「ロジカルな発想」も必要になるだろうし。 そもそも「事業自体を理解するためのビジネス能力」も必要でしょうし。それらを踏まえて「コンサルタント技術/スキル」と呼んでるのかまでは分かりませんが。
- 佐藤
- おそらくそういうところだろうね。「コミュニケーション」や「コンサルタント」と言っている以上は、RYUちゃんが言うように、「ある程度自分が理解していること」が前提なのかな? むしろ、「(お宅に)もう(全部)任せるから」みたいな話であれば、「3番(デジタル化戦略の立案能力)が重要視されていなければ辻褄が合わない」わけだから。だけど、「ぱっと見で1番(コンサルタントの技術/スキル)が多い」ことは、「DXをやらなければならない」と思っている反面、「理解しえないもの」と言うか「理解できないものにはお金は払えない」という思いがあるのだろうね。とは言え、「中小や中堅企業」であれば、当然だろうと思う。だから、「1(コンサルタントの技術/スキル)と 2(サービス料金の妥当性)が高い」のかもね。だけど、言い方が良くないかもしれないけど、「良いDX推進企業ばかりではない」わけだから。「相性問題」みたいなこともあるだろうし。だから、「それ(相性の良い企業同士)をマッチングし続けられるか」と問われれば、「おそらく無理がある」だろうから。「少なからず問題にはなる」だろうね。そのために「問題点を意識していること」は良いことだけどね。「勉強する姿勢があること」は伝わるから。逆に「勉強が終わっている」前提で言うなら、おそらく「2(サービス料金の妥当性)と3(デジタル化戦略の立案能力)」なのかな? それで、「6(システムの運用・保守力)」が来て、その次が「7(グローバル対応力)」というところかな? 確かに「料金の妥当性」は必要だし、「企画・立案能力」も欠かせないよね。一方、(原)先生は、「3(デジタル化戦略の立案能力)」が一番重要だと考えていて。その場合は、「予算や資本に紐付いてくる」から、「2(サービス料金の妥当性)も必要になる」わけだよね?
- 原
- (コンサルティング料を)「払えるかどうか」ですからね。
- 佐藤
- だから、「実際の運用面」を踏まえると「6(システムの運用・保守力)」も必要になって。さらに、「未来まで見据えよう」と思うと、RYUちゃんが言うように、「7(グローバル対応力)も求められるようになる」のかな?
- 佐藤
- 「答え合わせ」も兼ねて、徹郎さんはどうですか?
- 蒲生
- 皆さんも一緒に考えてくだされば(笑)。……でも、私も「3番(デジタル化戦略の立案能力)派」ですね。要は(現状は)「各企業が中長期的なデジタル化戦略を立てて、そこ(立てた中長期的なデジタル化戦略)に対してやっていこう」というところだろうと思います。だから2番(サービス料金の妥当性)の場合、「コンサルタントといろいろな話をして、まずは大日程や座組みを固めなければならない話」だろうと思います。だから、個人的には1番目(コンサルタントの技術/スキル)が次に来るでしょうね。(DX自体が)「難しい内容」だとも思うので、「電話で気軽に話せる身近なパートナー」としての「コンサルタントスキル」を求めたいですね。「話しやすくて有能な準社員のような人を必要としたい」と言いますか…….。
- 佐藤
- 分かりました。だけど、こうして見ると、割と「どちらとも言えない」が多そうだよね。「やや重視する」は実質「どちらとも言えない」に割と近いところがあるから。それに「あまり重視しない」と「重視しない」も「実質的に同じグループ」みたいなものだから。だから、「意外と分からない」と言うか……。
- 久田
- 「まだ分かっていない」と言うか。
- 佐藤
- 「分かっていないやつが多すぎる」のかもしれない。
- 蒲生
- そもそも「知名度」は「全く重視されていない」ですし。
- 佐藤
- 言ってしまえば、「DXで有名な企業は存在していない」からね。例えば、「ソニーがやっています」と言われたとしても「んー?」と思うだけかもしれないし。「アクセンチュア 」なら「外資系?」くらいで。おそらく「知っているところは知っている」のかもしれないけど。それこそ「サイバーエージェント」のような……。
- 井戸
- 「少しでも名の知られているIT企業名」が出てくれば、「おっ?」とはなるかもしれないですけど、「知名度」は……。
TOPICS
テーマ討論
- 佐藤
- 結局は「担当者次第」だからね。それでは本題に戻っていきましょうか。改めて、「信頼できるDX推進企業を選ぶには?」ですが。いろいろと踏まえて(原) 先生はどうですか?
