- トップページ
- ARTORY ACADEMIA
- 【デジタル組織】デジタル組織を構築するには?
2022.10.06 放送分
【デジタル組織】デジタル組織を構築するには?
第101回アートリーアカデミア
THEME
【デジタル組織】デジタル組織を構築するには?
今回のテーマは「デジタル組織」。DX(デジタルトランスフォーメーション)を進める上で導入されるようになり、コロナ禍をきっかけに一層発展が進んでいるようだ。DI(デジタルインテグレーション)と呼ばれる「既存サービスなどとデジタルの融合」も含めて、デジタル組織構築によるビジネスの変化が起こる中で、どうすれば「時代の波に乗り遅れない組織作り」ができるのだろうか。アートリーアカデミアでは、どのような答えを見つけたのかをご覧ください。
TOPICS
フリップ解説
- 佐藤
- 今夜も始まりましたアートリーアカデミア。
- 井戸
- 本日のテーマは、「企業に適したデジタル組織を構築するには?」。早速フリップを見ていきましょう。「デジタル変革の2つのモード」という参考資料になります。まず、「デジタルインテグレーション(DI)」とは、「デジタル技術を活用した既存ビジネスモデルの高度化」を言います。続いて「デジタルトランスフォーメーション(DX)」ですね。こちらは、「デジタル技術によるビジネスモデルの転換」を意味します。DXやDIの推進を目的とするデジタル組織は、日本では2015年頃から大企業で見られるようになり、2017年頃からペースが加速している」とのことです。
- 蒲生
- 「デジタル組織」とは、文字通り「デジタル化を推進する組織」のことです。なお、「デジタル化」には2つの種類がありまして。それが「デジタルインテグレーション」と「デジタルトランスフォーメーション」になります。まず、「デジタルインテグレーション」とは、「既存のビジネスにデジタルを融合させていこう」という段階を言います。そして「デジタルトランスフォーメーション」とは、「デジタル技術を活かしてビジネスに新しく変革を持たせていこう」と言いますか、「新事業を開拓していこう」みたいな領域を指します。ちなみに、それらについては次のフリップで分かりやすくまとめています。
- 井戸
- 「DIとDXの事例」というフリップですね。まずは「デジタルインテグレーション」ですね。スマホアプリ「GO」はタクシーが呼べるアプリです。場所と時間、タクシー会社が指定できることから日常的に使われています。
- 佐藤
- どういうことなの?
- 蒲生
- これは、「今までは電話予約するしかなかったタクシーの配車サービスをアプリを使うことでオンラインからもできるようになった」という事例ですね。要は「既存のビジネスにデジタルを融合させることで便利にしたよ」と言いますか……。
- 佐藤
- 「IT化」みたいな感じなのかな?
- 蒲生
- そうです。
- 佐藤
- ちなみに「DX」はどういうものなの?
- 井戸
- DXの事例は「Uber タクシー」についてです。(「Uber タクシー」は)アプリを用いて、「時間と自家用車が空いている一般ドライバー」と「車で移動したい人」をマッチングさせるサービスを生み出し、世界のタクシー業界に衝撃を与えました。
- 佐藤
- (DXというのは、)「ビジネスモデル自体に変革がある」という感じなのか。
- 蒲生
- そうですね。(「Uber タクシー」の事例の場合は、)「デジタル技術をもって、今までなかったビジネスモデルが構築された」わけですからね。ちなみに世間では、「DI」も「DX」も「1まとめにして言われがち」ですが、最近では「この2つ(「DI」と「DX」)は明確に分かれるよね」という認識になってきていまして。だから、会社組織の活動の中でも、「DIをやっていく部署も大事、DXをやっていく部署も大事」、という具合で「それぞれ細分化され始めている」わけです。なお、「企業におけるデジタル組織の形成パターン」をまとめたものが、次のフリップになります。
- 井戸
- 「デジタル組織の3形態」という参考資料になります。
- 蒲生
- 「DI」や「DX」に加えて「IT」も入っていますが、「IT」とは「セキュリティやサーバー・ホームページの管理」などの「初歩的なことを担当する部署」を言います。また、デジタル組織には「第1形態から第3形態まであり」ますので、順に説明をしていきたいと思います。まずは「第1形態:独立型」。これは「DIを推奨していく部署」と「DXを推進していく部署」、「ITを推進していく部署」のように「各部署が別立てになっていて、それぞれが活動している」組織形態で……。
- 佐藤
- 要するに、デジタル組織の構成要素には、「IT」、「DI」、「DX」の3つがあるわけだ。……だけど、「ITだけが分かれているパターンがある」のはどういう意味?
- 蒲生
- 「ITは普段のホームページの管理」など……。平たく言えば、「Web管理などに近い感じ」でしょうね。
- 井戸
- つまり、「一番基盤のところ」ということです?
- 蒲生
- 「基盤のところ」と言いますか、「通常業務に近いところ」が「IT」という認識で、それを基に「既存のビジネスを高度化させよう」や「成長させていこう」という動きが「DI」になります。さらに、「デジタルを活用して新しい発想や変革をもたらしていこう」という攻めの姿勢が「DX」になるわけで……。
- 佐藤
- ということは「ITはWeb運用みたいなイメージ」なわけか。
- 蒲生
- そうです。
- 佐藤
- なるほどね。(編者注:意図せずして蒲生の説明が中途半端で終わっているので説明を補足すると、「登場当初のデジタル組織」では、「DIとDXは同一部署で担当され、ITのみが別動隊として運用」されていた。しかし、「DIとDXの順序関係」が浸透してくるに連れて、「DI・DX・ITを全て別々で運用する」第1形態:独立型、「DIとITを同一部署が担う」第2形態:DI/DX型、「全てを統合的に行う」第3形態:統合型の3タイプに大別されるようになってきている。)
- 佐藤
- 七菜子は「システムの責任者」としてこれ(デジタル組織)に関してはどう思う?
- 久田
- 私はこのフリップにおける「ITの部署」は、いわゆる「情報システム課」のようなところなのかと思っていて。
- 蒲生
- そうですね。
- 佐藤
- 要は「データベース」みたいな?
- 久田
- だからそうですね。「顧客管理」や「請求管理」などを「IT化できているところ」にはおそらく、「IT上室」のような上位部門がついていたりするんですよ。だけど、それと別で「既存ビジネスをアップグレードしていく活動」と言いますか、「既存ビジネスにさらに新しいものを加えていく」という意味で考えた場合、「既存ビジネスで動いているもの」と「DIとDXを切り分けて動いていく」ところ、あるいは「DIとITをくっ付けてしまおう」という発想になったり……。
- 佐藤
- そういうことか! 要は「今までの企業組織で言うところの『IT事業部』」のような……。
- 蒲生
- そうです。
- 佐藤
- だから、「DI事業部」や「DX事業部」のような「事業部ベースの話」なんだよね?
- 久田
- そうですね。
- 蒲生
- もちろん、「DIやDXはどちらも推進されていくもの」なのですが、「推進していく方向が違う」と言いますか……。
- 佐藤
- それならやっぱり、「事業部」と付いているほうが「分かりやすい」だろうね。……要するに、「DI/DX型」は「DIとITが一緒くたになっている」わけだから、おそらくは「元々IT事業部だったところがDIやDXをやりだした」みたいな話なんだよね? それで「統合型」は「DIもDXもITも全部一緒にやっている」わけだから、おそらく「それら(DIやDX、IT)に対する概念がない」ような気がするよね。
- 蒲生
- 雰囲気としては「その部署に(情報技術分野について)少しばかり詳しい人がいる」みたいな……。
- 佐藤
- なるほど。
- 原
- だけど、「一般的な中小企業として考えた」場合、「トップダウンでやる話」でしょうから。「経営者が段取りもイノベーションも全てを指示していく」と言うか「一切を経営者が考えていく」感じになるような気がして……。
- 佐藤
- そうだよね?
- 原
- 「それ(DIやDXの浸透や普及)に追い付ける経営者はどれほどいるのかな?」と思ってしまって。
- 佐藤
- それこそうち(株式会社アートリー)も「中小企業」だから何とも言えないけれど……。要は一般的に「役員」や「社長」などに就くような年齢層……、要は「年配者にはITに疎い人たちも少なくない」と言いたいわけだけど。だから、各企業のデジタル化具合は、「担当者のレベルによる」ところが多いような気がするけれど。とは言え、その程度のところは「デジタル組織」とは呼ばないよね?
- 蒲生
- そうでしょうね。
- 久田
- 「CDO」って何の略称でしたっけ? ……「チーフデジタルオフィサー」か。そうは言っても、役員クラス全員がデジタルに明るい」わけではないでしょうから……。
- 佐藤
- とは言え「デジタル組織」だから、前提としては「役職持ちや役員クラスが主導して運用していく」みたいなことだよね?