- 原
- みんなが「分からないなりに進めている」からこそ、依頼する側が、大雑把でも構わないので 「こうなりたい」みたいなビジョンを持って。「それ(大雑把ながらも掲げたビジョン)を聞いてくれる人をコンサルタントに据える」感じで、「相性が合うかどうかが 肝なのかな?」と思いました。
- 佐藤
- だけど、「相性」はどうやって調べれば良いんだろうね?
- 原
- これは「コンサルタントあるある」なのかもしれないですけど、「一方的な売り込みの話ばかりで相手の内情を知らない」……。
- 佐藤
- 確かに「相手のビジネスを勉強しないやつ」はダメだよね。
- 原
- 「最もナンセンス」でしょうね。「相手のことを知らないで売りたいものだけ売ります」では、「どこぞの企業と変わらない」わけですから。それではお客さんにも不満感が溜まりやすいでしょうから。
- 佐藤
- 詰まるところ、「捉え方の問題」だろうね。当然、 企業は「仕組み化されたものを売りたい」し、買う側も基本的には「パーソナライズされたものを買いたい」と思うわけだから。とは言え、「ケースバイケース」だろうとは思うけど。例えば、「(DX化について)分かっている会社」からすれば、それこそ「ノーコードツールなどを取り入れて現場でやらせる」みたいに「マイクロDXはトップダウンでやれる」から。「自社をどうDX化させるべきか」が分かっていれば、「必要部位だけを狙ってつまみ食いできる」わけだよね。だけど、「それ(自社のDX化の筋道)すら分からない場合」は、そもそもが上手くいかないよね。
- 原
- なので、今は「誰も分からないよね」となっているからこそ、「ヒアリング能力の高いコンサルタント」でなければならないわけです。「要望を拾い上げる力がある人のほうが、御社には合っている」という話ができるし、クライアントからしても「分かってもらえている」という安心感になりますからね。だから「(自社の強みを)できる限り引き出してくれる人」が求められているわけです。要は「本来の御社はこうですよ」と引き出してもらいたいわけです。言うなれば、「提案ではなく強みを引き出してくれて、問題に一緒に取り組んでくれる会社が求められている」ような気がします。
- 佐藤
- それなら、まずは「リテラシーが問題なくできているパートナーかどうか」だろうね。例えば DX自体、基本的に「トップダウンでやること」が前提の話なのかもね。そういう意味では「人選から取りかかってくれるパートナー」でなければ「少なからず疑問符が付く」のかもしれないね。(例え会社自体がDXに疎くても)中には「DXが割と分かる人」がいるかもしれないわけだから。そうした人は「どこのポジションにいようが(DXの担当者として)選出させる」ようにして。仮に「それ(ポジションを無視した大抜擢)ができない体制」であるなら、それ(体制)を少しだけ変えて、可能なようにさせて……。そもそも、「いきなりDX化から始める」のではなく、「非DXのところに変革を起こしてからDXに取り組ませ」なければ……。
- 井戸
- 要するに、「前準備をしよう」ということですね?
- 佐藤
- そもそも「畑ができあがってないところに種植えても、中途半端な実しか育たない」わけだから。
- 原
- 大事なのは、「体制をどう作っていくか」ですものね。
- 佐藤
- おそらくそこだろうね。
- 佐藤
- いろいろ調べた中で、ニュースなどはいかがでしたか?