- 蒲生
- ですし、「役員に対しての監査役やコンサルがそれぞれに付いているか」もポイントであるように思います。
- 佐藤
- それはどう言うこと?
- 蒲生
- 例え「役員がITやDXのことを知らなく」ても、「右腕の幹部が知っている」というパターンはありえますよね。
- 佐藤
- そういうことか。なるほどね。要は(偉いやつは)「判断や決済だけをする」みたいな……。
- 蒲生
- そういうことです。要は「通訳をしてもらって」ではないですが……。
- 佐藤
- なるほどね。渡邉さんはいかがですか?
- 渡邉
- そもそも今僕自身が「少なからずトランスフォーメーションしてしまっている」ので……。「DX」は以前から聞いたことがありましたけど、「DI」のほうは僕も初めて聞いたので「勉強して」みましたが。それで思ったことは、日本語で言えば、「DIは【改良】で、DXは【改革】みたいなことなのかな? 」ということですね。要は(『GO』の事例は、)そもそも「タクシーは電話で呼べるもの」だったところを「スマホアプリでより便利に呼べるようになった」わけですから。だから「改良」というところで。一方、「DX」は、「それまでなかった仕組みが作られる」わけですから。(だから、『Uber TAXI』の)「タクシーに乗りたい人と車を活用させたい人の双方をマッチングさせる」という「今までなかったことをしている」わけだから。だから、「DXは【改革】なのだろうかな?」と思って。ちなみに、「IT」は、「【DIやDXをするための情報技術を掛け合わせる手段】のようなものだろう」みたいなことを先ほどの話を聞きながら整理していました。
- 佐藤
- そういうことだろうね。
- 蒲生
- そうでしょうね。
- 佐藤
- それはそうと、そもそも「デジタル組織」という考え方は、やはり「必要」なんですかね? さすがに「個人の家庭までデジタル組織化される」ことはないとは思うけど……。
- 蒲生
- そうですね。大手企業などでは、「DX推進室」や「最先端技術戦略室」のような名称を付けた「DXに特化した部署」というものを既に作り始めています。
- 佐藤
- ということは、「今まででも既にやっていた」わけだよね?
- 蒲生
- おっしゃる通りではありますけれど、実態としては「DIとDXが一緒くたになっていた」わけで……。
- 佐藤
- そうは言っても、(「DI」と「DX」という)「概念を分ける」ことによって、何か変わってくるのかな?
- 蒲生
- 少なくとも「働き方が変わってくる」とは思います。
- 原
- ところで、「決裁権の話は一旦脇に置いておく」のですが……。要は言いたいこととしては、「既存の事業体制ではダメだよね」という事実を「完膚なく打ち出している」という認識を持つべきだろうと思っていまして……。
- 佐藤
- そういうことか。要は本質としては「デジタルがどうこう」ではなく、「時代に合わせて改良や改革をしていこう」ということかな?
- 原
- あくまでも「手法がデジタルなだけ」ですよね?
- 佐藤
- そういう意味では、「これまでフィジカルでずっとやってきたこと」は「少なからず頭打ち」みたいなことか。そうは言っても、「デジタルはまだまだここから」だものね。要は「進化していく途中」と言うべきか。だから、「デジタル組織」というのは、「デジタルに軸足を置いて、ビジネスを変革させていこうとしている事業部」みたいな解釈で良いのかな?
- 蒲生
- おおよそその解釈で問題ありません。
- 佐藤
- 詰まるところ、「デジタル組織」そのものが「社内でかなりのイニシアチブを取っているような状況になっている」わけだよね?
- 蒲生
- おそらくそうでしょうね。
- 佐藤
- だから「役員は判断するだけ」と?
- 蒲生
- そういう解釈でしょうね。
TOPICS
テーマ討論
- 佐藤
- そういうような感じなんだよね? そろそろ(本題に)戻りましょうか。「企業に適したデジタル組織を構築するには?」ということですが。今まで話してきた内容を踏まえると、「デジタル組織はこれからの企業には必要なものだろうね」という前提が成り立つわけだよね。だから、「IT化」の次段階として「DI」や「DX」と言った「上位概念」が生まれてきて。そうは言っても、「各企業で必要な段階は違う」から……。だから、聞きたかったとことしては、「実際はどういう状況なんですか?」ということで……。
- 蒲生
- 先ほど申し上げたように、世間的にも「DXとDIは少なからず分けるべきである」ということに気付き始めていまして。だから、「DXに特化した部署」みたいなところを作るようにはなってきているわけで。だけど、そもそもの大前提としては「デジタル人材が必要」なので。そのため、企業は「デジタル人材の獲得に奮闘している」わけです。そうは言っても「デジタル人材」も、「ビジネスが好きなデジタル人材」と「技術を極めていきたいデジタル人材」のような違いもあって。だから、「そこの振り分けも考えていかなければならない」みたいなところはありますが。
- 佐藤
- それはどうなのかな? うちとしては……。アートリーとしては、「全員がデジタル人材になってくる」と思っているから。だから、「すごく違和感がある話」と言うべきか……。原先生はいかがですか? あちこちの企業さんを見ていらっしゃるはずなので。要は、「お客さん(クライアント)の間では『デジタル組織化は課題になっている』のか?」ということを訊きたいわけですが……。
- 原
- (もちろん)「課題になって」いますよ。
- 佐藤
- なっているのか!