- 蒲生
- 今、(社長が)おっしゃられたように、「畑を作る」という意味では「DX」という概念があるわけで。だけど、それ(DX化)は「目的」なわけですよね。「あなたの会社にとってのDXはこんな感じですよ」という目的を作った上で、「手段としてIT化させていく」わけです。それが「システム導入」なのか「ノーコードツールを用いての自社開発なのか」は置いておくにしても。まずは「あなたの会社のDX化は何なのか」という、目的をきちんと作って畑を平してからやっていくこと」が筋道であるので。そのためには、「あなたの会社に合ったDX化のビジョンを経営層にも共感してもらうには、理念がマッチするパートナー企業を選ぶべき」かなとは……。
- 佐藤
- 今まで話してきたような内容で具体的なチェックシートを作って、企業を選定して。トライアル採用みたいに「期間決めてやって」みても悪くないかもね。いっそのこと「コンペとしてやらせても面白い」かもしれない。例えば「少し費用がかさむ」かもしれないけど、「2〜3社ぐらいに同じ企画を同じタイミングで実行させて、どういう結果になるか」を競わせても面白いかもしれない。
- 井戸
- 「コンペ」は面白そうですね。
- 佐藤
- 意外とリアルな結果が出るかもしれないよね。
- 原
- 各コンサル会社の毛色が出るかもしれませんよ。
- 佐藤
- もしかしたら、「2社とも上手くいって、両方使っていく方法」もあるかもしれないし。
- 蒲生
- (DX化のために利用できる推進パートナー企業は)「1社のみに限られる」わけではありませんからね。
- 佐藤
- 基本的に「コンサルタント系」と「SIer系」、要は「自社サービスを作っているところ」と「開発系のところ」は、おそらく「セットになる」はずなので。例えば、(コンサル会社が)メインで開発系がサブになっていたり、あるいは「並走」されていたり、はたまた「そのための人材を採用して内製化させるのか」みたいに、「いろいろな組み合わせができる」よね。
- 佐藤
- ところで萌ちゃんはどうでしょうか。「信頼できるDX推進企業を選ぶには?」ですけれど、何かありますか?
- 井戸
- 既に皆さんが「散々しゃべった」あとなのに(苦笑)。でも、まさに私の会社(株式会社Breath.M)も今、DX化に向けて動いているので。とは言え、意見としては「既に挙げられていて被ります」からあえては言いませんけれど。実際、私もプロジェクトを1つ担っていて。進めていく段になっても、「担当者として見てしまう」と、どうしても「手元だけに視線が行ってしまう」んですよね。要は「ここをどうしても便利にしたい」とだけ思ってしまうので。だからか「目先の問題解決だけでシステムを選ぼうとする人」が多くて……。
- 佐藤
- 詰まるところ、「イシュー(問題点)になってるところだけが解決すれば良いという発想」だよね?