- 原
- そうです。
- 佐藤
- 具体的には「どういう状況」なの?
- 原
- 例えば製造業の場合であれば、DXに結び付ける……。ごめんなさい……。すごく……。
- 渡邉
- インテグレーションしてますか?
- 原
- 要は「デジタル組織はすぐに作れないよね」という話なんです。例え「IT人材を確保した」としても……。要は「職人さんを多く抱えていた」としても「新しい発想は生まれにくい」わけですよ。だから、先ほどの渡邉さんの解釈ではないですが、「DXにはどうしても経営の要素が入ってくる」わけで。だから「どうするか?」と問われれば、「一旦『経営戦略室』のような部署を作」って……。
- 佐藤
- だけど、ここまでの話では、「そのやり方では結局遅いから」というわけだよね。だから、「役員クラスにデジタル組織の責任者も兼ねさせよう」みたいな話の流れになったわけで……。
- 原
- 確かに、そういう話には「どうしてもなる」のだけれど。そもそも、「デジタルに通じている人」と「経営に携わってきた人」が「リンクすること」自体、「今までなかった」わけですから。だから、「デジタル人材の確保が難しい」という話になるわけで。
- 佐藤
- そういうことだよね? 詰まるところ「決済権のある人物がデジタル人材であることが最良」なわけだよね? だけど、「そうした人材がなかなかいない」という話なんだよね?
- 原
- おっしゃる通りです。事実、アートリーさんの場合は、「佐藤さんがいるからデジタルもDXもドンと来い」と言えるわけですが。だけど、「一般的な会社はそうではない」わけですよ。だから「物作りに携わってきたところは物作りベースでしか考えられない」わけで……。
- 佐藤
- その点から言えば、渡邉さんは「取引先の縫製屋さん」のような「昔ながらの職人気質を大切にしている」という人を「たくさん見てきている」わけだよね?
- 渡邉
- そうですね。
- 佐藤
- どちらかと言えば「フィジカル(実体的)」と言うか「アナロジカル」と言うべきか……。
- 渡邉
- おっしゃる通り、基本的には「DXができない」職種の方々なので。だから、丈亮さんにこうして解説してもらうことで僕も理解できているので。例えば今回オンラインファッションショー(※2022年10月10日に開催した『VEDUTA COLLECTION』のこと)でも……。
- 佐藤
- そうか。『VEDUTA』もどちらかと言えば……。
- 渡邉
- 「クラフトマン」要は「職人」の側なので。だからそもそも「ファッションショー自体手掛けたことがなかった」わけで……。だから、これ(『VEDUTA COLLECTION』)を機会に「トランスフォーメーションを試みた」というわけで……。
- 佐藤
- そういうことなのか。
- 原
- ごめんなさい……。どう考えても渡邉さんそのものが「トランスフォーメーションしてしまっている」ので……。
- 佐藤
- むしろ「アナログトランスフォーメーション」だね。(DXならぬ)「AXしてしまった」わけだ。
- 渡邉
- 「新しいワード」だ……。
- 佐藤
- ちなみに「デジタル組織化していくこと」に関して渡邉さんから見た現状はどうですか? おそらく、渡邉さんが関係してくる業界で言えば、「縫製」などの「アパレル関係」や「伝統工芸」などが該当してくるかとは思いますが、それらに関して課題などがあれば……。
- 渡邉
- アパレル業界のDX事例……。中でも「開発系の話」で言いますと、下着メーカーの『グンゼ』が、「健康管理ができる服」……。例えば、「デバイスが服の中に埋め込まれていて、心拍数や血圧などを測れる服」を作っているんですよね。あと、「試着」という観点から言えば、『ZOZOTOWN』の『ZOZOスーツ』なんかもありますが……。それから、派生品の「足のサイズを3Dで測れる『ZOZOマット』」もありますが……。
- 佐藤
- 何だか「大企業の事例」ばかりだね。そうではなくて、「小規模な企業の場合はどうなのか?」を知りたかったんだけどなぁ。
- 渡邉
- 「小規模なところ」ですか?
- 佐藤
- 要は「デジタル組織の構築をする必要性があるのかどうか?」と言うべきか……。
- 渡邉
- それは「どこを目指すかによる」ような気がします。だから僕も「多くの人に届けたい、知ってもらいたい」と思った時には、「独力でやろうとする」のではなく、「それができる方と組む」ことを意識しています。なぜなら、得意分野の異なる人と仕事をすることで「世界が広がる」ので。だから、そうした点を踏まえると、DXは「見てくれる人たちに合わせること」だと思われるので、「必要不可欠」のような気がします。
- 佐藤
- 確かに「必然的な感じはする」よね、いくら「どこを目指すかによる」とは言えども。例えば、現代において「ホームページすらない」という会社があったとした場合、そこは「気付いてもらいにくくなる」……。要は「認知機会が少なくなる」わけだから。その結果、かなりの確率で「淘汰されていく」だろうね。
- 渡邉
- そうでしょうね。
- 佐藤
- そもそも、「今の厳しい競争社会で生き残ること」を前提に据えるのであれば、少なくとも「最低限の水準は必要」だよね?
- 渡邉
- 「より便利にしていこうと思うなら、デジタルを使ったほうが良いよね」となるでしょうからね。実際、『ユニクロ』では、レジが「タブレット端末」になっていたり、「RFID」という仕組みを使って、「電波で棚卸しができる」ようになっていたり……。
- 佐藤
- それはむしろ「インテグレーション」の話だよね?
- 蒲生
- そうですね。むしろ「カスタマーエクスペリエンスの向上」を……。
- 佐藤
- むしろそちらだったか……。
- 佐藤
- ということは、今回話題にしている「企業に適したデジタル組織」とは、「ナショナルカンパニーなどはもちろん含まれている」とは思うけれど、どちらかと言えば、「そこが課題になっている」と言うか、そもそも「どうやってデジタル組織を作れば良いのかすら分からない」という層がいるから、という話だよね?
- 原
- そうですね。要は「まずどこから手を付けるか?」を「どこの会社も模索してしまう」のだろうと思います。
- 佐藤
- だけど、日本の現状を踏まえれば、「そもそもIT化すらできてないところも多くある」わけだよね? とは言え、「ITすら駆使できていない」ところが、いきなり「DIやDXに取り組めるか?」と訊かれたら、結構厳しいよね。そもそもITでは「概念が重要」とされることは少なくないから。もちろん、「テクノロジーもそう」だろうけど。要は「ITに携わっていく中で知恵として自然と身に付いてくる」と言うか……。例えば、「ITに暗い会社」の場合、「インテグレーションとトランスフォーメーションの本質的な違い」には「気付けるない」と考えるべきだよね。だけど、実際には「そのレベルのところが多い」わけだよね?
- 原
- 多いと思いますよ。むしろ、「ITのレベルでストップしているところが大半」のように思います。
- 佐藤
- そうだよね? だからどちらかと言えば今回の本質は、「ITやデジタルを駆使してビジネスモデルをより最適化していこう」みたいな「改善しながら新たなものを生み出そう」という話で……。
- 蒲生
- おっしゃる通りで、「デジタル組織」自体も、『日経新聞』で取り上げられていたことをきっかけに今回のテーマとして加えたわけでして。実際、ここまでの話で皆さんがおっしゃられているように、そもそも「概念の区別自体が難しい」と言いますか……。包み隠さず言ってしまえば、「日本はIT後進国」であるわけで……。
- 佐藤
- ということは「海外」は……。
- 蒲生
- そもそも、「デジタル組織自体、海外から来ている話」ですので。
- 佐藤
- 要するに「海外は既に当たり前のように」……。
- 蒲生
- 「切り分けた上で実行している」わけですよ。
- 佐藤
- つまりは「法務」や「経理」、「労務」に「人事」みたいな感じで「総務部の業務を小分けにしているようなもの」か。要は(労務部が)「労働環境を良くするために尽力する」一方、(人事部は)「人材獲得に向けた手配を進めている」みたいな……。
- 渡邉
- 詰まるところ、(いずれも)「人に関わる部署」だけど……。
- 佐藤
- 「必要があって分けている」みたいな話だよね。だけど日本では「全てが一緒くたにされている」わけだから……。
- 蒲生
- 「進んでない」わけですから。だから、「海外ではこうした(デジタル)組織作って活用していく取り組みが進んでいるよ」という話が「今回のテーマになっている」わけでして。ちなみに私が思う「デジタル組織のあり方」としては、「デジタルマーケティングをしていく」ための……。要は「既存ビジネスのささやかだけど高度なデジタル化の1歩目」なわけですよね? 要は「そこから始めていく」と言いますか……。どのみち「DIもDXも事業活動でお金を稼ぐために行う」わけですから。だから、「顧客と出会っ」たり、「お金払ってもらっ」たりみたいな用途で、使い始められれば……。詰まるところ、「基本的なリテラシーから始めよう」みたいな感じです。