- 井戸
- その結果、それ(目先の問題解決だけを目標にシステム選びをする人)が、「あちこちに散在する」わけです。挙げ句に今は「コロナ禍」なので、リモート勤務している人も少なくないわけです。だけど、 それ(リモート勤務者がいること)を忘れて好き勝手やり始めると、おそらく「 DX自体がやりづらくなる」ような気がします。どうしてかと言うと、「良かれ」と思って、全然別のシステムを入れてしまう場合があって……。要は、先ほど挙げたように、「目先の問題の解決」だけしか考えていないので。だから、皆さんがおっしゃっていたように、「全体を見た時にどうしたいか」を先に組まなければならないと思って。ちなみに、私たち(株式会社Breath.M)の場合は、「一つずつ入れていったらマズい」ことに途中で気付いたので、「やらかしてはいない」ですけど。要は、「(単発のものを)次々と入れていってはマズいことになる」と途中で気付いて、「各部署が連携を取るようになってきた」ので良いですけれど。一応、私たちもIT企業なので、「(部署間の)連携を取らないと!」という発想に至れたわけですが、「 ITに慣れていない会社」の場合は、「(部署間での連携が必要なことに)気付けず、後戻りできないところまで進んでしまうこと」もザラにあるだろうと思いました。だから、本当に必要なことは「まずは全体像を掲げること」だと思います。そのためには「アドバイスやヒアリングをしてくれる推進企業をパートナーに据えることが良いだろうな」というのは、「万感の思い」でした。
- 佐藤
- だけど、「考え方としてはありかもしれない」よね。要は、「各部署でまずはいろいろなツールを好き勝手に使ってみて。それらの使用感などを半年間くらいデータを取って、ベンチマークしていって。その中で良かったものを採用していきます」みたいにしても。そうした具合で「社内研修を兼ねていく」ことも「もしかしたらあり」かもしれない。
- 原
- 私としては、「(いつまでも)ズルズルやらないこと」が「DXの大前提」だろうと思うんです。要は、「DXには終わりがない」ので。だから、「お尻を決めること」は良いと思います。要するに「いつまでにこれをしてどうだったか」という検証期間を設けなければ、「合ってるかどうかも分からないまま進んでいく感じになる」と思うんですよ。だから、そうした観点から、「お尻を決めて、ある程度ベンチマークを取ること」にはすごく合点がいきます。
- 佐藤
- 最初の話に戻ると、「DX」に対して「大きな変革を期待し過ぎている」のかもしれないけど、おそらく、「現場に点在していた小さな問題をDX化させて解決すること」が本来のあり方なのかもしれないよね。例えば、「IT企業」なら、「全体的な座組み」を構築して、「全体的にはこういうかたちでイノベーションを起こしていきたいので、部署ごとに見た場合は、ここはこの改善にそのDXに取り組んでください」みたいにして。要は「展開のさせ方が組める時点でコンサルタントの介入はいらない」わけよ。だから、それ(DXの内製化ができる企業)は「それ(DXを内製化させていく方針)で構わない」わけだけど。でも、それ(DXの内製化)ができない場合であれば、「コンサルタントをどうやって探せば良いのか?」という話だから。詰まるところ、「組織力をある程度上げていくこと」は「前提」だろうね。……確か最近売れた本で『イシューからはじめよ』という本があったと思うけれど。だから、「DXを内製化させる」には、手始めに「イシューを抽出」して、それに対するマイクロDXを構築させていけば、おそらく「DXの体感」や「成功体験のようなもの」が生まれてきて、社員たちも「DX化を前向きに捉えられるようになる」ような気もするけどね。
- 井戸
- 「今後こういうツールが必要だろう」や「こういうこともできるようになるだろう」などの「細かいところ」までは分からなくても、「全体のデータの流れ」から「こうやればこうできるんじゃないかな?」と「ざっくりでも(DXについて)分かる人間」が「社内に増えるだけでも違う」だろうとは思います。
- 佐藤
- そうなると(DX化は)「前段階から始めるべき」なのかもしれないね。とは言え、「ズルズルやらせない」ためにも「1年間だけ!」みたいに「(期間)を決めてやること」は必要だろうね。そう言えば、確か「2019年に経産省が出してたデータ」か何かで、「2025年までにDX化ができなかった企業は、消えてなくなっていく」らしいというような話で……。
- 井戸
- 「結構すぐ」じゃないですか!
- 佐藤
- それ(2025年までのDX化)ができない場合、「毎年25兆円の損失が生まれていく」らしいよ。
- 原
- 要するに、「日本国内だけでなく、世界からも完全に取り残される」から、「続かなくなる」ということですよね?
- 佐藤
- そう。そんなようなデータが2019年に出ていて。だけど、「2025年」だから、「あと3年」……。
- 原
- そう考えると、「全然時間がない」ですよね。
- 佐藤
- だけど、言い換えれば、「3年かけてマイクロDXを進めていけ」ば、自然と「DXに明るくなっていそう」だよね?