- 佐藤
- そういうことか。要するに「DIやDXなどにこだわらなくても構わない」わけか。……何だか「課題定義だけで10分ぐらい費やしている」ような気がするけれど……。
- 蒲生
- 話をあるべき地点まで巻き戻すと、「デジタル組織」とは、「企業のデジタル化を推進させるための組織」で、「世界的な動きであり、役割ごとに細分化されてきているよ」という……。
- 佐藤
- 要するに、今回の課題の本旨としては、「デジタル面で世界から遅れを取る日本企業」は「どうやって」と言うか、「『どういった』デジタル組織を作れば良いのか」なのかな?
- 蒲生
- そうですね。
- 佐藤
- そうなるとやはり「人材の話」に落ち着くのか。
- 原
- どこもかしこも「デジタル人材がいない」と騒がれているので。(仮に)「確保する」にしても、「どれだけ紹介かけようにも、(人材そのものが)見つからない」ものだから、「高給になる」わけですよ。だから結果としては、どこの会社も「追いつくのか?」ではなく、「採算が取れるのか?」で、悲鳴を上げているわけです。
- 佐藤
- 要するに「2択」だよね。「ビジネスモデルを既に作ったり運用してきた人たちにデジタルをリスキリングさせる」のか。それとも、「デジタルネイティブと呼ばれる若い世代にビジネスモデルのいろはを叩き込む」のか……。
- 原
- おっしゃる通りでしょうね。
- 佐藤
- 年齢面や将来的なところまで踏まえると、若い世代に「ビジネスモデルの作り方を教え込むこと」は「もちろんしていくべき」だろうね。だけど、「現状の問題を解決しよう」と思うなら、「両方とも必要」だろうから……。
- 原
- 何にしても(企業としては)「商いを伸ばしていくことが大前提」なので。だからおそらくは「マーケティングに強いところがDIに入っていくことで、DXが生み出される」のでしょうけど。とは言え、最初のうちは「デジタルの1手法として」という話にはなるのでしょうが。
- 佐藤
- なるほどね。そうなるとやはり「(デジタル)インテグレーションを進めるほうが早い」よね?
- 原
- おそらく「最初のうちは」でしょうけど。
- 佐藤
- 例えば「(事例紹介用の)パンフレットがある」として……。……そもそも、「(事例紹介用の)パンフレットすら持っていない」という企業も多いかもしれないけれど。だけど、「紙媒体」の場合、「新しい内容を追加しよう」と思っても「一々刷り直さなければならない」わけだよ。だけど、仮に「デジタルパンフレット」みたいな代物になっていて、「すぐに改版でき」てしかも、「明日持っていく分は最新版だよ!」みたいな感じになれば、それだけでも既に「(デジタル)インテグレーションは達成されている」よね?
- 原
- 最終的な理想としては「iPadなどで、「自社のパンフレットを使ってプレゼンして、そのままデータとして渡せる」みたいなことでしょうね。
- 佐藤
- だけど、本質的な問題は、「DIやDXを継続的に行なっていくために、どうすれば良いのか」を考えた時に、やはり「それ相応の部署を設置しなければならない」のだろうね。だから、(そこ(DIやDXの専門部署)が)設置されることで、「初めてデジタル組織になる」わけだから。つまり、どちらかと言えば、「バックエンド」や「バックオフィス」に近い感じになると言うか……。
- 原
- 特に「入り口としては」そうだろうね。
- 佐藤
- イメージ的にはそうだよね? ……だから、それこそ「会社に必要な機能」と言うか……。例えば、よくある会社の部署で言うと、「開発」や「生産」、「営業」に「管理」と各種あるわけだよね? その中でも今回は「管理」の部門をピックアップしたとして……。要するに、ここまでの話で挙がっていた内容としては、「管理部門の中にDXやDIをしていくための部署を設けよう」みたいな話なんだよね? 要は「IT」という「新部門を立ち上げる」のではなく……。そうなると「改善」と言うよりも「新規事業開発に近い」だろうね。あるいは「商品開発やビジネスモデル開発にお金を割く」と言うか……。
- 原
- どのみちね。
- 佐藤
- 小さい組織の場合、どうしても「決裁権を持っている人も少ない」からね。だから、DIやDXに取り組むにしても、「社長や副社長が『やりましょう!』と鶴の一声を発しなければできないような結構重要な話」になってくるわけで……。とは言え「デジタル組織を設置していくことは、今結構緊急的な課題だよ」ということは「認識しておく必要はある」だろうね。
- 原
- 要するに、「行き着くところはそこだから」ということだよね?