- 井戸
- そんな気もします。
- 佐藤
- それから「一度コンサルタントとしてアクセンチュアを入れてみようか」みたいにできれば……。
- 井戸
- 「未来が見えてきた」気がする。
- 原
- しかも「ある程度進んでいる状況」だから、「自分たちの(目指す)ゴールだけ」でなく「次のステップが課題として見えて」くるはずだよね。だから、「イシューのあり方」も「おそらく変わっていく」ように思います。
- 佐藤
- いろいろな案が出ましたけれど、そろそろ「みんなの声」も見ていきましょうか。
TOPICS
みんなの声
- 井戸
- 『会社によってDXの定義が違って大変。』
- 佐藤
- 「世間は広い」からね。だから本当に「変革」という場合もあるかもね。
- 井戸
- そうですね。
- 佐藤
- そういう(会社によってDXの定義が違う)ことも含めて分からなければ、「話が進んでいかない」ような気がする。
- 井戸
- 「会社によってDXの中身が違う」というところからですね? 『ノーコードツールが伸びてきそう。』
- 佐藤
- 特に「内製化の場合」はそうだろうね。「内製化」と言うか「トライアル的な感じ」かもしれないけど。確かに「ノーコードもあるかもしれない」けど、おそらくは「入れ替えが前提」だろうと思う。俺らでもそうなんだけど、「内製でシステムを組む」場合は、まずは『Dropbox』のクラウド機能で『Excel』を使って「表計算」と言うか「データベースとある程度の表」を作って運用するんだけど。……『Excel』と言うか Macだから、『Numbers』だけど。それで、「売り上げ管理」などのイシューを徐々に解決していってから、「これをシステム化しようか」みたいな感じで、アプリケーションにしていくわけだけど。それの「少し一皮剥けた版」が、おそらく「ノーコードでやろうか」みたいな話だろうと思うんだよね。
- 井戸
- (今やノーコードツールは)「手を出しやすい」ですからね。……次、いきましょう。 『確定申告が全部デジタルで行えて便利だった。』
- 佐藤
- エンドユーザーは良いよね。「マニュアルや指示に従っていけば良い」だけだから。
- 久田
- 「確定申告」なら「形式も決まって」いますし。
- 井戸
- 『アナログ主義の経営陣は全員退くべき。』
- 久田
- 過激派……。
- 佐藤
- でも、どうなんだろうね? 「アナログにも良さがある」から、「使い分け」だよね?
- 原
- 「すべてがデジタル」という状況も「おそらくなかなかしんどい」だろうと思います。
- 佐藤
- 「デジタル至上主義」は俺としても「些か腑に落ちない」な。あくまで「仕事をしているのは人」だから。
- 原
- 「人は財なり」ですからね。デジタルは「あくまでも手段であるべき」でしょう。
- 佐藤
- 「デジタルで全てが賄えてしまう」のであれば、 世の中は「本当に資本を持っているところだけしか勝てない」よ。要は「奇策が取れない」わけだから。いろいろと組み合わせて闘うから、「勝ち目や勝算が作れる」わけだから。例えば、「競合相手がデジタル企業」だとした場合、「デジタルだから、(手の内は)分かっているわ!」みたいな話になるよね。要するに「対策が取りやすい」と言うか……。
- 原
- 「かえって攻め方が見えてくる」ものね。
- 佐藤
- だけど、それ(競合各社)が「全て同じ土台や条件」になった場合、最終勝者は「資本力のあるところ」しかないよね。
- 原
- 要は「みんな同じ道のりで行く」わけだから、最終的な決定要素は「お金の量」しかありませんよね。
- 佐藤
- そうなると、もはや「時間軸の話」になって、「永久に追い上げられない事態」に陥るだろうね。「同じように成長していく」だけなら、それはまるで「エスカレーター」だよね。要は、(エスカレーターは)「どれだけ待っても同じステップしか来ない」けど、その隣に「階段」があれば。「脚力が必要」にはなるけれど、頑張り次第では、「エスカレーターで乗っているやつを追い越せる可能性」も出てくるわけだから。
- 佐藤
- そろそろソリューションを出していきましょうか。(課題は)「信頼できるDX推進企業を選ぶには?」でしたね?