- 佐藤
- 今回の話としては、「中小企業で今までITみたいなことをやってこなかったところは、どうしていけば良いのか」がメインなんだよね? そうすると うち(アートリー)は……。だけど、「IT化を進めてきた組織」の場合は、むしろ「マーケティングの要素をどこまで入れられるか?」という話に今度なるような気がする……。要は「売上に直結する話」だものね? 結局話の要点としては、「売り上げる仕組み自体を変えていく話に集約される」のだから……。
- 原
- 要するにそこが「DIやDXが担う領域になってくる」というわけですね。仮にそもそもの企業基盤が「IT」だったとしても、論点は「それをどう活かすのか」ではなくて、「もはや新たなやり方にしないとダメだよね」というところにあるわけですから。詰まるところ、「マーケティングを1から見直さなければならなくなる」はずなんですよ。
- 佐藤
- 分かった! 「DIやDX」なんて言っているんだけど、本質的には「要件定義をきちんとできる人間を置くこと」が最重要なんだよ!
- 原
- そもそもがね。
- 佐藤
- 事実、「要件定義のできていない会社は意外と多い」よね?
- 久田
- 実際「すごく多い」ですね。
- 原
- 確かにそうだ!
- 佐藤
- そうだよね? 例えば「ホームページを作りたいです」みたいな相談を持ちかけられたとしても……。もちろん、「どうやってホームページを作っていけば良いのか分からないからお前ら(制作会社)に頼んでいるわけだよ」という気持ちも分かるけれども。だけど、「今はそういう(依頼者側が威張り散らす)時代ではない」わけだから。言うなれば、「要望定義を元に要件定義していく」というプロセスは「すごく当たり前であるべき」なのだけど……。
- 原
- そこが「できていない会社が多い」わけね?
- 佐藤
- そうは言っても、「システムを作っている」会社からすれば、「ITのベースにあるのは『システム』なのよ。実際、「システムを開発していく」にしても、要は「考え得る全てのパターンを要件定義していく必要がある」わけだから……。だから我々の業界(=IT業界)では、「要件定義することは当たり前」なのだけど。だけど、それ以外の業界では「何となく」と言うか「とりあえず作ってみましょうか」みたいな……。
- 原
- 入り口がね。
- 佐藤
- 「まず作ってみよう」と言うべきか……。「製造業」や「ハンドメイド系」では「結構あったりする」よね? 例えるなら「膨らませながらクリエイティブに作っている」みたいな感じで……。その結果、「要件定義をしないまま進んでいくことが多い」わけだよね? だからか、(その手の業界では)「ビジネスモデルにもどことなくそんな気配がある」よね。
- 原
- そうですね。
- 佐藤
- だから、「デジタル組織構築するには?」と言っているわけだけれども。とは言え、詰まるところとしては「要件定義をしよう」ということであって。要は中小企業でIT化させてきているところは、そこをきちんと「ゾーン分けさせる」と言うか。要するに「それぞれが要件定義のできるデジタル組織を作ろう」と言いますか……。
- 原
- まずは「構築することから」ということですね? と言うか、「それ(デジタル組織化)を前提とした構築をしなければ進まない」と言うべきか……。
- 佐藤
- 要するに「デジタル人材とは何か?」と問われれば。それは「ビジネスモデルとデジタルをしっかり結び付けて、適切なスキームが作れる人間」だろうね。とは言え、「決済権のある人を巻き込んでチームとして活動して」いれば、自然と「企業に適したデジタル組織になれる」と言うか……。だから結局、「サービスの改善」なり「ビジネス(モデル)の改善」なりも……。
- 原
- そうですよね。
- 佐藤
- 「本質的には同じ」だよね?