TOPICS
ソリューション
- 井戸
- お願いします。
- 佐藤
- 本日のソリューションはこちらです。「ITについて勉強しよう」。「DX」と言っているけども、「ITはオワコンではない」わけで。世間的に「IT化じゃなくてDX化でしょ?」みたいに言われているけれど……。
- 井戸
- 違うんですよね。
- 佐藤
- そもそもDXにしても「ITがメイン」だから。
- 井戸
- 「IT化があってのDX」……。
- 佐藤
- そういうこと。そもそも「DX推進企業」なんて言っていたけれど、そもそも「ITを知らないことには選べない」わな。
- 原
- 確かにそうですね。
- 佐藤
- 結局「何のツケが回ってきているか?」と言えば、「ITを勉強してこなかったから」なわけで。
- 井戸
- 要するに「これまでずっとアナログだけでやってきた感じ」の……。
- 佐藤
- とは言え、一口に「IT」と言っても、「幅が広い」から。「IT」と聞くと「システム開発のイメージ」もあるだろうけど、「マーケティング」や「デザイン思考」も、「IT的な考え方」だし。だから、とにかく本読みまくったり、セミナーに行きまくったりして、それから、何か細やかなものを発注したりして、「IT企業のプロジェクトの進め方」なども勉強して。とにかく「ITに関することを勉強しなければ、DXは実現できないよね」というのがソリューションです。
- 原
- (DX化はIT化の)「その先」だものね。それ(DX化がIT化の先にあること)を無視して飛び越えようとして……。
- 井戸
- そうです。(IT化を飛ばして)「いきなりDXに行こう」とするから……。
- 佐藤
- 実際、「サッカーをする」にしても、「走り方すら知らないやつが」と言うか。あるいは、「野球をする」にしても、「走り方を知らないやつ」や「ボールの投げ方を知らないやつ」に「できるわけない」よね。だから、まずは「手前のところ」から……。
- 原
- 詰まるところ、「そもそもの基本がズレていた」わけですね。
- 佐藤
- だから「IT化から始め」ましょう。ということで、「IT企業のDXバブル」でした。だけど、(DXバブルは)「しばらくは続きそう」だよね。今は本当に「格差社会」だから、(DXに乗り遅れた企業は)「どこかで淘汰されてしまう」だろうけど。でも、もしかすると数年以内に「格差がなくなって平均化されていく」かもしれないけど。
- 原
- だとすると、「平均化させることが先決」だろうと思いますね。
- 佐藤
- だから、 言い方が良くないかもしれないけれど、言ってしまえば「整理みたいなこと」だよね。(DX化しそびれて)「淘汰されてしまう会社」は仕方ないけど、「そういうこと」だと思う。とは言え、「淘汰されない」ためにも、「DX化」と言うか「IT化」は必須なわけで。……そもそも、「IT企業のDXバブル」と言うんなら、「IT企業になれれば、誰でもDXバブルを受けられる」わけだから。「ITに強くなれれば、『DXを提供する側としても儲けられる』」わけだよね?
- 井戸
- 「そうじゃん!」みたいな結論が出ましたね(笑)。
- 原
- 要は「手段が増える話」だからね。
- 佐藤
- ありがとうございました。
- 井戸
- 来週以降の放送はこちらの通りとなっています。また次回も木曜日の夜10時にお会いしましょう。次回もお楽しみに。
- 佐藤
- 最後までご視聴ありがとうございました。さようなら!
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