- 原
- おそらくは。
- 佐藤
- 何だか店先に商品を広げてまくってバーンと投げ売りを始めたみたいな感じになってしまったけれど……。そろそろソリューションのまとめ時でしょうかね?
TOPICS
ソリューション
- 井戸
- ありがとうございます。お願いします。
- 佐藤
- 本日のソリューションはこちらです。「デジタルネイティブを経営に参画させよう」。もちろん「デジタル組織を作る」という意味では、「社内で声が大きい人たち」と言うか、「権力のある人たちにデジタルを覚えさせていくことも大切」ではあるけれども。……だけど「ビジネスモデルを変革させる」や「サービスの改革」のために「DIやDXをする」のは、「本質としてはデジタルではない」わけであって……。だからそれを何と言うべきかは分からないけれど……。だけど、「今までやれてきた」のであれば……。「やれている」のであれば、「そもそも問題はない」よね? だから結局、今必要とされるのは「新しい考え方を持っている世代」だから。そもそも「デジタルネイティブは若い世代」だから。実地経験を積ませるためにも「彼ら(デジタルネイティブ世代)をより積極的に経営に参画させていく」みたいな形式を取っていけば、「必然的にその企業に適したデジタル組織は見えてくる」ような気が……。
- 原
- おそらくその時点で経営手方も変わってくるでしょうからね。
- 佐藤
- そんな気はするよね。……こんな感じでいかがでしょうか?
- 井戸
- ありがとうございます。
- 佐藤
- 「デジタル組織」というテーマでしたが、何だか難しかったね。
- 原
- ええ。まだ「一般的ではない」ですからね。
- 佐藤
- ところで、「デジタル組織化しているクライアント」などはいるんですか?
- 原
- どこの顧客も「ITを活用するまででストップ」と言ったところですね。
- 佐藤
- やはりそうなのかもね。だから結局なんて言うんだろう? 「運用する人が変わらなければ何を取り入れようとしてもダメ」と言ったところかな?
- 原
- 言わば「目的と手段を入れ替えなければならない」ですからね。要は今までは「手段として使っていたITやデジタルを『目的』として使う」に変えなければならないわけですので。だから、申し訳ないですけれど、今の経営者世代にとっては「コペルニクス的転回並みに価値観を変えなければならない」分、「かなりハードルが高くなる」んですよ。
- 佐藤
- なるほど。とは言え、「とんちんかんなことをやらせてはダメ」なのだけれど。もちろん、「後継となる世代を育てていくプロセスはもちろん必要」だけれども、「今権力を握っている世代に経営に関することを考えてもらって若い世代にスーパーバイズしていく」みたいなことももしかしたら必要かもしれないよね。
- 原
- 必要だと思いますよ。どのみち「スーパーバイザーは必要」でしょうから。
- 佐藤
- 言ってしまえば、「これからの社会は『長寿化している』」から。だから言い換えると「現役時代が長い人たちが出る」と言いますか……。だからいっそのこと「早々に世代交代していくべき」と言うか……。もちろん、「新しい考え方に適応できる人たちであれば問題はない」と思うけれど……。
- 原
- そうですね。
- 佐藤
- そうでないなら、「潔く諦める」ではないけれど……。それで渡邉さんが宣言しているように、「アーリーリタイアメントする」みたいな……。実際、ナベちゃんは「45歳になったら引退する」みたいなことを話していたよね?
- 渡邉
- (引退したら、)島(※渡邉氏の出身地である佐渡島のこと)でのんびりと釣りをします。
- 佐藤
- という選択もありかもしれない。そんな感じですかね? ありがとうございました。
- 井戸
- ありがとうございます。来週以降の放送はこちらの通りとなっています。また木曜日の夜10時にお会いしましょう。次回の放送もお楽しみに。
- 佐藤
- 最後までご視聴ありがとうございました。さようなら。
番組の感想をシェアしませんか?
みんなに共感を広げよう!
RECOMMEND おすすめ番組
シチズンデベロッパーによるDXは可能か?非IT人材がイノベーションを生み出すには
2024.04.25 放送分
今こそDXを理解する!デジタライゼーションに取り組んでDXを実現するには
2023.11.02 放送分
デジタル⼈材を量産する!DXリテラシー標準を⾝につけて企業の競争⼒を向上させるには
2023.10.05 放送分
2Dメタバースで顧客体験をDX?今すぐ活⽤してCX(カスタマーエクスペリエンス)を⾼めるには
2023.09.28 放送分